人の海。わたしの海。

今日は、街中に

振袖を着る若者で溢れていた。

胸には、希望を抱いて。

その横顔は、キラキラしていた。

明るい笑顔しかみえなかった。



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大人になれば

自由になれると思っていた。

少しでも早く大人になりたかった。

大人になれば、幸せが手に入ると思ってた。



夢はいつだって砕かれる。

わたしの望みは、叶えられなかった。

自由になれなかった。

大人になったのに、、、

何も変わらない。

むしろ自由が無くなった。

何のために生きているのか分からなくなった。

取り上げられたものは、働いて得たはずのお金と生きる希望だった。






家の中にいても

泣ける場所がなかった。


小学生の幼い時も

中学生の思春期の時も

高校生、家を出て行けと言われたあの時も…



泣くな、うるさいと…言われてからは

声を殺して泣く事を覚えた。



泣ける場所は、

帰る場所は、

ましてや、頼れる場所なんて

わたしにはなかった。



だけど、どうしようもなく

声をあげて泣きたい時は

家を飛び出して

走っていく。

決まってあの場所。

涙で濡れる頬を拭いながら

歩く道さえ

未来さえも

見えない…そんな夜。



たどり着いたその場所で

冷たい風に、身体を震わせ。

寒いからではなく、震える声で

泣いていた。

波の音が

心を撫で

落ち着きを取り戻す。

一緒にたゆとう、心ごと。



夜の海は

いつみても

真っ黒


真っ暗なわたしも

全て飲み込んでくれそうなほどに。



灯台の火が

船を導くように

点滅する灯に

未来があるのかと

みつめていた。



海に泣けば

応えるように

波が鳴く。




ゆらゆらと揺れる

水面をみながら

思いを叫ぶ。



流れる涙が

海に落ちても

このままわたしが落ちていっても

海は、変わる事なく

わたしは、沈めるのかな

なんて、思いながら。




事ある毎に、海を眺めた。

それは、今も変わらない。




晴れた日の穏やかな波も

荒れ狂う恐ろしい波も

いつもの海であることは変わらない。




わたしのような激しさと

わたしのような穏やかさ



海に沈めば、、、

あなたに会えるのでしょうか。




今日も泣きたい。

どの傷がそうさせるのかは、分からない。

涙が溢れて止まらない。



今日も帰りたい。

わたしの海へ。。。

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