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「保存3カ月」の神レシピ公開!物価高の今こそ「手作り保存食」をマスターしよう

 あらゆるものが値上がりしている昨今、リーズナブルに購入できる「旬」の食材は家計の強い味方だ。でも、安いからと大量に買って腐らせてしまっては逆効果。いまこそ「手作り保存食」が生活防衛の役に立つ。
『野菜・果物・魚介・肉 365日おいしいびん詰め 保存食&食べ方テク』(朝日新聞出版)から、押さえておきたい作り方や保存の基本を紹介。普段の食事はもちろん、突然の来客やおすそ分けにも重宝する、3カ月保存可能な常備菜レシピも!

ダンノマリコ著『野菜・果物・魚介・肉 365日おいしいびん詰め 保存食&食べ方テク』(朝日新聞出版)
ダンノマリコ著『野菜・果物・魚介・肉 365日おいしいびん詰め 保存食&食べ方テク』(朝日新聞出版)

■食材を「保存食」にする3つの調理法

 野菜、果物、肉、魚。こうした食材を「保存食」にするには、「干す」「漬ける」「煮る」という3つの調理法がある。

「干す」は、保存食を作るための最も手軽な調理法。食材の中の水分が蒸発し、表面が乾燥することで雑菌が繁殖しにくく、水分が減ることで栄養素が凝縮され、ビタミンDやビタミンB群、カルシウムなどの栄養価が高まる。旨味も糖度も強く感じられるようになるのはそのためだ。干す時間が長いほど、保存期間も長くなる。

干す/ミニトマトやきのこなどの野菜、ぶどうや柿などの果物、そしてアジやサンマといった魚介まで。干すことで保存性も栄養価も高くなる

 野菜なら、食材を適当な大きさに切ってザルに広げ、風通しのよい場所で天日干しに。天候が優れず湿度が高いときは、冷蔵庫に移動して。フルーツの場合も同様に干すことで保存が可能になるが、糖分が高いとカビが生えやすいので、注意したい。魚介の場合、風通しのよい場所で陰干し、一夜干しにするのが基本だが、一定の温度で風も回っている冷蔵庫でも、乾燥させることができる。

 調味料に「漬ける」ことも、食材の水分を外に出したり、雑菌の繁殖を抑えたりする効果があり、保存性を高めてくれる。食材自体の旨味に調味料の旨味が加わり、味の幅も広がっていく。

 塩やしょうゆに漬ければ、食材の水分を外に出し、発酵や熟成が進んで旨味が増す。みそや酒粕なら、漬け床で食材を覆うことで水分を外に出し、空気に触れず保存性が高まります。濃度の高いシロップに漬ければ、フレッシュ感を残したまま、食材の水分を外に出すことができ、酢漬けなら酢の殺菌作用で保存性が高まる。オイル漬けは、オイルで空気を遮断し雑菌が入らないようにすることで、おいしい状態を長持ちさせることができる。

 最後の「煮る」は、火を入れることで雑菌を抑え、調味料も加えることで保存性を高める調理法。保存する際は、容器を開ければ雑菌が入って傷みやすくなるので、使いやすい分量ずつ、小分けにしておくのがコツだ。

煮る/リンゴを煮てジャムを作ったり、きゃらぶきを煮て佃煮にしたり。小さいころから食べてきた味も、自分好みの味で作ることができる

 果物や野菜の砂糖煮なら、食材自体の水分を外に出し、加熱することで保存性が高まる。しょうゆ煮(佃煮)なら、塩分の強いしょうゆで煮ることで、食材の水分を外に出す。特に佃煮は、水分をしっかり蒸発させるので保存性が高くなる。オイル煮なら、オイル漬け同様、食材は空気に触れないので、酸化による劣化を防ぐことができる。油の中では、微生物の繁殖も防ぐことができる。

 そしてもう一つ。保存食づくりの基本として覚えておきたいのは、保存用のビンの消毒だ。定番なのは「煮沸消毒」。鍋にビンとふたを入れてかぶるくらいの水を入れ、中火にかける。沸騰してきたらふたは取り出し、グラグラしない程度の火加減で10分ほど煮て、取り出して自然乾燥させればOK。鍋に入らないサイズのビンや耐熱性の低い容器は、アルコール消毒すればいい。容器とふたを食器用洗剤で洗い水気をふき取ってから、食品用のアルコールスプレーを吹きかけて、蒸発するまで置いておけくだけでいい。

保存にはスクリューキャップのビンがおすすめ。一度使ったふたはシリコンに傷がつき空気が入って密閉できないこともある。ふただけは新しくしたい

 基本がわかったところで、一度作ったら3カ月保存可能な野菜・魚・肉の神レシピを。

■にらじょうゆ(冷蔵で3カ月)

にらじょうゆ/にらのかおりで食欲がアップし、疲労回復にもいい。アルコールが苦手なら、酒を煮切りしてから使うといい。冷ややっこにのせても◎

 にらは春が旬の食材。にらじょうゆは、肉料理や魚料理にかけたり、餃子のたれにしたりするだけではなく、焼きそばの味つけにも使える万能選手だ。

 作り方は、みじん切りにしたにら1カップ(1/2束)、しょうゆと酒をぞれぞれ50ミリリットル、白いりごま大さじ1を、ビンに入れておくだけ。冷蔵庫で1~2日置けば食べられる。

にらじょうゆの和え麺/ネギもゆで鶏もない!というときは、温めた麺ににらじょうゆとごまあぶらで十分おいしい

 斜め切りにして水でさらした長ネギとゆでてほぐした鶏肉、温めた中華麺ににらじょうゆとごま油をかけて和えれば、あっというまにおいしい和え麺のできあがりだ。

■めかじきのオイル漬け(冷蔵で3カ月)

 めかじきは、秋から冬にかけてが旬の食材。オイル漬けは、そのまま食べても、サンドイッチにしても、サラダにのせても、炒め物や和え物に加えてもおいしい。

めかじきのオイル漬け/切り身のままでも、ほぐしても。めかじきのほか、きはだまぐろ、びん長まぐろなど、お好みのマグロで作ってみて

 ポリ袋にめかじき2切(200グラム)と、水70ミリリットルと白ワイン30ミリリットルに塩8グラムを溶かしたものをいれ、空気を抜いて封をしたら冷蔵庫に一晩おく。翌日、冷蔵庫から出して室温に戻したら、1.5リットルの湯を沸かして弱火で15分ほどゆで、火を止めて粗熱が取れるまで置いておく。粗熱が取れたらめかじきをバットに取り出し、ペーパータオルでアクをふき取ってビンの中へ。めかじきがかぶるくらいまでオリーブオイルを注いで冷蔵庫で保存する。2~3日漬けたら食べられるが、オイル漬けとしておいしいのは1カ月以上置いてからだ。

■豚肉の塩漬け(冷凍で3カ月)

 バラ肉を使っても、肩ロース肉を使ってもいい。バラ肉ならベーコンのように使えるし、肩ロース肉なら煮込み料理がおいしい。塩漬けにすることで腐敗を防ぎ、旨味もアップするので、スーパーで豚肉が特売の日に試したい。

 バラ肉で作るなら、400グラムの塊肉を半分に切って塩20グラムをまぶし、2重にしたペーパータオルで包んだらラップをきっちり巻いておく。冷蔵庫で二晩置いたらペーパータオルを取り換え、さらに4~5日たって水分が出きったら、もう一度ペーパータオルを換える。ラップごとコンテナに入れて冷凍保存すれば、3カ月はおいしく食べられる。

豚肉の塩漬け/バラ肉を熟成させたいときは、すぐに冷凍庫に入れないで1週間ほど冷蔵庫に。肉の周りが黄色っぽくなったらその部分は切り落とし、赤い部分を食べる

 肩ロース肉の場合は、300グラムの塊を使用。竹串でまんべんなく刺してから、6グラムの塩をまぶし、2重にしたペーパータオルで包んでラップをきっちり巻いておく。冷蔵庫に一晩おいて水分が出ていたら、ペーパータオルを取り換える。2日目からが食べごろ。こちらも冷凍すれば3カ月は保存可能だ。

(構成:生活・文化編集部 森香織/写真:キッチンミノル)