ネタバレ感想「Unnamed Memory」6巻(著:古宮九時 電撃の新文芸)
電撃の新文芸「Unnamed Memory」全6巻本編完結(勝手に)記念!遅くなり過ぎた6巻の感想です!!もう来月には続編出ちゃうじゃん!!間に合ってよかったー!w
<※注意>
・考察じゃなくてあくまで無駄に長い感想です。語彙力などない。
・書籍化部分(「Unnamed Memory」全6巻&「Babel」全4巻まで)のネタバレには配慮していません。かつWEB既読組なので古宮先生の個人サイトおよび投稿サイトに掲載されている全作品および同人誌についても、匂わせたり触れてることもありますのでご注意ください。
・でも、大体全部読んでるはずなのによく色々忘れてるので的外れなこと言ってることも多々あると思います。伏線とかは信用してはいけません。間違ってても優しく見守ってください(笑)。
・自分で思った以上にヴァルトへの感想が多いし大体泣いてるので今回はいつも以上に支離滅裂ですw
表紙・口絵・目次
表紙のこの、どこの軸のふたりなのかはっきりしないところがなんていうかすごい……(語彙力皆無)。空が高く、ふたりが笑顔で手をつないで前を向いて歩き出す。そういう希望いっぱいの明るい表紙、なのに、どこか切なさを感じるのは、読者の心持ちのせいですねそうですよね……。
口絵のイマジナリー海デート可愛すぎませんか!!!こちらもいわゆるイメージ画像というかいつどこのふたりなのかはっきりしないというかまぁ本編にありませんからね!え、本編に存在しないシーンがイラスト口絵になること普通あります????(あるんだなぁw)
目次絵のヴァルトとミラリスが、寄り添ってるふたりが、可愛くて可愛くて、切なくて泣いてしまう……。ふたりともめちゃめちゃ幸せそうにも見えるし、ヴァルトだけは深い悲しみを抱えてるようにも、見えるような気がします……。
1.眠りをもたらさぬ歌
女王時代のティナーシャが書かれることは今まであまりなかったので新鮮ですね。いきなり凄惨な場面から始まりますが(笑)。まぁトゥルダールだしな(それで納得していいのだろうか……)。
トゥルダール女王として当時のファルサス王族と関わりを持つのもこの試行の時だけなんでしょうから、二幕の特別感が増しますね。この頃はまだディアドラの名前も残ってたんだなぁ……。彼女の事は私もまだ詳しくは分かりませんが、恐らくシリーズの最終章にあたる「End of Memory」で語られるか、そうじゃなくても関係してるはずなのと、先生の個人サイトにある100題の中に彼女とファルサス建国王の話やトラヴィスとの話もちょこっとだけあったりしますので興味ある方は探してみてくださいね。
時は現在に戻って。ちょっと面倒事が多すぎだから予定より早く退位する?って聞かれるティナーシャ様(笑)。っていうかオスカーの考えてること分からないって言われるのもちょっと可哀想だな……わかってないのティナーシャ様だけじゃないです???w
レジスが本当有能で素晴らしい!素敵!!レジスがいれば安心して後任せられますよ!!!
死を呼ぶ歌の話は一幕でも起こりますが、二幕では一幕では判明しなかった裏側の部分が分かるようになってるんですよね、ほんっと面白い構造だよな~~~~~すき!!!
ラザルがどうしてオスカーに余計なこと(死を呼ぶ歌)を話しちゃったのかもこっちでわかりますね。まぁでもラザルの場合はこういう秘密裏かつ断りづらい要望をオスカーに伝えなければいけない立場である、というだけじゃなくたぶん本当に本人の迂闊さみたいなところはあると思いますが(笑)。
そして一幕の嫉妬心がないティナーシャと違い、二幕ティナーシャはやきもちでお怒りでめちゃめちゃ可愛くて好きなんですよね私……/// いやこれに関しては本当にオスカーが悪いと思うよw
というわけで最初からティナーシャを連れて行ってればこんなにあっさり解決したんだよという(笑)。クラーラがオスカーに魅かれる猶予もなく、目の前で突然シモンが殺されたわけでもないので、彼女は今回は棘には至らなかったという感じですかね。
シモンの村が滅んだことに関係してそうな男とは誰なのか、ここでオスカーの部屋に設置された転移陣もあとでちゃんと活躍するのがいいですよね!!オスカーなんだかんだでめちゃめちゃ理性の人なんですよ……好きだ。というかティナーシャが無邪気過ぎるというかなんというかw
アカーシアについての「初代王妃が健国王に贈った」というのと「人外が無言の湖から取り出した」というふたつの逸話は、一見矛盾してるようで実はそうでもないというね。
「愛してますよ」に「知ってる」って答えるのさぁ、なんか、すごい、好きなんですよね……、グッとくる、というか……。
2.単色の花
イツの昔の知己だという外れない占いをする少女の正体は……もうちょいあとで語られるのでここではひとまず触れずにいるとして。無数の破片が突き刺さる、に関して日常茶飯事だ、はどうなのティナーシャ様……。
二幕のトリスを見てると本当に幸せになって欲しいなぁって思うんですけどね……。悪い子じゃないんですよね……むしろ素直で基本はいい子だと思うんだけど……確固たるなにかを持たないいわゆる普通の子であるがゆえに翻弄されやすい子なのかなぁ。あと何気に二幕の時しかあり得ないエイルとのやりとりが、私は結構好きなのですよね。
ティナーシャが、この違和感を流さずに突き詰められていたら、何か変わっていたでしょうか……。いえ、変わっていたとして待ち受けるのは行き止まりなんだろうけれども。
はい、どこかで聞いたことがある名前が出てきましたね!w 一幕の時はクスクルの狂魔法士として出てきた彼ですが、お前そんなことまでしてたのかよ的なやつ。そして本当トリスが心配になるもうちょっと用心を覚えましょうね……。
でもまぁバルダロスもこう、笑っちゃうほど愚かですけどね、うん、いや、相手が悪かったですね、ご愁傷様w どう切り分けるか相談するオスカーとレジスに笑うw
オスカーもティナーシャも強者であり、だからこそオスカーの言葉はティナーシャに響くんだろうなぁと思いますね。
バルダロスが仕掛けた魔法が作動しなかった理由は元々あった構成がヴァルトとミラリスのものであり、起動する前に修正されたから、なわけですが。この、お礼を言われて嬉しそうなミラリスめちゃめちゃ可愛いのに、どうしてもこう、このふたりの会話は全てが切なく感じますね……。
3.過去の矜持
婚礼衣装を当日の楽しみにしてるオスカーにちょっと胸の痛みを感じるのはどーしてでしょうね……ふぅ……。
ラヴィニアを呼ぶかどうか普通に話題に出すところが豪胆というか、ラヴィニアには一蹴されそうですがw
丈の短い(足の見える)衣装でくるくる回るティナーシャ様まじ子供みたいだし高い高いでぐるぐる回されるのがもう子供に対するあれです(笑)。
二幕だとティナーシャは魔女じゃないので、オスカーは彼女を殺す覚悟がないんですよねぇ……。
オスカーもだけどティナーシャも適材適所で考えちゃうと自分が一番適任になっちゃうからって身軽に動き過ぎなんだよなぁ(笑)。加えてティナーシャはあまり自分を顧みないから本当にもう……。そしてレナートにちゃんとオスカーに告げて行けと言われるやつw 婚約者というよりまるで保護者のようであるw というかなんかやっぱこう二幕のティナーシャ様はちょっと、かなり普段が子供っぽいというかなんというかですよねw まぁだからこそのこの後の展開なんですが。
はーいそしてマグダルシアに怪しい女性が現れましたよ!!すごくどこかで見たことがある容姿とお名前ですね?ww
そんでまぁあの、あの状態でお預け食らうオスカー本当可哀想……(苦笑)。
ルチアの事を調べる過程で外れない占い師が「水の魔女」だったことが明かされましたね!いつか彼女の姿もchibi先生に描いていただきたい/// トゥルダール健国王と水の魔女の話は先生の個人サイトやなろうに置いてある「水の冠」という中編にて語られていますよ~。(しかし他の精霊と会ったことがあるような描写はなかったように思うのですがいつ会ったのかなぁと考えると、一度トゥルダールに送り届けた時とかか……?)
一幕ではあんなにティナーシャと近しかった「閉ざされた森の魔女」と二幕では全く関わりがないというのがなんとも淋しいものですね……。
そしてこの辺りからオスカーとティナーシャの間に食い違いというか掛け違いというかが生じて来ています。オスカーがラヴィニアからの忠告を隠しちゃうのもそういうのの表れかなぁという感じがしますね。時間的にも関係的にも進んでるはずなのに、この時点でまだ、一幕での魔獣戦までのオスカーと同じ感じというか……、まだ守ってやらなくては、という意識が強いというか……?
いやぁしかしオスカーは本当に、……モテますね(身も蓋もない)。でもここでゼフィリアに毅然と対応するラザル好きだ~~~/// オスカーは強いが故に優しいのですがよくよくその優しさに付け入られてるというか、ここってある意味顧みられない棘の二幕バージョンなんですよねぇ。何も反論できないオスカーも珍しいけどまぁ当然ですよもっと怒られときなさい。でもゼフィリアもなんかこう、ね、こう、嫌いになれないんですよね……。
あ、あとナークかわいい!えらい!!扉の鍵開けたりも出来るの賢い!!!
ヴァルトにしてやられてばかりいるのは今の自分たちをよく知られているから、なら彼の知らない自分になればいい、っていう思考に行きつくのも怖いというかすごいというか極端というか……。
4.記憶の果て
二幕は400年前の即位期間に精霊たちと過ごしてたから家族感が強くて、なんかいいですよね……。もちろん王と精霊である以上決して対等ではないけれど、女王時代のティナーシャにとって大切な存在だってよくわかる。「いい女王になれ」という「彼」の言葉は枷でもあったのかもしれないけれど、あの時代を生き抜くには大きな支えでもあったのだろうな。
そして女王ティナーシャ様覚醒です。口調がそのままなのに感情が乗ってないのが分かるのがこう、不安というか落ち着かないというか……。今までがそれこそ子供っぽくて感情が素直に表に出る姿をずっと見せてきたティナーシャだからこそ、打っても全然響いてないやりとりが空虚でしんどい……。まさに感情をそぎ落としてる状態ですよね。
ヴァルトが次に伝えたかったことって、考えると胃が痛くなるんですけど……、え、だって、ヴァルトの次って……。
トラヴィスとの話は色々、いろいろ、ほんと~~にいろいろ重要なことが詰まってるのですが、それゆえに逆に何もかも言いづらい!!世界を鑑賞されてるってことは人間だけじゃなく魔族もその対象のひとつになってるともいえると思うんだけど、トラヴィスはそこはどうでもいいんだね。でもそれでも、オーレリアとの時間が失われるのは厭うんだよなぁ……。
ティナーシャが思う幸せと、オスカーが彼女に望む幸せが食い違ってるんですよね……そしてたぶんそれは、この先もずっと埋まらないままだったんだと思う……。私はどうにもオスカー寄りなので、本当にティナーシャ様にはもっと自分を大事にしてほしいと願ってしまうんですが……。
オスカーにしては珍しく迷ってるのをヴァルトに発破かけられるこのシーンめちゃめちゃ好きなんですよね!!w 楽をするなと敵(?)に怒られるという(笑)。もちろん現状が自分に都合が悪いからっていう理由ではありますけど、ティナーシャを救いに行かないオスカーにちょっと苛立ってるというか、ヴァルトからティナーシャやオスカーへの感情がちょっと透けて見えるというか。
ティナーシャに好かれた状態から始まった二幕なのでオスカーの努力が足りないと言ってしまえばそうなのですがw 一幕の最初の頃は、ティナーシャの方がオスカーより強かったので追いつこうとしてたけど、二幕は最初からわりとオスカーの方が強かったのも要因の一つでしょうか。でも、覚悟を決めるのがその分遅くなっただけで、道は、初めから選んでいたんですよ。
ティナーシャにとってオスカーは唯一無二だけど、オスカーにとってティナーシャは無二の女じゃない、というのもある意味真実ではあるんだけど、でもオスカーに私人としての幸せと自由を与えてくれるのはティナーシャしかいないっていうのも、真実なんですよね……。
戦争が始まりました~(軽い)。いや、あまりに一方的過ぎてマグダルシアとの格の違いを見せつけているからついw ルチア(の中の人)が力に溺れて一人暴走してるだけだからまぁ当然といえば当然ですかね。予め罠を敷いておくっていう魔法士らしい戦い方ですよね。かっこい~~!魔力が多いだけの素人(中身)相手とは言え戦いながら会話してるのもすごいですよね。
決断した後のオスカーの揺ぎ無さが好きだ。
こんなん言われたらそりゃ泣いてしまうでしょ……。ティナーシャの孤独を埋めてくれるのはオスカーしかいないんですよね……。ティナーシャを泣かせてあげられるのなんてオスカーだけだよ。
ところでルチアさんの中の人その姿で下品なこと言うのやめてくださる???? だいたいあれほど軽くあしらわれておいて私に勝てないから~ってセリフよく出てきますね??????(辛辣)
あれ、やっぱり今は魔女の時代なのか……。
まだ結婚してないから心残りで死ねない。に対して、でも二幕の二人は結局……って考えるとダメージを食らうやつ……。
マグダルシアのトップふたりしてダメじゃんもう……いやまぁ正常な判断ができる状態じゃなかったといえばその通りだし、これもまた強大な力が人を狂わせるという話なんだろうけど。
……オスカーもティナーシャも、最強レベルに強いけど、そう強い力を持つわけでもない相手によってピンチに陥ることが多々あって、それは、この先も、ずっと、そうで…………。強大な力など持たずとも、ほんの非力な人間でも、相手を傷つける意図を持って振るわれた力は、たやすく人を、殺すのだということを、突きつけられる……。
いやしかしウーベルト王の小物感がすごいというかルクレツィアの精神魔法の怖さを知ってるとやっぱり拙いですな。今回はすでにオスカーが過去の記憶を取り戻してるからっていうのもありますが、そうでなくても楽々乗り越えそうだよあの人。
鏡の中で膝を抱える少女ルクレツィアの挿絵を見て、私は思わず彼女の別の名前を叫びましたよね、叫ぶよね、chibi先生ありがとうございます~~~~/// 「Rotted-S」も書籍化しようぜ!!!
ルクレツィアの姿で語りかけてきたのは『世界』ということですかね……。そんな贈り物いらんわい、と言いたいところですが、まぁそうもいかず……。ティナーシャの方がよく『世界』というか別位階に触れるのだけど、鑑賞・干渉を断ち切る者として『世界』に選ばれたのは、果たしてティナーシャなのか、結果的にそれを成すオスカーなのか……。
ルクレツィア本人が喋るとルクレツィアだなぁという感じ(当たり前)でなんか安心しますねw アカーシアの剣士がラヴィニアの孫で素直に驚いてくれてるのも好きw 数日開けただけくらいの感覚で数十年経った庭の薬草を心配するところも、魔女だなぁという感じ。
というかこの時点で来週結婚式なのに本当事件起こりすぎですね!!?
二幕では「青き月の魔女」ではないのに青い月を見てティナーシャを想起する描写が入るの、いいですよね……。
オスカーが女王としてのティナーシャを知って救い上げる機会がこの二幕しかなかったのなら、やっぱり二幕は特別だなぁって思うんですよね。そして二幕の迷いながらも決断する女王としてある彼女だからこそ、あの結末になるのだと思うから、私は、好きです。
ところで所々で「婚約破棄」って言葉が出てくるのは、今の流行りだからですか?ww
5.いつかの君と
来ましたよ、この、既読者を奈落の底に突き落とす書き下ろしが……っ。ヴァルトがファルサスに仕えてたことがあったのは、本編でも本人の口から語られますし、先生の個人サイトの100題にも何個かその頃のSSがあったんですが、詳しいことは語られたことがなかったので知りたいなぁって、呑気に言ってた過去の私よ、覚悟しろ。消滅史ってことは、だ。平穏無事に終わるわけないんだよなぁぁぁ。
いやでもなんか本当にこの、在りし日の、いやもうどこにも無いんだけど、穏やかな日常を風景が、すごくこう、しっくり来てしまうのが、逆にめちゃめちゃつらくて、……つら……。いやもうヴァルトの存在そのものがすべてにおいてしんどいんですけども、このさ~~オスカーにもティナーシャにも重宝されてる感がさ~~~~~。
あと「記録」を読むのはひとりしかいない、っていうのも、やっぱりそうだよね、そう……ぐぅ……。
ドアンはどこでも苦労性だねww すっきwww 本来はクムの後任はドアンなんですよねぇ。
この得体のしれない何かが忍び寄って来てる感が嫌、すごく嫌だ~~来ないで~~~っっ。
ミラリス可愛い!!!!!この蓋開けられないのやりとり可愛すぎかよ……。なんで、なんで、このふたりが穏やかに幸福にファルサスの城下で暮らしていく未来は存在しないんですか……どうして……。
ヴァルトとミラリスも、運命の恋人たちっていうか、ヴァルトは記憶があるとはいっても、ミラリスはヴァルトが死ぬまではその記憶がないわけで、それでも、何度も出逢い直して、何度も恋に落ちて、いるのだものね……。
ファルサス魔法士組と仲が良いヴァルトが、ぐぅ……。だって、だってちゃんと地の文に書いてあるんですよ「仲は良い」って!!!!!
人の何倍もの記憶を持つヴァルトをもってしても読めないと言わしめるオスカーすごくない??
海辺の遺跡、海辺の遺跡……?精霊術士の??ど、こかにあった話だったような気もするんだけど、ぱっと出てこないな……。
オスカーが鋭すぎてヴァルトもびっくりだね……。彼は優しい……というか強いからこそ人に手を差し伸べられる人なんだよな……。たらればを言っても仕方がないのだけど、ヴァルトがティナーシャにではなくオスカーに打ち明けてたら、と、この会話を知った後だと余計に考えたりしますね……。
どうして、ヴァルトとミラリスがファルサスの城下で穏やかに暮らしていける未来はなかったのですか……(二度目)。うぅぅぅこんな幸せな風景見せた後に急転直下でこれだよ、ひどいよ……。
トリスはなんであんなことになっちゃったんですかね……。今生では会ってないってことはクスクル戦にはいなかったのか……。サヴァスの方も、首尾よく手をまわし過ぎたことで逆にティナーシャが説き伏せる機会が無くなっちゃったからの結末なのかな……。ある程度は似たように収束するようになってるとは言っても、何がどう転ぶか、ほんの少しの掛け違いで変わってくる、それが人間だから、とも言えるのかもね……。
ここでイリティルディアですよ……。書籍版で初めて明かされたタァイーリの唯一神……こっわ……。
シルヴィアが目覚めないのもドアンが憔悴しきってるのも、めちゃめちゃつらい、ミラリスのことも、つらい、つらいし、……この、この決定的なセリフを、ページ捲ったところに持ってくるのはさすがに人の心案件なのでは……?????いやめちゃめちゃ効果覿面ですよ……はは……。
2巻も、こうなる可能性はあったんだよな……。オスカーもティナーシャも『王』で、だから……。泣きそうなので感想も感情もまとまらないんですけど、『王』としての選択は彼にとっては当然で、でもオスカー個人としての望みは違くて、……それを、それをね、もう彼の臣下じゃなくなるヴァルト相手にだけ吐露するっていうのも、もう……。
ティナーシャが自分の命を軽んじるからその分オスカーが大切にしたいと、そうずっと思っているのにね、それを選べなくしてしまうのが往々にしてティナーシャ本人なのがまたつらいんだよ……。
自分のためだけには、過去のやり直しできないだろうというオスカーの王としての高潔さが切ない。一幕で400年前に戻ったのだって不可抗力みたいなもので、自分で選べるなら絶対に選ばなかったはずですからね。
……まぁそれはそれとして、そういう詳細は時読みの一族にはたぶん伝わらないんだろうから、ヴァルトからしたら二幕の状況は、この時こう言ってたくせに!って感じかもしれない(笑)。いや、すみませんもう冗談でも言って笑ってないとつらいんです……。
時間が巻き戻り、幾度ものやり直しの度に、大なり小なり異なる人生を生きる人々は、過程が違う以上別人である、というのも間違いではないのだと思います。ただこの世界は分岐しない、上書きされていく、だから平行世界は存在しないわけで、そういう意味では同じ魂を持つ同人、ということにもなるのかな……。
ヴァルトとミラリスは、きっとこれまでも、どちらが先に死んでしまっても、お互いのためにエルテリアを使って(使おうとして)来たんだろうな……。
6.代わりのない複製として生まれ
この章題が好きだ、とずっと言ってる気がします。でも「代わりのない複製」が何のことを指すのかは実はよくわかってないのですが……w でも前の章で書いた繰り返された世界で生きる人は同人か別人か、というのとも繋がる話なのかなぁとも今これを書いてて思ったりしました。ある意味では何度も何度もコピーして貼り付けて上書きされた世界。でも巻き戻りが無くなった世界でも、上書きされた世界であっても、そこに生きる人々は決して偽物ではなくて、とか……そういう……?「代わりのない」が「消滅史であっても正史に劣るものではない、かけがえのない」というような意味なのか、「本来の未来には存在しない、本編後に失われるもの」というような意味なのかにもよるかもしれない……。
冒頭のヴァルトとミラリスの会話に涙腺がやばいことになります。別れを前提にした愛の告白ほどしんどいものがありますか……。たった、一度。たった一度だけの、老いて死が二人を別つまで平穏に暮らした、その事実さえ、もう一度目が覚めた時には、泡沫に消える絶望は、いかばかりか……。
ティナーシャ退位式の翌日がレジス即位式でその2日後が結婚式の予定って本当に詰まってるなw 二幕の、ティナーシャの婚礼衣装はどんな感じだったんですか……?み、見たかったなぁぁ。
ここにきてレジスの挿絵が入るっていうね、……レジスぜっっっったいに良い王になったのにな……。400年を超えた先で、この時代のトゥルダールにレジスがいなければ、オスカーとティナーシャが結ばれることもなかったかもしれないですよね……。
いつだって穏やかで、狂ってるようにはとても見えないけど、それでも、感情をそぎ落としてこなければ、保っていられないほど過酷で、人がどう死んでもそこに意味はない、と思うようになって、でも、そのなかに、ミラリスは含まれないのでしょう、ヴァルト……。
青き月の魔女の塔があった場所に呼び出すのがまたなぁ……。トゥルダールが本来は存在しない滅んでいるはずの国であることを突きつけられるの、きっついですよね……。読者からしたらそれこそ今トゥルダールが存続してることこそが奇跡だけど、今を生きるティナーシャにとっては受け入れがたい衝撃だろうね……。トゥルダールを人質に取る辺りが、ティナーシャをよく理解していることへの表れでもありますが。そしてヴァルトが、本当は彼女に幸せになって欲しいって思ってて、ごめんねって謝るのも、本心だと思うからさ、もうなんとも。
そうして明かされるヴァルトの真の目的。ミラリスを救うためにエルテリアを壊したいヴァルトも、その思いを汲んでなおエルテリアを使用する人の心を否定できずに迷い悩むティナーシャも、どちらの気持ちも、理解できる気がするから、難しいですよね……。
あとそんなこと言ってる場合じゃないんですが、ヴァルトがオスカーに対して主君という認識が強烈に焼き付いてるのが、好き、です。
「最初から出会わなければ、彼女は別の誰かを愛するだろう」というヴァルトと、「貴方と出会わぬ幸福より、私は貴方と出会う不幸を選ぶ」というミラリス。オスカーとティナーシャにも言えることだけど、どれだけ相手を愛していても、想っていても、別の人間だから完全に分かり合えることは出来ないし、一方が願う幸せが、もう一方にとって幸せであるかは、わからないのだと、痛感させられる。ミラリスが、本編後、本当に他の誰かを愛したのかは、ぜひ先生が専用サイトで公開してくださってる購入特典SSを読んでみてくださいね。私に言えるのはそれだけです。………私は今、号泣してるんで……。
オスカーのところに戻りたい、帰りたいって願うティナーシャ……/// あぁでも、二幕のティナーシャ、結婚させてあげたかったな……。
7.運命の代償
「挑め」というのは、人に対する慈悲か無慈悲か――。
「たとえば私がいなければ」から始まる一節は、誰の言葉なんだろう。いや最初は普通にティナーシャかなって思ってたんですけど、改めて読んで、なんか、ちょっと、もっと俯瞰した目線のような、気もする……?
この言葉が、ね、なんかうまく言えないですけど、私がアンメモをはじめとするmemoriaeシリーズを好きな理由が詰まってる気がしています。
ティナーシャ様の台詞が完全に記憶喪失な人のそれですw 久しぶりな国王夫妻のふたりに会えてうれしい気持ちと、切なさがあふれ出してきますね。
そうしてティナーシャの口から語られるもうどこにもない歴史、長い旅の話。信じられん。と言いながらもしっかりと受け止めてくれるオスカーから、トゥルダールを見てみたかった、と言われたら胸に来るものがありますよね……。歴史から、世界から消えてしまっても、覚えている人がいる限りなかったことにはならない。はずだから、だから、たった一度の奇跡で成ったトゥルダールを、レジスやそこで生きた人々を、私たち読者も、覚えているから……。
ティナーシャが起きた時に世界が作られた、とか、想像を絶するというかなんというか……。ヴァルトもミラリスもいない状態、だから、今は一幕に近い世界なんですよね。
アカーシアって、最初から謎の剣として出て来ててかつそれを受け入れてしまっているから、逆に疑問に感じにくいんですよねきっと。
400年+繰り返しの膨大な記憶を持つに至ったティナーシャが、オスカーと共に在れる今が一番幸せだって言ってくれるの、本当に泣きたいくらいうれしい……///
時読みの当主を継いでしまった以上、一人でそれを抱えていく覚悟を当たり前のようにするティナーシャと、彼女がそうすると分かっているからこそ、破壊を選んだんではないかなと思うオスカー。
過去を変えたいって、誰しもがきっと一度は考えたことがあるでしょうし、それを否定することは、私にもできないです。でも。
ずっとずっと、私がもっとも好きな、オスカーの台詞です。彼の人としての矜持に、その信頼に、いつだって背筋が伸びて、格好良くて、憧れて、大好きな。人の『王』としての決断。
でもその一方で、彼が破壊を即決したのには、ティナーシャが時読みの当主になってしまったから、というのが大きいのではないか、とも思っていたりします。
外部者からの干渉を良しとしないのはもちろんだし、この先の時間が行き詰まりかけていつか崩壊してしまうだろう、という理由もあるにしろ、どうして封印じゃなくて破壊を選んだのか、また以前にどこかで、オスカーとヴァルトは案外似ているのではないか、というようなことを言ったことがあるような気がするのですが、つまりはどちらも、自分が消えてしまう(かもしれない)のにも関わらずエルテリアの破壊を選ぶのは、それぞれに一番大切な人の為、なんじゃないかなぁという。だってふたりとも、たとえ自分と会えなくても彼女が幸福に暮らすことを願っているんだもの……。だからまぁ、確かにティナーシャがエルテリアに取り込まれてない状態でヴァルトがオスカーに打ち明けても、すぐには破壊を選ばなかったかもしれないですね……。
そうして少なくない、ティナーシャを永遠の孤独と呪縛から救いたいが為の決断が、この先永く永く続く幸福と絶望に繋がってしまうのは、皮肉でしかないですが……(ぇ)。
「歴史が変わっても~」からのティナーシャの愛の言葉は3巻のオスカーの台詞と対になってるんですよね……。「もう一度恋をしましょう」がめちゃめちゃロマンチックだし、この先を思うといろんな意味で胸が苦しい……。水の魔女の外れない占いが、当たりました。
幕間:喪失の欠片
子を救いたいと、自分の命を投げ打ってでも取り戻したいと、願うことに罪などあろうはずもなく、ただただ、悲しくつらく苦しい。それでも失われた命は、もう戻ってこないのです。
8.灰色の部屋
エルテリアを作った外部者の残滓との会話ですね。外部者の呪具は記録的な性質を持つものが大半だけど、エルテリアはその中でも強大で、でも他の呪具よりずっと現地の人間に委ねられている部分が多いですよね。
だからって傲慢であることには変わりないですけど。もっと君たちを見ていたかった、というのも大変上から目線ですしw この外部者たちの事情も、いつか「End of Memory」で語られるのかなぁ……。
オスカーも、ティナーシャも、そしてヴァルトも、相手から貰った愛情があれば、前に進めるっていうか耐えられるというか、命を、人生を、全てを、賭けるだけのものを貰った、と思ってるところが、こう、もう、もう~~~~~。
挑めばいい、というのは、ある意味では人の可能性を信じる言葉なのかもしれないな……。
9.物語の行方
342回目のアイテア祭ですよーーー!!オスカーとティナーシャが出逢った年の祝祭は187回目です。つまり……?
王と魔女の御伽噺も、時が経てば、城都以外とはいえファルサスに住む子どもでも知らないくらい、魔女の存在も遠いものになっていくんですね。
その後も色々あった、の一部は最近発行された「変質の旅路」という同人誌で語られていますので、全巻購入された方は専用サイトに行ってみてくださいね。もし紙本が無くなっててもおそらくは電子で頒布してくださってるのではないかな……?私も読みましたが、WEB版よりもオスカーの心情も分かりやすく、受け入れやすくなっていると思いますよ。
オスカーとティナーシャがどういう状況なのか、WEB版よりかなり分かりやすく丁寧に説明されてますね。オスカーがどうして今16,7歳くらいなのか、ティナーシャが口説き落とすのが下手ってどういうことなのか、その辺りは2月に発売予定の続編で語られる部分だと思いますのでお楽しみにっていうか私が!楽しみです!!!!どうして今代のファルサス王も持ってるはずの王剣をオスカーも持ってるのか、について続編の書籍版でどう語られるのかはわからないですけど。(「変質の旅路」の後にくる話で、WEB版では「運命の外周」で語られてます)
最後の見開きのchibi先生の挿絵がほんと~~~~~~~っに大好き////// ナーク可愛いよナーク////// なんかこう本当に映画のエンディングシーンみたいというか、ため息が出ます……///
彼らの永い永い旅の終わりを、いつか見届けることが出来ますように、そしてどうかその時は、彼らに穏やかな最期が、訪れますように―――。
章外:塔に響く歌
実はここまで入ると思ってなくてめちゃめちゃびっくりした。本編後、いわゆる繰り返しが無くなった後の正史のお話ですね。逸脱者って単語も、ここで初めて出てくる? かな?? オスカーとティナーシャを示す言葉として、書籍化するまでは私が一番よく使っていた言葉のように思います。
世界はある程度似たように収束するようになっている、というのは繰り返しがなくなったあとにも言えることらしく、ティナーシャは青き月の魔女になり、ファルサスでは子供の失踪事件が起こる。異なるのは、オスカーは攫われ、ロザリア様は健在で、そしてケヴィン様がオスカーを助けるために魔女の塔に登ること。
5歳ですでに王族としての誇りを持つオスカーかっこよ、寝間着だけど。金髪の従兄くんはパスヴァール公爵とケヴィン様の妹との子供ですよね。親がだめでも子は育つ……w ティナーシャをナンパ(笑)するのもまだまだ可愛らしい子供って感じ。
ティナーシャ様それめちゃめちゃフラグです(笑)。あとティナーシャ様、ティナーシャ様、額に口づけを贈るって罪な女の所業ですよ?!?w
そうして15年の時は過ぎ。今回はラザルも連れずに完全に単独で挑戦したんですよねオスカー。可愛くなくなったにちょっと笑ってしまうw 5歳のオスカーは可愛かったんですねww 礼儀正しく名前を名乗り合うところから始まるっていうのも、いいなぁ。
本編後のオスカーって、呪いがないこと、ロザリア様(母親)が存命なこと、そして幼い頃にティナーシャと会ってること、辺りが要因なのか、呪いを受けた王太子、であった時よりも若干、幼い、っていうほどじゃないんだけど、なんていえばいいのかな……年下感?があるような気がします。助けられた恩もあるからか慇懃無礼感も若干控えめっていうか。
彼が強くなったのも、呪いがあることから来る切羽詰まった感じではなく、他愛のない子供の夢が原動力。でもそれが、なにものにも代えがたいほどに、うれしいですよ、私は。
ティナーシャに自分を鍛えてくれと達成者の願いとして告げるオスカーの「選択肢を多く持ちたい」というのは、一幕でティナーシャがオスカーを鍛える時に言った言葉でもあるんですよね……。
結婚してくれとか言って来た馬鹿な奴は、貴方の曽祖父と一幕の自分自身ですよオスカーww
魔法士の訓練に向いてないからって諦められてるオスカー(笑)。ロザリア様が存命だから、自分がラヴィニアの孫であることも、自分に魔力があることも知ってる状態なんですよね。無理矢理魔力視を身に着けさせようとするティナーシャ様、結構スパルタだしだいぶ酷いこと言ってるww
でもオスカーの瞳の色が綺麗だってティナーシャがいうの、すごく好き……///
大怪我を負った魔法士はテミスだと思いますが、命を落とすことはなく、怪我が治った後はきっとフューラと幸せに結婚してくれたと信じてる。
もう一度登ればいいしなって簡単に言ってのけるオスカーさすがww アイテア祝祭でデートしてくれぇぇたぶんトラブルに巻き込まれるだろうけどな!!!
ティナーシャが、言ってもらいたかった言葉なんだろうなって……。一幕のオスカーが幼いティナーシャに言ってくれてる言葉でもありますね。
フラグ回収して結婚申し込んだのに頭の心配されたオスカー可哀想w
もうどこにもない、誰も覚えていない、青き月の魔女と呪われし王の御伽噺。けれども彼女は約束通り時を越えて彼に会いに来て、彼は迷いなく彼女に会うために踏み出して塔を登る。
――これは、そんなふたりの永い永い旅路の、終わりの始まり。
というわけで、誰も待ってないと思いますが、お待たせしました~~!!w 「Unnamed Memory」ネタバレ感想本編最終6巻の感想でした。6巻はこう、どうにも感情が揺さぶられてばかりなので、泣いてしまうところも多いので、いつも以上に中身のない感想な気がしますが、でも、続編発売前にもう一回ちゃんと読み直せてよかったです。そう!来月にはついに続編の発売ですよーー!!
めちゃめちゃ嬉しい/// 楽しみ/// 半分以上書き下ろしらしいですし、本当に待ってました!という感じですね!!!……まぁ、逸脱した後ってことは、その度に彼らの、出会いと別れを見せられ続けるということでもあるかもしれないので、それを思うと怖い気持ちもないわけでもないですが……。でも私は、彼らの終わりを、見届けたいとずっと願い続けているので、それが叶うまで、微力ながらもこれからも応援していくつもりです。
ここまでお付き合いくださった方がいらっしゃれば、本当にありがとうございました。終わりに、本文中に先生の個人サイトや購入特典が読める専用サイトなどをよく上げてしまっていたので、ご参考までにリンク貼っておきますね。ここまで見てくださってる方はみなさんご存じだろうとは思いますけれども……w
ではでは、本当にありがとうございました!
参考サイト
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