ネタバレ感想「Unnamed Memory」1巻(著:古宮九時 電撃の新文芸)
電撃の新文芸「Unnamed Memory」全6巻完結おめでとうございます!
みんな読んでください!!よろしくお願いします!!!
ってなことで、完結記念ということで唐突にネタバレ全開で1巻から感想を書いてみようかなぁなどと思い立ちまして。完全に思い付きなので全巻分書き切れるか分かりませんが、お付き合いいただければ嬉しいです。
<※注意>
・章ごと分けて書いてますが、書きたいところだけ抜き出して好きに書いてるので読みづらいことこの上ないです。Twitterで「Babel」の感想書いてたのをご存知の方はお分かりだと思いますが基本あんな感じ。
・考察じゃなくてあくまで感想です。語彙力などない。あと無駄に長い。
・書籍化部分(「Unnamed Memory」全6巻&「Babel」3巻まで)のネタバレには配慮しません。よって1巻の感想なのに突然6巻の話をしたりします。
・古宮先生の個人サイトおよび投稿サイトに掲載されている全作品および同人誌については、ネタバレは気を付けますが、匂わせたり無意識に触れてることもあると思いますのでご注意ください。
・色々記憶違いをしている場合も当然あると思いますので、誤ってることに気付かれましたらそっとスルーするか優しく教えてあげてください……。
・みんな大好き新鮮な悲鳴(笑)はありません。
表紙・口絵・目次・扉
この1巻表紙がめちゃめちゃ素晴らしいですよねナークがいるよ!!!(重要)大剣を持った高貴そうな青年と彼に寄り添う宙に浮かぶ美しい女性、そして赤いドラゴン。これだけで剣と魔法のファンタジー作品であることが一目で伝わってくるし、ふわりと舞い上がるティナーシャの紫がかった深い黒髪と、オスカーの風に揺れる赤いマントが対角線になってるのも素敵な構図だなって思います。
口絵が本当に絵画!!って感じで、記憶違いじゃなければ、書籍化が決まって一番初めに見たのがこのイラストだったような気がするのですが(自信はない……)、本当に世界に惹きこまれるような一枚絵で、わぁぁ素敵な絵師さんで嬉しい~~///って思った記憶があります。
ルクレツィア美人~~~!!窓の内側からこちらを見てるのとか窓辺に並べられた鉢植えとか、光と影の描かれ方とかとっても素敵。
時を書き換えられるのなら何を望むのか。
全ては塗り替えられる物語である。
冒頭のこの一節を、ちゃんと覚えてて警戒してた人と、特に気にせずいた人では、3巻に辿り着いた時の衝撃度が違うかもしれませんね。
1.呪いの言葉と青い塔
ここから物語が始まると思うと、オスカーが青い塔を見上げてる光景を思い浮かべるだけで感慨深いものがありますね……。オスカーとラザルの会話から、彼らがどんな関係でどんな性格なのか、そしてラザルが如何に胃を痛めてそうかが良く分かります(笑)。「沈痛な顔して帰れ」が好きw でもひどいww 今にも足場が崩れそうなラザルを躊躇なく助けに行こうとするオスカーも、そんなオスカーを止めて最後まで取り乱すことなく覚悟を示すラザルもね、良いですよね……。幼馴染主従大好き。
易々と試練を突破していくオスカーの超人っぷりがすご過ぎて塔の難易度ってそんなに高くないの??って錯覚するけどそんなはずはないw
そして印象的な初対面の美しい挿絵から始まる魔女とのお茶会。魔女が青い塔に『棲む』っていう表記なのすごい人ならざるモノって感じでぞわっとするんですが、ティナーシャと対面しての会話ではオスカーはちゃんと「住んで」という方を使っているのも注目ポイントかな。
どうしてそんな呪いをかけられたのか、という問いに「父が話したがらないから突っ込んで聞いたことがない」っていうのも結構豪胆というか。普通は自分の身に降りかかった災いの原因を知りたがりそうなものですが、原因の究明よりも現状の解決を優先するっていうの、思考が前向きでオスカーらしいなって思います。まぁだからこそ原因の真相は2幕になるまで判明しないんですけどねw
というわけで単純な解決方法として呪い(祝福)に耐えられる母体になり得るティナーシャに結婚して子を産むことを要求するオスカーですが、この時点では多少の好感は持ってたとしても、完全に利益と効率重視でときめきもへったくれもない求婚ですよね(笑)。魔女の血を王家に入れるなんて重臣が吐血する、んだそうですが?どうなんですかケヴィン様ーー??w
押し問答するオスティナを脇目に淡々とお茶を淹れ変えたりしてくれてるリトラが大変可愛い。そんなこんなでお約束の問答はここが始まりなわけですね、大好き。塔を降りることになった最強の魔女であるティナーシャに、明かりを灯してくれたことに感嘆の声を上げ、何かを焼き尽くすのは不要でただ傍にいればいい、というオスカーの力に振り回されない強さが好きです。
2.繰り返し触れられる過去
ファルサス城で見習い魔法士として過ごすことになったティナーシャ、どう考えても浮きますねw 武の国と名高いファルサスでも敵う人はいないほどにオスカーが強いことが判明しますが、ここでラザルから「努力家」って語られるのいいですよね。たぶん傍から見たら苦労なく何でもこなせる人みたいに見えそうなものですが、幼いころから共に育って来たラザルだからこそ見える一面でもあるのかなぁと思います。
塔から連れ帰って来たわりには一週間放って音沙汰なしなの、オスカーがこの時点ではティナーシャに執着心がないのが良く分かりますよね。この辺が普通の恋愛小説と違うところでは(笑)。オスカーの部屋でくるくる宙に浮いたりお祭りに嬉しそうににこにこしてたり意地悪されて頬膨らませたりしてるティナーシャめちゃめちゃ可愛いですよね……。「空中を泳ぐ魔女は、何からも自由で、そして取り残された、美しい魚のようだ」って一文が好き。
ティナーシャの魔法詠唱かっこいいですよね~~~!!!ティナーシャ自身が普段詠唱を必要とすることが少ないからこそ貴重というのもあるし、他の人は基本的に魔法詠唱必要とするはずですが、意図的に重要な戦闘シーン以外では省いて書かれてるんじゃないかなって思ったりもするので、よりティナーシャの詠唱が印象に残りますね。
ファルサスという国の抱えている問題が明確になりましたが、以前Twitterで古宮先生がファルサスは王族の性格とは裏腹に保守的な国だってお話されてたことがありましたが、それもわかるなぁというか、結局はアカーシアがあるからこそっていうのが大きいですよね……。オスカーの血族後継を残さなくてはならないという責務も、ファルサスじゃなければもう少し融通も利いたでしょうに……。
自分メモ:ファルサス歴526年、187回目のアイテア祝祭。
アルスとメレディナの微妙な関係(笑)が好きなんですよね~~。幼馴染!!メレディナがアルスの襟に手をかけて上着を脱ぐ息の合ったコンビネーションとかさ。いいよね。
夜空に浮かぶティナーシャがオスカーからほんのり明るく見えるのはオスカーにとって運命の相手だっていう暗示?的な意味だっていうのは、昔どこかで読んだ気がするんだけど……たぶん今は見れない注釈wikiかな??
そして何故か起こるバラバラ殺人事件。これだからアンメモはラブコメの皮を被った何かなんですよ?!この頃オスカーよくティナーシャの頭ぽんぽんしますけど、まだ被保護者扱いしてるからですよね。
ケヴィン様ちょっと息子に丸投げっぽい気もしますが(笑)まぁ宰相だった弟を亡くされた辺りから近々オスカーに王位継がせるつもりだったのだろうなぁとは思う。ティナーシャが噂で聞いたことがあるほどクムの有能っぷりも気になる。オスカーがアルスに調査任せるの、決して推理が得意そうとかでもなく(武官に謎解きさせるなんて~って言われてるし)、あの場に揃ってた面子の中で、ティナーシャが犯人だという偏見がなく、かつオスカーが信用してる人物って感じで選ばれたのかなって。クムでももちろん良かったんでしょうけど、被害者も容疑者も魔法士である以上どちらにも利害関係なくフラットに見るのに武官の方が良いというのもあるのかもしれない?
フューラの犯行は本当に惨忍なものですが、動機を知ると何ともやるせない気持ちで……。でもそれすらも操作利用された結果だとしたら本当許せないし、正常な精神状態じゃないからこそ出来たことでもあるのかもしれませんね。だからこそ2幕で見れる彼らの幸せな姿は嬉しさがひとしおです。本編後だとテミスが大けがさせられるみたいだけど、取りあえず1幕と同じ事件は起こらないのでひとまずは安心、かな。
同じ精霊術士としてティナーシャがフューラの結末に何を思ったのか、語られないのがまた物悲しい……。
3.夜の透明
使い魔の灰色猫ちゃんは言葉を喋るんだろうかそれとも鳴き声をティナーシャが理解してるんだろうか(どっちでもいい)。
オスカーがティナーシャの塔を訪ねると決めたのが5年前、だから15歳の時か……。オスカーが先にティナーシャのところに行くのか、ラヴィニアのところに行くのかによって消滅史は大きく分岐するはずですけど、それはこの15歳の頃にはもう分岐しているのか、それとも塔に行くって決めてても直前になって別の要素が重なることで分岐するのか……。
オスカーには猫の子のように構われて、鬱憤が溜まってるティナーシャさん身体を動かしてストレス発散(笑)。しかし魔法士なのに剣もメレディナより強いとか……メレディナだって女性武官の中なら強い筈なんだけどね……。
はいそして珍しいラブコメ回ですよ!!!w でも全然艶っぽくならないのもある意味すごい……。ティナーシャがそういう意味でのオスカーに対する危機感があまりないのもありますがオスカーの鋼の理性よ……。「すごい!えらい!」「もっと褒めとけ」のやりとり大好き~~~!!いやほんともっと褒められてもいいと思うよオスカーw
カーヴは完全に巻き込まれで可哀想。でも城の魔法士に普通に依頼してるところが、いくら魔法薬の制作者を割り出す魔法が途絶えて久しいとはいえ、お粗末というか迂闊にも程があるのでは。
ケヴィン様の妹とパスヴァール公爵の子どもって「塔に響く歌」に出て来る金髪の少年かなぁあの子はいい子そうだったのにね。ファルサスは基本政略結婚はしてないと思うし(するとしてもパスヴァール公爵と姻戚になることにさほど利があるようには見えないし)、王妹とパスヴァール公爵も恋愛結婚だったんだろうか、今の感じだととてもそうは見えないけど……。元々あぁいう人だったのかもしれないし、子どもと妻を一気に亡くして、どうして自分の子は死んだのにあいつだけ生きているんだ、という逆恨みで歪んだのもあるのかもしれない。まぁそれは、与り知らぬところですが……。本編後だとこのエピソード自体起こらなかったという認識で良いんですよね……?
ふたりでふわふわと浮かんで移動するのは結構珍しい光景ですね、この時はまだナークが出て来てないからかな。ナークが出て来てからは基本お空の散歩はナークの背中に乗ってるイメージ。
現状に不満を言わない、そのすべてを自分が負うべきものだとするオスカーはすごい。けど、そんな彼がティナーシャの前で息がしやすい、と感じるのが、嬉しいなって思います。
4.湖の畔
アルス一回もオスカーに勝てたことないって、そりゃ自信も無くすというもの……w 守るべき主君が誰よりも強いファルサス怖い。
この頃はまだ、万一にもオスカーと敵対した時に自分がオスカーに殺されないように、と思って自分を鍛え直してたのかな……。
結婚してもいいのでは?と言うリトラ可愛い。一見すると命令だけを淡々とこなし、感情がないようにも見えるけど、使い魔だって長く存在すればそれだけ個性のようなものが生まれるものなのだろうか。
ドルーザの魔法湖に行くっていうティナーシャの言葉だけでテミスの事件の動機に繋がるオスカーすごくない?私はラザルと一緒にえ??だよw オスカーの即決即断は本当に王の資質だな……。
そしてシルヴィア初登場です!不機嫌そうなティナーシャ(しかもドラゴン付き)に物怖じせず話しかけたり、今回の調査にも参加してたり、戦闘向きの魔法士じゃないはずなのに案外度胸が据わってる美人のお姉さん。好き!!
あとナークも初登場です可愛いよーーー肩乗りナーク///
ティナーシャの双眸に見惚れて絶句したここが、オスカーからティナーシャの印象が変わるきっかけだったのがよくわかりますよね。
ドアンもここで初ですね~!主要なファルサス仕官組はここで揃いますね。ドアンののらくらしてるとこ好きだ~~。
ティナーシャが心配で、彼女の言いつけを破って結界から飛び出しちゃうオスカーとそれを追って引き留めるメレディナですが、ここWEB版とは迷子になる方と追いかける方が逆になってるので、書籍版初読の時に特に印象に残りました。私は元々メレディナも好きですけど、書籍版の加筆修正でより好感が持てるように書かれてるな~って思いました。メレディナたちがメインの「語らない花」が書籍では削られてるからこその加筆修正でもあるのかな。オスカーに対する憧憬めいた感情も、ティナーシャに対するどうしようもない嫉妬も、全部飲み込んだうえで武官として為すべき事を為すメレディナはかっこいいよ。
だからこそ逆にここのオスカーは珍しく冷静になれてないのでちょっと格好悪いかもしれないですねw でもちゃんと(?)こういう未熟さがある方が人間味があるというか、後半になるほどオスカーはティナーシャに見合うように自分を見せていくから貴重かもなって思います。
「焼き尽くせ!」がはちゃめちゃにかっこいいですティナーシャ様///ここからしばらくドルーザの魔法士たちに対するティナーシャまじ魔女って感じでひぇってなります。
オスカーがティナーシャを一人で行かせない自分も行く、と主張するのは、ティナーシャのことを魔女だと分かってはいても少女姿であることなどから自分が守ってやらなきゃいけないって義務感とティナーシャに惹かれてるからこそ守りたいって気持ちがあるからだと思うんですが、それとはまた別に、ファルサスでは他の誰よりも強いオスカーにとって、誰かを守るのは当たり前のことで、それが厄介事であればあるほど自分が出るべきだっていう意識があるから、なのかもしれません。だからこそティナーシャの「貴方の重みを背負うくらいなんでもありません」って台詞がすごくいい……///
ここでフラグを立てるお約束のやりとりも好き!3巻のレオノーラ戦前の会話に同じような問いかけがあるとの対になってる感じも良いですよね。
隠れてるヴァルトの存在に気付いてしかも傷を負わせるオスカー本当勘が良いとかいう次元を超えてない?ヴァルトよりよっぽど何者ですか??w
魔獣VSティナーシャ。めちゃめちゃ緊迫した戦闘シーンのはずなのに「どれだけフサフサなんだ……」に思わず笑う。そして、とくと見よ!これがヒロインの腹に穴を開ける恋愛小説だ!!って言うと笑い事みたいだけどいやめちゃめちゃ痛そうですよ、痛い……。
小さくなったナークがオスカーの肩に乗ってるのめちゃめちゃ可愛い~~~好き!!!こうしてみるとナーク初めっからオスカーのこと好きよね。
そして成長しましたティナーシャさん、コミカライズで成長後描いて頂けるの心の底から楽しみにしている/// 無造作に切ろうとするティナーシャの髪を自分が整えると主張するシルヴィアの押しの強さが大好きw 魔女だって知っても変わらず接してくれるシルヴィアは貴重な存在ですよね。
魔獣を倒したことに対して改まって礼を述べるオスカーもそれをなんてことなく受け止めてくれるティナーシャも大好きです。
5.水の中に落ちる
身体が成長したことでオスカーからティナーシャへの意識完全に切り替わりましたね。というか触り方が変わったというか……でもティナーシャ特に気にしないんだよなぁ(笑)。じゃれるいてるナークが可愛いので正義!!!
後世に語り継がれるのがすべて真実とは限らないという。レギウスは馬鹿というかもう微笑ましいというか(笑)。ララさん(オスカーの曾祖母)が好きなんですが、ティナーシャに振られた後のレグとの馴れ初めというか夫婦になった後のふたりもちょっと見てみたい気もします。ララさんに似てるというオスカー、なるほど確かに、抜け出し癖なんかはファルサス王家の血筋だなって感じですが、性格的にはレグやケヴィン様よりも近いものを感じるかもしれないですね。あと個人的にラヴィニアにもちょっと似てると思ってる。
ファルサス上層部の中でたぶん一番目立たないの内大臣ネサンなのでは?wエッタードも本人の出番はほとんどないけど1巻後半ミラリスのあれこれでよく名前が出るしオスカーを始めアルスたちの師として存在感はありますからね。クムは言わずもがな現役で活躍してるし。その辺は、オスカーもティナーシャも自ら現場に行って戦ったり指揮を取ったりするタイプだから、あんまり城に残って内政に専念するってシーンが少ないからかも?あとそういった執務の調整はラザルが取次してるからとか?
そう、本当に一握りの偉い人しか知らない極秘情報であるオスカーの呪いについて、ラザルが知ってるのって、よくよく考えるとすごいことだよなって思うんですよね。それだけオスカーにとってラザルは代えがたい存在だなぁとも。それはこの章を読むと本当よく分かりますよね。
危なすぎるがレオノーラ、話が通じないがカサンドラ、性格に問題ありはルクレツィアですよね(笑)。
幽霊なんて存在しないっていう話は「Babel」にも出て来ますね。「Babel」の頃には魔法士ならみんな知ってるって言われてて、でもシルヴィアは知らない?(いや知ってたとしても怖がりそうだけどw)のは、元々その辺の知識はトゥルダールか精霊術士が持ってたもので、それをティナーシャがファルサスに伝えたのが一般的になった感じなのかなぁと。……いうのがどっかに書いてあったんだっけ??
トゥルダールの精霊の話も然ることながらネビス湖の水妖!!この時点でさえ既に御伽噺レベルな年月が過ぎてるのに……メア………。
仲良くお買い物するティナーシャとシルヴィア可愛いめちゃめちゃ目立ちますね美人二人!!!「寝かされること」が苦手……。
スズトくんいい子!!レグの命令で当時のまま残されてた部屋って普通に考えるとちょっと怖いw ナークかわいいよナーク!!ドラゴンも喉掻いてあげると気持ちいいんですかね?!
守護結界を身を守るためというより盾の代わりに空の手を伸ばして攻撃弾くみたいな使い方するのどうかと思う(笑)。
異類婚姻譚はどうしたって悲しい話ばっかりですね………。過去の真相だって伝わっている話がそのまま真実とはきっと限らないのでしょう、それこそネビス湖の御伽噺のように。ただ今そこ在るのは裏切られたと嘆き狂った憐れな水妖と、彼女を救ってあげたいと願うラザルの優しさだけ。
意思か、命か、何を救い、何を選び、何を生かすのか。選択することが、どれほど苦しいことだとしても。でも「足取りを重くはしない。自らの選んだことだ。そこに後悔を見せては他の者たちが救われない」っていう一文に、全部詰まってるなって、思う。オスカー……。
………書籍全6巻+「変質の旅路」まで既読済みの方にはぜひ先生の個人サイトにある100題5の30『指輪』を読んでみて頂きたいです。大好き。
ティナーシャが400年魔女として在れたのは、失ったら狂ってしまうほどの存在がなかったからっていうのは、本編後を知ってると、あぁ、納得、してしまえるのが、苦しい……。
6.森の見る夢
ヴァルトがティナーシャの塔に「挑戦したことはあるが登りきれなかった」のはいつの話なのか……ヴァルトでも失敗したら記憶消されてどっかに飛ばされたんだろうか……?ここでラナクに遭遇しちゃうのは、ヴァルトにとっては想定外だったのよね……。1幕では謎だけを残してティナーシャと交渉もすることもなくここで退場だものな……。「あなたはどの歴史でも彼女に傲慢だ」がめちゃめちゃ好きだ…………。ヴァルトは誰の生死に関しても、繰り返しの中で覆り、なかったことになるものとしか思えなくなっても、でもそれは『ミラリス』以外なんだよな……。ここで自分が死んでミラリスが生き残れば彼女が当主を継いでしまうと分かっていても、なお、命を賭して守ろうとするほどに。
ティナーシャの採寸結果に興味津々のオスカーとシルヴィアが息ピッタリで笑うw オスカーのティナーシャ着せ替え趣味はここが始まりですねww
平和じゃなくなるラザルが可哀想ww ティナーシャが居ないとオスカーを止められる人がいないからなぁ……いやラザルちゃんとめちゃめちゃ止めてるんですけどね……聞きゃしねぇこの主君(笑)。「基本的に制止されても止まりません」だもんなww
ルクレツィア初登場ですね!!出されたお茶を飲まないの、「夜の透明」で媚薬盛られたから、だろうけど、ティナーシャと最初に塔の上で出逢った時は出されたお茶を飲んでるのと対比になってるのかな?初対面の魔女を即信用する気にはなれないって言ってるけど、ティナーシャに対しては警戒解くの早かった気がするのとかも?まぁその辺はオスカーとルクレツィアとの相性の問題かもしれないが。
強大な力っていうのは、どうしたって人を狂わせ易いものだと思うんだけど「俺一人強くても戦争に勝てるわけじゃない」っていうオスカーがすごい好き。そうしてティナーシャの力に溺れることなくかつ彼女を魔女のまま受け止められるのは、彼自身が力を持つ者である、というのもあるのかなぁとも思います。
そんでまぁ迂闊に精神魔法かけられて危うく死にそうになってるオスカーに激怒なティナーシャ様こわい……。いやまぁでもこれは怒られて当然ですけども……。人が傍にいると眠れないオスカーがティナーシャの子守唄で眠りに落ちるの良いシーンですよね、この後を思うとあれですが……。首を折らせるのはさすがに……、とも思うけど、あの時点で取れる手段が閨房術か夢の中で対象を殺させるかしかないならまぁ、うーーーーん、うん。
まぁなんにせよ一番悪いのルクレツィアな気がするのにあまりに悪びれないからもうしょうがないかなっていう、あれ、トラヴィスと一緒では(笑)。
この、ふたりはいつか殺し合わなければいけない立場であるっていうのがね……。そしてそうであるからこそ、ふたり共にいられることがすごく尊く感じるというか。ちゃんと謝り合えるのもいいなって思います。
7.形に息を吹きこむ
ティナーシャもオスカーも部下の自信へし折っていくよねw まぁそれで腐るようならファルサスではやっていけないでしょうけど。
ミラリスはここで守護結界の抜け道を聞いていたんだろうって後で書かれてるけど、そんなに聞こえるほど近くに居たんだったらふたりとももうちょい気にしそうな気がするんだけど、まぁミラリスに限ってはそれを『知って』いた可能性もなくはないのかなって思うけど……。それとも警戒対象にならないほどに無害を装ってたか。
「かつて一国を傾けるほどに猛威を振るった狂魔法士」って、なんだっけ、どこかで書かれたことありましたっけ??
自分を殺せるように、っていうのがまたねぇ………。ある意味ティナーシャからオスカーへの甘えなのかもしれないなぁって思ったりします。自分を殺せる相手がいるという事への、どこかこう、安心感というか……。ルクレツィアとの会話で疲れを見せるティナーシャですが、それもオスカーの傍にいることに安らぎを感じて来ているからこその裏返しのようにも思えます。
ティナーシャがどうして双剣なのかはネギ、じゃなかった「将軍と黒猫」という作品をお読みになると良いですよ!!(宣伝)
アルスとメレディナの会話でメレディナからティナーシャへの感情が語られることで、後半のメレディナが本当に操られてることがわかるというか大分印象が緩和されますよね。嫉妬も劣等感も人間が持つ当たり前の感情だと思うんですよ、でもそれをどう律していくかに人間性が現れるわけで、メレディナはちゃんと律して折り合いを付けられる強い人なのにこういう卑劣な手段でそれを台無しにするの許せない。アルスがね、咄嗟にメレディナ庇ってティナーシャ切っ先を向けようとしちゃうのが、臣下としては失態だけど、それだけメレディナが大事なのが分かるから個人的には好きなところ。
ティナーシャ自身が望まなくてもその存在が人を狂わせる。その最たるがラナクであるのでしょうが……。オスカーがティナーシャを抱きとめてくれる姿を見ると、オスカーがいて良かったなぁって、思います。
8.この息は彼方の息
選択肢を増やす為にオスカーを鍛えるというティナーシャの言葉を覚えておくと、6巻の「塔に響く歌」でオスカーがティナーシャに言う言葉がすごい感慨深いですよね。
さすがに足触られて肩に口づけされたらもっと気にしてティナーシャ様!!意識されてなさ過ぎてオスカー可哀想w
オスカーに魔力がある(しかも実は多い)のは魔女の孫だから、ですけど、本編後を読むとそれとは別にロザリア様が魔法士だったことは知られててもいいんじゃないかなって思ったりしたけど、オスカーはそれも知らなそう?なのは、亡くなった時に緘口令が布かれたのか、魔法士であることは隠して嫁いできたのか……。
虫を戦わせるようにオスカーと戦わせるティナーシャ様(笑)。いやしかしこれが仕上げで大丈夫?って思うくらいオスカー圧勝じゃん??w
「結婚以外なら」って先手打つ会話楽しい~~お約束のやりとりにも変化がないとね!!
9.今宵、月の下で
カガルは正直いい気味だなって気持ちなんですが……ミラリス……。ヴァルトと一緒にいた少女の名がミラリスだと知ってる読者は当然、髪色が違うとはいえ同じ名前の女官の少女の存在を怪しむだろうけど、不審な情報が出るまでほとんど誰にも疑われず中枢まで入り込んだのはもちろん、女官としての彼女に怪しい挙動は全くないの、すごいというかなんていうか、演技が上手いというべきなのか……。
ヴァルトはオスカーやティナーシャに対して、色々画策したり陥れたりはしても個人としては感情を寄せてる部分があると思ってるんだけど、ミラリスの場合はたぶん、こうして傍で仕えてたとしてそれは全てエルテリアを手に入れる為でオスカーにはむしろ憎しみすら抱いているはずで、ただただヴァルトだけが、彼女にとって全てなんだろうなって、そう……。
「お前は俺より後に死ねよ」が、なあぁぁぁ、傷が疼くなぁぁぁ。
エッタードはミラリスが何かしたわけじゃなくて、本当に寿命だった、んでしたっけ……どうだっけ……?どっかに書いてあったりしたかなぁ……思い出せない、けど……。んーー、でも、遺品整理をしたからこそ彼女の出自を怪しまれ始めたんだから、生きてる方がミラリスには都合がいい、か?
「殿下のどこに不満が?」「どこですか?」「俺に聞くな」のやりとりがめちゃめちゃ好きw
時間を遡ることは出来ないってちゃんと明言されてるんですよねここで。だからこそ「とうに取り返しのつかない過去の夢」に繋がるわけなんですけど。本来であればね。「寝かされること」が苦手なんですよ!!!ラナクの所為だよ!!!!
心でも体でも魂でも命でもなく、ティナーシャからの執着が欲しい。っていうのがね、オスカーらしいというか、ある意味一番難しい望みというか、通り過ぎていくものだからと諦めないで欲しいってことだもんな……。
ティナーシャに会えなくなって不機嫌なオスカーさん、でもちゃんと仕事はする、偉い。ラザルが会いに行く時間作りましょうって言ってくれるとこ大好き!そしてティナーシャに会うために塔を登ってくる王子様。って書くとすごいロマンティックっぽいのに実際は人間やめてるよオスカー(笑)。
沈黙の魔女からのオスカーへの『祝福』に「愛情と増悪は表裏であると思い知ります」と語るティナーシャ。強過ぎるがゆえに『呪い』となっているけれど、本来誰かを守るためにかけるのが『祝福』だとするなら、『誰』を守っているものなのか――。ってね。
ミラリスに付けてる監視って、カガル殺した時とかどうなってたんだろ??それとも場所がわかる程度で何をしてるかまでは分かんないとかなのかな?
アルス終了のお知らせが(笑)。いやぁ言い訳しないのは潔くて好きよww メレディナがいるから余計何も言えなかったのかもしれないけどwww
セクタはどういう経緯で作られたんだろうね?アカーシアはディアドラが無言の湖から取り出して与えたわけだけど、セクタも同じだとして、呪具を壊すための剣とはまた全く用途が違うもののように思うのだけど……。
(そういえばセクタって「Babel」に出て来たっけ??記憶がないな……。あの、ディスラルがティナーシャをあれした時に確か使ってたのは覚えがあるんだけど……)
誤解して嫉妬して相手に無理矢理迫るとかとっても恋愛小説っぽいシチュエーションなのにティナーシャのトラウマを刺激してしまったためそれどころではありません。ちょっとここのオスカーは彼らしくない気もするんですが、現状へのストレスが溜まってる所為もあるんでしょうたぶん。若いね。謝ってるオスカーに「何で?」って言っちゃうティナーシャがほんっとw
選択肢が千あってもお前を選ぶと言われて青くなったり赤くなったりするティナーシャが可愛いですね。ここまで言わないと伝わらないw いやまぁでも実際最初は恋愛感情からの求婚じゃなかったし、オスカーが自分の気持ちを切り替えたことを明言しなきゃ恋愛ぽんこつティナーシャが気付かないのも無理はないかなって気もする。
封飾をしたままだったのは本当不手際だったね。「失態を雪ぐ選択肢を選ばせろ」っていうのが、良い……。オスカーは「湖の畔」の時点ではまだ力不足でティナーシャに任せる選択肢しか取れなかったけど、彼女が鍛え上げたことで魔獣と対峙できる選択肢を選べるようになったってことですからね、込み上げるものがありますよね。
オスカーが実は両利きなのなんか色んな意味で卑怯!
ミラリス……ミラリス………いやほんとあの、ヴァルトとミラリスのことを考えるとなにも言葉にならない………涙しか出てこない………。
10.無名の感情
鍛錬の仕上げで勝利したご褒美に「ちゃんと俺に好かれてる自覚を持て」と願うオスカー、殊勝なように見えてめちゃめちゃ贅沢な願い事な気もしますね。そして「自覚を持って断ります」とか「待たなくていいです」って言いながら、あの、なんかすごいふたりいちゃついてるのはどうしてなんですか???いやありがとうございます!!しかし自覚とは一体?????(笑)
オスカーの瞳の色の表現がすごい好きなんですよね、っていうかティナーシャがオスカーの瞳好きだっていうのがすごく伝わってくるから、好き。
おまけ
着せ替え楽しそうだねオスカー(笑)。オスカーが魔女であるティナーシャを魔女であるまま一人の人間としてみているように、ティナーシャもオスカーを王族であること込みで一人の人間として接しているんですよね。そういうところがお互い替えの効かない無二のふたりだなぁって思います。お似合いです。どうかずっと幸せでいてください………。
はい、というわけでここまでお付き合い頂きありがとうございました!
めちゃめちゃ長いんだけど一番ページ数少ない1巻でこれで大丈夫なのかな……。ひとまず決意表明として一つ上げたかったのもあるので、あとは気が向いた時ののんびり書ければいいなと思います。
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