何もかもどうしようもないことだけど
フカザワカズキ
二人塚(ふたりづか)系は何もかもうまくいかない16才。高校では
ナンパ倶楽部に所属している。
今までに女性にフラれたこと216回。
近頃、ようやく女性の何たるかがわかったのだと
とんでもない思い違いをしているので、
誰か暇があったら教えてやって欲しい。
「なあ、系」
クラスメートの売買(うりかい)茜が
教室で系に呼びかけた。
「今日、転校生が来るらしいぞ」
「転校生?」
「ああ」
茜が頻りに頷いた。
「おんなか?」
「ああ
「どうせこの世の者とは思えないくらいの
ブスだろう」
系が机に頬杖を突きながら、悪態をついた。
「おまえなあ、いつか女たちに集団で
抹殺されるぞ」
そのとき教室のドアが勢いよく開いた。
「静かに、静粛に」
ガチアタマとあだ名を生徒たちにつけられている
石野和夫が出席簿で机を何度も叩いた。
「今日は転校生を紹介する」
石野が左隣に申し訳なさそうに立っている
少女に目をやった。
「未來(みらい)朝くんだ。仲良くしてやってくれたまえ」
石野がようやく愛好を崩した。
「自己紹介したまえ。味来くん」
石野がそう促すと、
「どっ、どうも未來朝です」
朝が自己紹介をした。
「朝ちゃーん!未來からやってきたのーっ!」
生徒のひとりがヤジを飛ばした。
「そっ、そうです。よくわかりましたね」
朝がもじもじしながらそう答えると、
教室が静まり返った。
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