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踏み上げ相場の後に雪崩のような急落が起きる理由=「ネガティブガンマの解消」


オプションは先物トレードに必要な基礎知識しかないので、上級者からしたら「これも説明しないとダメだろ」って項目があると思いますが、とりあえず最低限の部分だけ説明させて下さい。


オプションには原資産の価格変動(デルタ)以外に「ガンマ」「ベガ」「セータ」という三つの要素を考慮する必要があります


つまり、オプションを売る時は、これらの4つの要素をすべて売ってるということです。

オプション初心者の時は、デルタとセータしか認識してません。

セータっていうのは「満期日までの残存期間の変化によるプレミアム(オプション価格)の変化を示すもの」なのですが、そういう定義はおいといて

要するに、このセータが示しているのは「本来は原資産に対する保険であったオプションというのは、その性質上時間が経って満期が近づくにつれてばたつほど下がっていく」性質があるってことです。

放っておくと腐っていくんですね。

そんで「現在の価格(ATM)より高いところのオプションを売って、満期が来るまで待つ」だけやるだけで、売った価格はまるまる自分のものになります。

相場って普段は一定のラインを越えませんから、ATMよりかなり離れたところのオプションの売りは満期までATMにならない限り勝ちます。勝率9割以上です。

このセータだけ考えておけばよいのであれば超わかりやすいですよね。

なので、情報商材とかでもよく「初心者でも毎月5万円稼げる!」「勝率90%の投資法」みたいな感じでよく売られてます。



でも、こういう感じでトレードしてる人はどこかで99%死にます。

残りの1割で、今まで稼いだ金額の何倍もの金を失って破滅する。

なぜか。



それは、「オプションの売りでデルタとセータだけ売ってるつもりだったけど、実はガンマとベガを売ってたことに気づいてなかったから」です。

使い方を間違ってるんですね。



デリバティブとしてのオプションは、デルタやセータをトレードするものではなくて、本当はベガ(ボラティリティの変化に反応する)をトレードするもんなんですよ……。

他の3つの要素はできる限り合成ポジションでコントロールし、IVの変化のみによって「価格の変動に関わらずボラティリティの増減によって」収益を上げる。これが今現在ののオプションの使われ方です。

オプションがこういう風に使われているからこそ、「VIX」(ボラティリティ・インデックス)が重要になるんです。VIXって恐怖指数って訳されてますがVIXが上がったら必ずしも下がるわけじゃないです。

VIXが上がると、ベガショートしてた人がポジションを入れ替えないといけないから一気に相場が動くわけです。


話がそれましたが、今回話題にしたいのは「ガンマ」です


今の相場って株価がずっと上がってるのにVIXは低いままですよね。
なんならさらにVIXは売られて行ってる。

つまり、ベガは問題ないです。

また、デルタについては先物買いでヘッジすればいいのでこれもそんなに問題になりません。問題がデルタだけなら、すくなくともオプションに関しては踏み上げってすぐ終わるんです。

じゃあ何が問題かというとガンマです。

これはヘッジが難しいんですよ。急に株価が上がったときにこのヘッジが上手くいかないので、株価が上がってる限りは売り方はずっと担がれ続けちゃうという現象が起きます。


先ほども言った通り、コールオプションを売ると、先物売りの効果だけじゃなくて、原資産の価格変動に準拠するデルタだけじゃなくてガンマもベガもセータも売ってることになります。

売ってる人がそれを知っていようがいまいが、それをやってるわけです。

この「ガンマ売り」がやばい。


なぜかというと、ガンマはATM価格が近づけば近づくほど高くなるからです

https://manabu-blog.com/option-gamma

オプションが、原資産から遠いところだとやたら安いけど、原資産に近づくと先物より急に値段が上がるのはこれが理由です。ガンマが盛りまくってるわけです。

つまり、オプション1枚売ってる時、それのヘッジで先物1枚ロングすればいいかっていうとならないんです。それだとガンマの損失をカバーできない・


このガンマをヘッジしようと思ったら、先物を1枚よりたくさん買うか、より高い価格帯のコールオプションを複数枚買わなければいけない。(ここからガンマが高くなるから)

そういう感じで踏み上げがどんどん続いていくわけですね


とにかく、ここではコールオプションって先物価格が上がってくると、ガンマが盛ってくるってことだけ覚えておいてください。このように「コール売りの損失」が「先物買いの利益」に負けてて相殺できてない状態をポジティブガンマと言います。ガンマの盛りがでかいってことなので。

この状態だともっと先物買わないとどんどん損しちゃうわけです。


さらに言うと、コール売りは株とか先物より流動性がはるかに低いので、ヘッジのためのコールを買わなきゃいけないってなってもそもそも売り物がないって状態になりがちです。 そもそも価格が上がってる時に上の価格のオプションを売りたい人いないでしょ?

だから品不足のコールの価格はさらに上がり、その上の価格帯のコールの値段も跳ね上がりで、連鎖的にどんどん踏み上げます。その間、みんな「どうせこの後下がるのに」と思っていても先物を買わないといけない。

それをやらなかったら価格が上がり続けたときに死ぬので。


踏み上げ相場の終わり


ただ、踏み上げ相場が終わると状況が一変します。

ずっと踏み上げ上げが続いてる時は、コールを売ってた人はガンマの上昇が怖くて泣きながら先物を買い増ししたり、より上のコールを買わないといけなかった。

でも、先物価格の上昇が止まったら・・・?

これ以上、上の価格帯がATMになる心配がなくなったら?

だったら、それより上でコール売ってる人はもうヘッジしなくていいよね。

それどころか、今まで盛りに盛ってたガンマは急速にしぼみますよね。

すると今度は、コール売りの利益が先物買いより損失の利益を上回る。もうコール売りを持っておくことを恐れなくてよい。先物ヘッジ買いが不要になるので、先物買いを処分することになりまs。

この状態がネガティブガンマです。先物価格が下がり、それによってさらに先物を売る必要が出てくる。



まぁそういうわけで、オプション絡みの踏み上げ相場はめちゃくちゃ理不尽なので、上げが続く限りは無限に上げます

ただし、それが終わったら、元の位置まで平気で戻ってきます。

この辺りを知らずに上げ続けている時になにも考えずにニュースの解説とかを読むとだいたいドツボにはまります。当たり前ですけど、そんなすぐに日経平均に採用されてる企業の価値がファンダメンタルズが20%も改善するわけないじゃないですか……。

「ファンダメンタルズが良くなった」と思ってたら、実際は単なるオプションの異常な需給でした、ってオチになることもあるわけです。

このあたり、気を付けていきましょう!




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