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コロナ禍におけるブンデスリーガの財務状況は?〜2020年度財務成績の分析〜

お久しぶりです!
渡邉 旭(わたなべ あさひ)です。
半年ぶりの投稿です。。
サボっていたとかではなく、noteに書くほどのネタが無く更新していませんでした^^;

6月1日に、2020年度のブンデスリーガの決算書(2019年7月1日~2020年6月30日)が公表されたので、それについて触れたいと思います!

2020年3月中旬からブンデスリーガが無観客になり、シーズンを通してコロナウイルスの影響は受けていませんが、3.5ヶ月分のダメージがどのくらいあるのか考えてみました。

※僕は簿記や会計の専門家ではないので、参考程度に見ていただければと思います!間違いがあれば教えて下さい!

※「フランクフルト」「レヴァークーゼン」「ボルシアMG」「シュツットガルト」「シャルケ」は2020年12月31日(2020年1月1日~2020年12月31日までの)決算なので、ほぼコロナウイルスの影響を受けています。

0.最近のバイエルン

2021年6月1日、我らがCEOカール=ハインツ・ルンメニゲが2021年6月30日でその座を退くことを発表しました。

元々2021年12月31日までで、2022年からオリヴァー・カーンがCEOになる予定でしたが、半年前倒しになりました。
UEFAの役員になるとの噂があるルンメニゲですが、どこかのクラブたちがスーパーリーグ構想なんてものを出したので早めにそっちの対応をする必要があったんでしょうかね…?笑

本当は、家族と話し合った結果や引き継ぎ上シーズンが始まる7月からがいいからだと思います。

ちなみに僕はスーパーリーグ反対です。
スーパーリーグについて詳しく知りたい方はこちらを御覧ください。
色々記事を見ましたが、これはとても良くまとまっていると思います。

選手としてピッチで大活躍をして、フロントでも経営者としてバイエルンに貢献してくれたルンメニゲさん、ありがとう!
これからはOBとして、バイエルンのパレードや優勝セレモニーに来てください!

1.概要紹介

実は昨年度も同じことをしていまして、その今年バージョンで書きます。
2019年度と比較しながら説明する予定ですが、2019年度を詳しく知りたい!という方は、まずはこちらを御覧ください!

今回は前回も記載した「自己資本比率」と、「ブンデスリーガ各クラブの状況」「バイエルンの状況」の3つの視点でお話します!

2.自己資本比率

以下、2019年度のnoteの引用です。

「自己資本比率」とは、会社の安定度を表す指標で、倒産の可能性を表す指標でもあります。
資本は、"自分のお金(純資産)"+"借金(負債)"の合計値ですが、借金は銀行などに返さないといけないですよね。
今の資本のうち、何%が返さなくていい自分のお金なのかを表すものです。

「自己資本比率 = 純資産 ÷ (負債 + 純資産)」で算出できます。

目安の数値はこちら↓
・ 〜10%:倒産の危険性が非常に高い
・10〜20%:倒産の危険性あり
・20〜40%:一般的な水準値
・40%〜 :安定している

2020年度の自己資本比率が高い順(倒産しにくい順)に発表します!
2019年度の自己資本比率も出すので、どう変化したのか見てみてください!※単位:百万ユーロ

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1位は2年連続ホッヘンハイム!2位はフライブルク!70%超えはすごい!
日本の企業だと任天堂が76.6%(2021年3月時点)なので、それ以上です!

そして我がバイエルンは第3位!2019年度は4位だったので、1つランクアップです!

健全経営で知られるブンデスリーガでもコロナの影響はあったみたいです。
20%以下のクラブが2019年度は6クラブでしたが、2020年度は9クラブに増えました。
そして、自己資本比率がマイナスのブレーメン(-23.7%)、ビーレフェルト(-28.3%)、ウニオン・ベルリン(-34.9%)、シャルケ(-38.2%)はちょっと心配です。

そもそも自己資本比率がマイナスってどういうこと?と思い調べてみました。
自己資本比率がマイナスとは純資産がマイナスということで、会社の利益がマイナスになった時(赤字経営になった時)に自己資本比率がマイナスになるそうです。
これは総資本よりも返さないといけない資本が多くなる債務超過という財務状況だそうで、債務超過は倒産状態といっても過言ではないそうなので、自己資本比率がマイナスになったら早く脱出することが大事です。

3.ブンデスリーガ各クラブの状況

各クラブの貸借対照表(上の表)と損益計算書(下の表)をまとめました。
一部ドイツ語翻訳に自信がない箇所がありますが、これを元にお話します。

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全体的に、今季は赤字のクラブが多かったです。
そのなかでも黒字だったのは、フライブルク、ホッヘンハイム、ライプツィヒ、バイエルンの4クラブ!すごいですね。

ホッヘンハイム、ライプツィヒ、バイエルンは人件費の割合が低いのが特徴出来でした。
粗利益に対する人件費の割合が、ホッヘンハイム=37%、ライプツィヒ=45%、バイエルン=51%でした。
ブンデスリーガ平均では、56%となっています。
バイエルンではアラバの給与交渉に応じなかったり選手たちが給与20%削減に応じたりしており、頑張っている様子が伺えます。
最近は、コスタやサールなど戦力になっていない選手の給与が高く、キミッヒやデイビスなどチームに貢献している選手の給与が低いことが問題視されています
ファンとしては、バイエルンの基準で適正な給与を設定してほしいです。

もう1つの黒字クラブであるフライブルクはその他の営業費用の割合が少ないのが特徴出来でした。
粗利益に対するその他の営業費用の割合はブンデスリーガで1番低く、20%です。(平均35%)
その他の営業費用って何でしょう?詳細は記載されていませんでしたが、フロント陣の努力の結果が現れていることがわかります。


レヴァークーゼンとヴォルフスブルクは当期純利益がマイナスになっても、それと同額が親会社から支払われているようで最終的には±0となっています。
レヴァークーゼンは昨季は当期純利益がプラスだったのですが、すべて親会社に持っていかれていました。
親会社がいるということはいい事だらけでは無いようですね。
またライプツィヒやホッヘンハイムも企業クラブと言われますが、この2クラブはちゃんとクラブで経営していてすごいです。

最後に紹介したいのは、昨年より粗利益が増えたアウクスブルク、ウニオン・ベルリン、ホッヘンハイム、ケルン、ライプツィヒ、レヴァークーゼン、ヴォルフスブルク!
特にホッヘンハイムは昨季の141%で大幅増加です。
売上構成比が見れればよかったのですが、そこまでは公開されていないのでわかりませんでした。
昨季の順位が高いライプツィヒ(3位)、レヴァークーゼン(5位)、ホッヘンハイム(6位)、ヴォルフスブルク(7位)はその配分金も関係してそうですね。
レヴァークーゼンはDFBポカールで準優勝していますし。

また、レヴァークーゼンは決算時期が他のクラブと違い、2020年12月31日(2020年1月1日~2020年12月31日まで)なのでよりすごいですね。
来期決算は今季移籍カイハヴァーツ(推定移籍金8,000万ユーロ)が計算されるので、このコロナ禍でもうまくやりくりできそうですね。

4.バイエルンの状況

バイエルンがクラブ公式サイトで決算書を出していたので、それを中心に見てみます。
ブンデスリーガ公表の数字と若干数字に違いがありますのでご注意を。
(なんで違うんだろう…?)

まず、歴代の数値を
(上がバイエルングループの数字、下がバイエルンミュンヘン株式会社のみの数字)

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連結財務諸表(バイエルングループ全体)
・売上高        698.0 百万ユーロ
・営業利益       104.5 百万ユーロ
・連結税引前利益    17.0 百万ユーロ
・当期純利益(税引後) 9.8 百万ユーロ
・税収         185.8 百万ユーロ

損益計算書の構成要素
収入

・試合運営からの利益      152.5 百万ユーロ
(ブンデスリーガ、親善試合、DFBカップ、UEFAチャンピオンズリーグ)
・スポンサーシップ収入     196.5 百万ユーロ
・放映権、広告収入       121.2 百万ユーロ
・移籍金収入          63.9 百万ユーロ
・マーチャンダイズ(グッズ)収入 91.8 百万ユーロ
・その他の収入          45.2 百万ユーロ
  (不動産や機械などのレンタル費、新メディア、ミュージアム、DFB[ドイツサッカー連盟]代表選手の収入、FCバイエルンⅡ/ユース/女子チームの収入)

支出
・総人件費  314.8 百万ユーロ
(バイエルンミュンヘン株式会社の全従業員分)
・営業費用  242.0 百万ユーロ
・材料費   33.9 百万ユーロ
・減価償却費 69.2 百万ユーロ
(移籍金や資産の償却)

バイエルンミュンヘン社の利益 - 個別財務諸表

・営業利益  80.3 百万ユーロ
・税引前利益 11.7 百万ユーロ
・当期純利益 5.9 百万ユーロ

アリアンツ・アレーナ・ミュンヘン・シュタディオン社の利益
・当期純利益 2.8 百万ユーロ

昨年の詳細が見つけられなかったので、今回あまり深い分析はできません。
来年になったら、来年の数字と今年の数字を比べて分析したいと思います。

コロナの影響で売上が昨年より下がったとは言え、一昨年よりは上がっていまう。
ここはさすがですね。
とはいえ当期純利益が低いのは、リュカやサネなどの移籍金や、選手の給与などが年々増加していることが原因でしょう。

2019-20シーズンの優勝賞金(ブンデスリーガ、DFBポカール、チャンピオンズリーグ)は今回の決算に記載されているのかな?
チャンピオンズリーグの優勝賞金をまだ全額受け取っていないというニュースを見たので、来期分に加算されそうですね。
また、ドイツスーパー杯やUEFAスーパー杯、クラブワールドカップの優勝賞金が来期分に加わるのは、このコロナ禍において嬉しいボーナスです。

来年、今季の数字と比較するのが楽しみです。

5.終わりに

いかがでしたか?

会計素人ながら、ブンデスリーガとバイエルンが公表している数字を元に色々考えてみました。
GMとしてバイエルンを引っ張ってきたウリ・ヘーネスが退陣し、そして長年バイエルンのCEOとしてバイエルンを支えてきたカール=ハインツ・ルンメニゲも退きます。

最近、ハインケスバイエルン(2012-13シーズンの3冠達成した時のバイエルン)のメンバーがミュラーとノイアーしかいないと言われ、選手/監督が新たなバイエルンになったと言われていますが、フロント陣も新たなバイエルンになっています。

サリハミジッチという最近暴走気味な取締役が心配ですが、新生バイエルンとして来季以降期待です!

引用
ブンデスリーガの決算書:https://www.dfl.de/de/hintergrund/lizenzierungsverfahren/finanzkennzahlen-der-proficlubs/
バイエルンの詳細決算:https://fcbayern.com/jp/news/2020/12/jahresabschluss-der-saison-2019-20---corona-bedingt-einbussen-bei-umsatz-und-gewinn

引用じゃないけどサッカーと会計において面白い記事:
アルトゥールの移籍が近い理由をバルサの財政面から考えるhttps://kaikeiminarai.hatenablog.com/entry/2020/06/27/214307

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