「保存3カ月」の神レシピ公開!物価高の今こそ「手作り保存食」をマスターしよう
■食材を「保存食」にする3つの調理法
野菜、果物、肉、魚。こうした食材を「保存食」にするには、「干す」「漬ける」「煮る」という3つの調理法がある。
「干す」は、保存食を作るための最も手軽な調理法。食材の中の水分が蒸発し、表面が乾燥することで雑菌が繁殖しにくく、水分が減ることで栄養素が凝縮され、ビタミンDやビタミンB群、カルシウムなどの栄養価が高まる。旨味も糖度も強く感じられるようになるのはそのためだ。干す時間が長いほど、保存期間も長くなる。
野菜なら、食材を適当な大きさに切ってザルに広げ、風通しのよい場所で天日干しに。天候が優れず湿度が高いときは、冷蔵庫に移動して。フルーツの場合も同様に干すことで保存が可能になるが、糖分が高いとカビが生えやすいので、注意したい。魚介の場合、風通しのよい場所で陰干し、一夜干しにするのが基本だが、一定の温度で風も回っている冷蔵庫でも、乾燥させることができる。
調味料に「漬ける」ことも、食材の水分を外に出したり、雑菌の繁殖を抑えたりする効果があり、保存性を高めてくれる。食材自体の旨味に調味料の旨味が加わり、味の幅も広がっていく。
塩やしょうゆに漬ければ、食材の水分を外に出し、発酵や熟成が進んで旨味が増す。みそや酒粕なら、漬け床で食材を覆うことで水分を外に出し、空気に触れず保存性が高まります。濃度の高いシロップに漬ければ、フレッシュ感を残したまま、食材の水分を外に出すことができ、酢漬けなら酢の殺菌作用で保存性が高まる。オイル漬けは、オイルで空気を遮断し雑菌が入らないようにすることで、おいしい状態を長持ちさせることができる。
最後の「煮る」は、火を入れることで雑菌を抑え、調味料も加えることで保存性を高める調理法。保存する際は、容器を開ければ雑菌が入って傷みやすくなるので、使いやすい分量ずつ、小分けにしておくのがコツだ。
果物や野菜の砂糖煮なら、食材自体の水分を外に出し、加熱することで保存性が高まる。しょうゆ煮(佃煮)なら、塩分の強いしょうゆで煮ることで、食材の水分を外に出す。特に佃煮は、水分をしっかり蒸発させるので保存性が高くなる。オイル煮なら、オイル漬け同様、食材は空気に触れないので、酸化による劣化を防ぐことができる。油の中では、微生物の繁殖も防ぐことができる。
そしてもう一つ。保存食づくりの基本として覚えておきたいのは、保存用のビンの消毒だ。定番なのは「煮沸消毒」。鍋にビンとふたを入れてかぶるくらいの水を入れ、中火にかける。沸騰してきたらふたは取り出し、グラグラしない程度の火加減で10分ほど煮て、取り出して自然乾燥させればOK。鍋に入らないサイズのビンや耐熱性の低い容器は、アルコール消毒すればいい。容器とふたを食器用洗剤で洗い水気をふき取ってから、食品用のアルコールスプレーを吹きかけて、蒸発するまで置いておけくだけでいい。
基本がわかったところで、一度作ったら3カ月保存可能な野菜・魚・肉の神レシピを。
■にらじょうゆ(冷蔵で3カ月)
にらは春が旬の食材。にらじょうゆは、肉料理や魚料理にかけたり、餃子のたれにしたりするだけではなく、焼きそばの味つけにも使える万能選手だ。
作り方は、みじん切りにしたにら1カップ(1/2束)、しょうゆと酒をぞれぞれ50ミリリットル、白いりごま大さじ1を、ビンに入れておくだけ。冷蔵庫で1~2日置けば食べられる。
斜め切りにして水でさらした長ネギとゆでてほぐした鶏肉、温めた中華麺ににらじょうゆとごま油をかけて和えれば、あっというまにおいしい和え麺のできあがりだ。
■めかじきのオイル漬け(冷蔵で3カ月)
めかじきは、秋から冬にかけてが旬の食材。オイル漬けは、そのまま食べても、サンドイッチにしても、サラダにのせても、炒め物や和え物に加えてもおいしい。
ポリ袋にめかじき2切(200グラム)と、水70ミリリットルと白ワイン30ミリリットルに塩8グラムを溶かしたものをいれ、空気を抜いて封をしたら冷蔵庫に一晩おく。翌日、冷蔵庫から出して室温に戻したら、1.5リットルの湯を沸かして弱火で15分ほどゆで、火を止めて粗熱が取れるまで置いておく。粗熱が取れたらめかじきをバットに取り出し、ペーパータオルでアクをふき取ってビンの中へ。めかじきがかぶるくらいまでオリーブオイルを注いで冷蔵庫で保存する。2~3日漬けたら食べられるが、オイル漬けとしておいしいのは1カ月以上置いてからだ。
■豚肉の塩漬け(冷凍で3カ月)
バラ肉を使っても、肩ロース肉を使ってもいい。バラ肉ならベーコンのように使えるし、肩ロース肉なら煮込み料理がおいしい。塩漬けにすることで腐敗を防ぎ、旨味もアップするので、スーパーで豚肉が特売の日に試したい。
バラ肉で作るなら、400グラムの塊肉を半分に切って塩20グラムをまぶし、2重にしたペーパータオルで包んだらラップをきっちり巻いておく。冷蔵庫で二晩置いたらペーパータオルを取り換え、さらに4~5日たって水分が出きったら、もう一度ペーパータオルを換える。ラップごとコンテナに入れて冷凍保存すれば、3カ月はおいしく食べられる。
肩ロース肉の場合は、300グラムの塊を使用。竹串でまんべんなく刺してから、6グラムの塩をまぶし、2重にしたペーパータオルで包んでラップをきっちり巻いておく。冷蔵庫に一晩おいて水分が出ていたら、ペーパータオルを取り換える。2日目からが食べごろ。こちらも冷凍すれば3カ月は保存可能だ。
(構成:生活・文化編集部 森香織/写真:キッチンミノル)