ギャンブル好きで貯金ゼロだった主婦がFPになって実践した「お金を貯めるための3つの準備」
「貯めるための準備」とは、ざっくり言うと「不安解消のための可視化」「買い物のためのルール作り」「何にお金を使いたいか優先順位を決める」の3本立てだ。
【貯めるための準備1】
不安解消のために可視化することとは…?
まずは、「不安解消のための可視化」から。何を可視化するのかと言えば、現状の資産。つまり、自分がいま現在、どれくらいのお金を持っているのか、ということだ。
「将来お金が足りるか不安」と感じている人には、預貯金など自分の資産がいくらあるか把握していない人が多い、と鈴木さんは言う。不安をなくすためには、何はともあれ現状を把握することが大切なのに、「こわいから見たくない」とふたをしてしまっている、と。
実は資産把握にはメリットが多い。足りない金額を具体的に知ることができるし、必要十分なお金がないとわかればムダ遣いも減らすことができる。逆に余裕があるとわかれば、やりたいことに思い切りお金を使えるし、パートナーがいる人は互いの現状を伝えあって、共に資産形成に取り組むことができる。
確かに、「病気になっても3カ月は預貯金で生活できる」「資格取得の学校にお金を支払っても、30万円は残るから大丈夫」などとわかれば安心できるし、「学校に通うお金が20万円足りないから、まずは貯めよう」とすぐに行動を起こすこともできる。
この「資産把握」のために鈴木さんが勧めるアクションが、家計簿アプリを使うことだ。家計簿アプリが従来の紙の家計簿と大きく違うところは、銀行や証券会社などの資産データをひもづけできること。レシートを撮影して日々の支出を記録できるだけではなく、すべての口座を合計した資産を常に一目で把握できることが何よりのメリットだと鈴木さんは言う。
「私は、1日1回は家計簿アプリの画面を眺めて、ムダ遣いを反省したり、貯畜計画を練り直したりしています。まずは資産を把握するためにアプリを活用し、できる人は日々の支出の記録にもチャレンジして、把握と記録の両輪で、貯めてください」(鈴木さん)
【貯めるための準備2】
買い物ではたった2つのことを意識する
次に、「買い物のためのルール作り」。鈴木さん自身、以前はかなりのムダ遣いをしていたそう。「セミナーがうまくいってうれしい! 自分にごほうび買っちゃおう」「忙しくてツライ。ストレス発散にピアス買っちゃおう」「今度の飲み会、キレイな人が多くて浮きそう。洋服買って、ネイルサロンも行かなきゃ」……といった具合だ。
でも、2つのことを意識することで、このムダ遣いをぐんと減らすことができるという。1つは、お金を払う前に必要なモノかそうでないモノか、一呼吸おいて考えること。もう1つは、興奮していたり疲れていたり、不安だったりするときは、買い物に行かないこと。
鈴木さんが何かを買う前に実際に考えているのは、「いつ、どんなときに使う?(洋服なら)合わせられる洋服はある?」「どのくらいの頻度で使う?」「同じモノをもっと安く買えるチャンスはない?」だ。この3つを考えた上で「必要」と判断したら、自信を持ってレジに向かう。また、興奮や疲労、不安に支配されているときに買ったモノは、軒並みいらないモノばかりだという実感から、平常心ではないと感じたときは買い物を避けて、まっすぐ帰宅するようにした。
ただ、鈴木さんは「ムダ遣いを完全になくそうとするのは苦しい」とも言う。少しのムダ遣いが生活に潤いを与えるなら、それはムダではないということだから。
【貯めるための準備3】
お金の使い道に優先順位を決める
最後は、やや難しそうな「何にお金を使いたいか、優先順位を決める」。鈴木さんは友人や仕事仲間との飲み会が大好きで、用事があったり費用が高すぎたりしなければ、まず断らない。一方、化粧品はほぼプチプラでケチケチ使う。アクセサリーや洋服も、高校生の娘と同じような価格帯で購入しているという。鈴木さんが自分にとっての優先順位は「交流>自分の見た目」だと認識した結果だ。
年齢を重ね、顔のくすみが目立ち始めたと感じる今は、交流にかけていたお金を少しだけ、肌の手入れに回そうと考えている。自分自身の変化に応じて優先順位を見直すことも、大切だからだ。
「とにかく貯蓄!」と何もかも我慢するのではなく、最低限必要な分を貯蓄に回し、自分が大切にしたいことには優先的にお金をかけるのが、鈴木さん流の「資産形成の超正解」。優先的にお金をかけるモノ・コトを考えるための具体的なアクションは、「なりたい・やりたいことリスト」と「なりたくない・やりたくないことリスト」を書くことだ。
この両方を書き出していくと、自分がこれからどんな人生を歩みたいのか、どんな生活をしたいのかが見えてくる。次に、この人生を実現するために必要なモノやコトを書き出せば、お金のかけどころは自然と決まっていく。
飲み会での新しい出会いで世界が広がったり、旧友との再会が仕事につながったりした経験もあって、鈴木さんは「交流」にお金を惜しまないが、何にお金をかけたいかは人それぞれ。「手取り収入-最低限貯めるべき金額=使っていい金額」だと肝に銘じつつ、お金のかけどころを考えたい。
(構成:生活・文化編集部 上原千穂)