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ダークパターン:UIデザインをダークパターンに染めないために学ぶ

私は日々、UIデザインを行う身です。「どのUIパターンがいいのかな?こっちの選択にした時にどんな影響があるのかな?」など日々悩んでおります。
もしかしたらUIをダークにしてしまっているかもしれない…ダークパターンってどんなパターンか体系立てて知りたい!と思い学んだ内容をざっくり記録します✏️


はじめに

「契約した覚えのない定期購入がある」「最後の購入プロセスで値段が急に上がった」
ーこんな経験ありませんか?

これらは「ダークパターン」と呼ばれる、サービス接点(UI)などでユーザーに意図しない選択に誘導するデザイン手法の典型例です。

消費者庁は、「消費者が気付かない間に不利な判断・意思決定をしてしまうよう誘導する仕組みのウェブデザインなどを指す」と触れており、
2024年8月に消費者庁がダークパターンを初調査するなど、注目が高まっています。

デジタル以前のダークパターン

ヒトラーさんも、ガッツリやってた 🧐

その始まりは、デジタルが始まるもっと確認されています。
1938年のオーストリア併合時の国民投票用紙は、その代表的な例です。
投票用紙では、「はい」の選択肢が中央に大きく配置され、「いいえ」は端の小さなスペースに追いやられていました。

「国民投票の投票用紙」Wikipediaより

質問文は、「あなたは1938年3月13日に制定されたオーストリアとドイツ国の再統一に賛成し、我々の指導者アドルフ・ヒトラーの党へ賛成票を投じますか?」
回答項目:
中央の目立つ記入欄の上に「はい」、右端の小さな記入欄の上に「いいえ」と記載されています。

このダークパターンは、インターフェース干渉と言われ、ダークポイントは2つあります

  1. 「はい」「いいえ」のデザインが誘導的

  2. 2つの質問に対し、一つ回答で聞いている。
    「賛成するか?」、「賛成票を投じるか?」の2つの質問がされている。

この投票用紙を見た時、この「ガッツリやっとるやん」具合に笑っちゃいました。

ダークパターンの種類

大体7つあるとされている。OECDの報告書で取り上げられ、この分類が広く用いられています。
(翻訳による表記揺れは多々あります)

01.【強制】 特定の機能にアクセスするために、消費者にユーザー登録や個人情報の開示を強要するなどの強制的な行為。
02.【インターフェース干渉】 デフォルトで事業者に有利な選択肢を事前に選択する、視覚的に目立たせるなど。
03【執拗な繰り返し(ナギング)】 通知や位置情報の取得など、事業者に都合の良い設定に変えるように何度も要求する。
04【妨害】 解約や、プライバシーに配慮した設定に戻すことなどへの妨害行為。
05【こっそり(スニーキング)】 取引の最終段階で金額を追加する、試用期間後に自動的に定期購入に移行するなど。
06【社会的証明】 虚偽の推奨表現、過去の購買実績を最近の実績のように通知するなど。
07【緊急性】 カウントダウンタイマー、在庫僅少の表示など。偽のカウントダウンタイマーなども過去に検出されているそうです。

OEDCの定義(消費者庁の引用を参考

多分それぞれを適用するとこんな感じです

ダークパターンを考えてみた

おすすめ書籍と感想文

「ザ・ダークパターン ユーザーの心や行動をあざむくデザイン」

いきなりですが、こちらダークパターンの細かな種類は、本書籍に涙が出るほどまとまっております。
もっと昔の自分に教えてあげたかったです😢
私はデザイナーが少ない環境なので、定量的に示していることが多いので、非常にためになりました。

読書感想①UIの定石が、意外にも「ダークパターン」

例えば、自分たちが押して欲しいボタンの色を目立たせる。
これも、実は「穏やかなダークパターン」である。

読書感想②ダークパターンって、めっちゃ効果ある。

ダークパターンを用いた施策は、短期的な効果も成功すればめっちゃあります。
本書は、ABテストの効果も細かに実験が掲載されています。
容易に想像つくかもしれませんが、大体引っ掛けたもん勝ちの結果です。
でも気をつけなければいけないのが、「こんなにコンバージョンが上がる」やってみようの精神ではないんです。

そして、長期的に嫌われる効果もめっちゃある。
特にUIの作り手でもある方々は、もしかしたら敏感に拒否できる行動が出ている方かもしれません。でも、絶対嫌われますよね。

グレーゾーンとの向き合い

プロダクト開発チームで、ダークパターンについて話した際
「ダークかどうかの判別は非常に難しい」という話があがりました。
プロダクト開発において「何がダークパターンか」の判断は非常に繊細で、特にビジネス要件との兼ね合いで、グレーゾーンに直面することも少なくありません。
しかしUIやUXデザイナーには、ユーザー体験を守っていく重要な役割があります。単にインターフェースを作るだけでなく、倫理的で長く使い続けてもらうための体験を設計する責任でもあります。

そのため、継続的なUXリサーチを通じて、対象ユーザーへの深い理解とその視点から何がユーザにとって不利益なのかやデザインの妥当性を考え続けることが重要なのかなと思います。

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