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打越正行先生、早過ぎます…(日記 12/9&12/10)
12月9日(月)
昨日は本当に疲れ切ってしまった。師走なのでやることは山ほどあるが、今日はいつもよりやや低速で過ごすことにする。休みも適度に入れないと年末までもたない。
そんなところへ素敵な贈り物が届いた。先日世羅で楽しい一日をご一緒したお友達がクリスマスプレゼントをくださったのだ。その時の記事はこちら。
届いた宅配便を開けるとこんな素敵なものが。
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か…可愛い…!!
杉本さなえさんを私は存じ上げなかったのだが、墨汁の黒と朱の2色のみで描く作品に力を入れていらっしゃるそうだ。通りでこの朱色、とても懐かしく温かい色みなのだな。
中のバタークッキーは鎌倉のromi-unieさんという焼き菓子のお店のもの。
バタークッキー、シナモン、星型のモチーフ、可愛いらしい缶(集めています)、
という、私の好きなものばかりが凝縮された贈り物に私は軽く「キャッ」と悲鳴をあげた。
お友達には先日お会いした時にコーヒー豆もお土産にいただいたのだが、その豆を挽いてコーヒーを淹れ早速いただいた。
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私は10年くらい前までほとんどコーヒーを飲まず、食後の飲み物やカフェでは常に紅茶をいただいていた。それが何がきっかけか忘れたが今はコーヒーもものすごく好きになった。お酒でいうところの「おつまみ」「アテ」はコーヒーにはバタークッキーがいちばん自分には合うと思っている。優雅なコーヒータイムとなりました。
これをくださったお友達も、そして昨日「巳年」の布巾をくれた後輩(この記事の中に画像があります)もそうなのだが、こういうオシャレで気の利いたプレゼントができる人って本当に憧れる。私はそういうことが下手で、「お歳暮」みたいな大きなものや、もしくは「八幡さんのお下がりの詰め合わせ」みたいな、どちらにしても生活感たっぷりなものになってしまう。程よさもセンスもない。修業せねば笑。
12月10日(火)
午前中はリモートでの会議。先週と同じく少人数だったので気楽だった。年内のリモートでのお仕事はたぶん今日が最後。コロナ禍以降、すっかりリモートでのお仕事が増えた。楽でもあり、もどかしくもあり。
夜、ネットニュースで飛び込んできた訃報に言葉を失った。社会学者の打越正行先生が45歳の若さで亡くなられた。急性骨髄性白血病だったとのこと。
私が打越先生を知ったのは、好きな番組「激レアさんを連れてきた。」の中だった。暴走族の研究をするために20年間彼らの「パシリ」をしていた、ということで紹介された。番組での先生のお人柄の面白さと研究者としての姿勢にいっぺんにファンになり、すぐに著書の「ヤンキーと地元」を買い求めあっという間に読んだ。
打越先生の人間に対する温かい眼差し、研究者としてのしつこさ、分野は違えど自分も人と関わる仕事をする身として尊敬することがいっぱいだ。何度もこの本を読み返したり「激レアさん」の打越先生回を何度も見返しては、金言を仕事用のノートにメモをしている。
先生は「暴走行為は間違っているけれど、彼らには彼らの理由がある。それで回っている社会がある。それを遅れたおかしな不正義な社会として一掃してしまうことは簡単だが、そういったことが起きている理由はなんなのか、ということを見ていかないといけないのではないか」と仰ったことが本当に自分もここ数年考えていたことに通じている。
私は朝ドラが大好きでよく感想を書いたり読んだりするのだけれど、近頃、巷では誹謗中傷とも言えるような感想も増えてきていて心を痛めている。登場人物の行いをただ非難して断罪するものが多いのだ。私は正しい人が見たいわけではなくて、人がその行いをするに至る理由やバックボーンが知りたいのだ。人には一人ずつの事情というものがあり、それを知りたくて朝ドラを見ていると言ってもいいくらいだ。だから、先ほどの打越先生の発言には深く感銘を受けてファンになったのだ。
また20年間も暴走族のコミュニティに入ってパシリをして研究を続けること、このしつこさにも感服している。先日の投稿で「コスパだのタイパだのというものを有り難がっていると大切な何かを失うのではないかと考えていること、そして若者と一緒に地味で泥臭く研究していきたいこと」を書いた。
このように私が思うのは、打越先生の研究者としての姿勢を見たり読んだりして自分の考え方が補強されたからだと思う。
ああ、45歳だなんてまだまだこれからじゃないですか。悲しすぎる。辛すぎる。
打越先生のご冥福をお祈りいたします。私も自分の道をしつこく追い求めます。そして温かな眼差しをもって若者や子どもたちを見つめ続けていきます。先生、ありがとうございました。