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みよこは、はたして

演劇を観に行ってきた。
何年振りだろうか。私の人生に大きな影響を与えた
「朝日のような夕日をつれて」
である。

見たのは開演4日目、昔、確か野田秀樹さんだったと思うが
「舞台を観るなら4日目がちょうど良い」
と言っていた4日目である。

結論から言うと、最高の舞台だった。

以下にネタバレバリバリの感想をダラダラ書きなぐっていく。

冒頭の、というか客入れの「Live is Life」から、懐かしさで胸いっぱいになりながら、物販で買い物を済ませ、席に着き、幕が上がるのを待つ。

そしていざ舞台が始まると、若い役者が実に活き活きと舞台を駆け回っていた。
そこにいたのは新しいエスカワとウラヤマとゴド1、2と少年だった。
作品の流れは踏襲しながらもそこには確かに新しい世界が広がっていた。
やはり、「朝日のような夕日」には動ける役者がいい。
あの熱量とテンションと台詞回しで舞台を動き回るからこそ虛無というか、「みよこ」の存在が浮き彫りになる。

さて、ここからは完全に個人的視点。
曖昧だが、確か鴻上さんが
「いい作品は、どのような層にも響く作りになっている。『あ〜面白かった』という人、『あのセリフの意味は』と考察する人、人により楽しみ方が違う。その階層(?この辺曖昧)がいくつもある方がいい」
とおっしゃっていたと思うのだが、人それぞれ解釈があるはずで、だから、ここからは完全に私個人の解釈である。

過去に『朝日〜』に翻弄された者たちの中では語り尽くされて手垢に塗れた論かもしれないが、私が『朝日〜』を好きな理由は、
「みよこは、男たちにとって、ゴドー(GOD)たりえたのだろうか。そこには希望はあったのか。それとも絶望か。」
というのがある。
みよ子は演じる。それぞれの男性にとっての理想を。いや、男性が勝手に作り上げた妄想の女性像にみよ子が合わせたかもしれず。

みよ子は舞台にでてこない。神のように、存在はありながらも実体がない。いや、あるかないかなどそれを信じるか信じないかなので、どうでもいい。いや、良くないのか?
だが、彼女は男達にとっては救いであり、希望ではなかったのか。と同時に、みよ子にとっても男達は希望ではなかったのか。それとも「人生(暇)つぶし」だったのか。
そしてみよ子は「前向きに」輪廻転生を信じこの世から姿を消す。「メタライフ」のスイッチを消して。

……個人的に残念だったのは、ラストのみよ子の遺書の群唱シーン前に
「みよ子の遺書」って台詞ではっきり言ってしまったこと。

鴻上さんが「最近は、よりわかりやすく作らなければならない」と何年か前に言っていたかと思うのだが、そうか、と。
私なんかは若い頃、理解が追いつかないまま最後の群唱を聞いた時
「リーインカネーション、生まれ変わりを私は信じます」
と言う台詞と、立ち上がる男性5人を目にして一気に理解し感情が溢れ出た記憶があるため、
「ああ……言ってしまうのか……でもそうね。時代よ時代」(ぉぃ)
と思ってしまった。
なんだろう。あの一言で「スン」となってしまった😂

あと、話の筋とは関係ないんだけど、玉置さんのある台詞で、一瞬、大高さんがフラッシュバックしたの。
玉置さんと大高さんの演技は全く違うのに、本当にある台詞で
「あれ?大高さん……?」
と思ってしまった。
その台詞だけだったし、見方によって重くも軽くもなる、鴻上さんではよくある台詞なんだけど……あれ、なんだったんだろう😂

とにかく、今回も本当に幸せな時間だった。
身体が動ける、ハイテンションで2時間ノンストップで走れる役者陣で、本当に最高な舞台だった。

この歳で推せる役者が5人も増えたのは、幸運だわ。

年末のDVD、楽しみにしてる。

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