「給与所得」として確定申告したフリーランスの持続化給付金について考えた
第二次補正予算が成立し、持続化給付金が拡大されることになりました。いまだ(6/25現在)に手続きや該当要件の詳細は公表されていませんが、これまで支給要件に該当しなかったフリーランスへの支給拡大が注目点になります。
フリーランスでありながら、主な収入を「給与所得」や「雑所得」で申告していた方で、その収入が実質的に事業所得である場合、持続化給付金の支給対象に含めるというものです。
実際は、フリーランスで生計を立てているので、確定申告の所得区分を誤って申告していた方にも、持続化給付金を支給しますということです。
フリーライターや非常勤講師などが該当するといわれていますが、申請書類の要件として、業務委託契約や支払調書などを提出し、実際は給与ではなく報酬であることを示さなければいけません。
契約書がない場合もあると思いますし、支払調書についても必ずしもフリーランスに渡されているとは限りません。これらの書類で証明できない人はどうするのかという問題点もあります。また、ある会社からは給与でもらわれ、別の会社からは報酬でもらわれているにもかかわらず、すべて給与所得として申告している方がおられるかもしれません。
所得区分が誤ったままで申請することになる
持続化給付金の受給対象者が拡大されたことは喜ばしいことではあるのですが、本来、事業所得で申告する必要がある人が給与所得で申告した場合、一定の計算により給与所得控除が給与収入から控除され、給与所得が計算されます。給与所得控除が事業所得者の必要経費に当たるのですが、事業所得者の必要経費の合計が給与所得控除と一致することはほぼありません。
つまり、事業所得で申告するべきフリーランスが給与所得で申告した場合、申告書に記載されている税額が間違っている可能性が高いということになります。
本来納める税額(還付される税額)が少ない場合も多い場合もあります。
その内容をもとに持続化給付金を支給することになると、国税側としては誤った内容であることが高いのに、なぜ、その内容で審査をして持続化給付金を支給するのかという疑問が生じるのではないでしょうか。
修正申告書か更正の請求書をもとに申請する方法
誤った所得区分(給与所得)で申告したフリーランスが、修正申告か更正の請求により、正しい申告内容(事業所得)で、持続化給付金を申請すればどうなるのでしょうか。
コールセンターに電話したところ、修正申告書を税務署に提出した場合は、修正申告書を持続化給付金申請の添付書類として提出してほしいといわれました。
給与所得で申告したフリーランスが経費を正確に計算し、事業所得で申告することによって追加で納税することになり、修正申告書を提出した場合、その正しい申告の内容で、持続化給付金を申請するほうが、理にかなっているのではないでしょうか。
経済産業省は申告の区分誤りによる所得計算と税額の誤りまで考えないのかもしれませんが、国税としては、誤っていることが明らかな申告書を申請の添付書類として提出することの違和感はあるのではないかと思います。
ただ、持続化給付金の目的は、コロナの影響により事業の継続が難しくなる事業者を支えることですので、制度設計は難しいとは思いますが、なるべく早く、多くのフリーランスに持続化給付金が行き届くように進めてもらいたいものです。