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はじめて たばこを吸う

  じいちゃんが目を細めて、美味しそうに吸ってるのは たばこ。

  おいしいの?って聞いたら
  ふわっと笑ってうなづいた。

 そうか そうか 煙だからお腹は膨れなさそうだけど、おいしいなら吸ってみたい。
 子供の頃から好奇心は 強かった。

 その日は 家に大人がいなかった。
 わたしを含む きょうだいだけ。
 これは チャンスかも。

 じいちゃんが置いていった たばこ。
 黄色と茶色の小さな箱に入ってるやつ。
 手を伸ばして 火をつけた。

 えーっと、タバコってどうやって吸うのかな? くわえて 吸い込んでたはず。
  1口、吸ってみた。

  なんだか 言葉で表現しにくい。
  苦くてけむい。
  ケムリのカタマリが のどにぶちあたる。

  ごぼごぼ咳が出てきて
  両目から涙があふれる。

  死ぬ!! 死ぬかも知れない!
  おいしい とかそんなの考えてられない。
  きょうだい達も
  わたしと同じ症状で苦しんでいる。

  すぐに火を消した。
  
 数十分ばかり、ゴホゴホ咳しまくって
 落ち着いてから 証拠隠滅した。

 タバコは危険。
 2度と吸うことはないだろう と
 心に刻まれた瞬間である。

 大人になって知ったけど、
 わたしが吸ったその、たばこは 普段たばこ吸ってる人も ウッとくるくらい キツイらしい。

 あと たばこってそれぞれ味が違うらしい。

 ふーーーん。

 わたしはもう 吸わない。

 

 

 


 

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