第23回書き出し祭りの反省および感想返信置き場
これより第23回書き出し祭りの反省を行う!!これはそういう感じの記事です。
感想返信でコチラへお呼び出ししてしまった方は、お手数ですが目次から各自お名前部分に飛んでくださいませ。私が長文を書いたせいで、二回もクリックさせて本当にすみません……。
※ちなみにサムネ画像はnoteの自由に選べるあれから、何となく好きっぽいのを選んだので内容とは全然関係ありませんので、あしからず。
書き出し祭り反省文の本文
前書き
もう十回以上書き出し祭りに参加している、朝霧は思いました。
書き出し祭りで上位を取れる作品の書き方、マジでわからん!!と…
祭りでは、その開催回によって投票傾向で強くなる作品傾向が違ったりします。
文芸系の作品が鬼強かったり、どちらかというとWebランキングに近い作品が強かったり…だから「この作品、仮にこの回に参加してたらもっと投票的に強かったんじゃ?」と思うこともあります。そう、この界隈で結果を出すには何時でも《実力✕運》の兼ね合いなのです……。
でも運はともかく、実力だけは磨けるので頑張ろうね!!!!
ちなみにパッと思い付くメジャーな系統の作品で上位を取るものは、ずば抜けてテクニカルな部分がある気がしますね。細かい分析が得意な方は、また別に祭り界隈にいらっしゃるので、その辺の考察はそちらでチェックだZE☆
と、そんな中でも女性向け恋愛作品は安定性があり、上位に食い込まずともそれに近い結果を上げることが多いです。
あとゴリゴリに女性向けじゃなくても、恋愛要素がある作品は強い傾向にあります。
…………そろそろ私も祭りに投げてみるか、女性向け異世界恋愛作品を。
色々と構想自体はあるものの、地味に書き出し祭りに出したことはありませんでした。(以前ぽいぽい投げた短編などは、こっそりサイトにおいてありますが)
そのため一度試したくなったのです。
それもあえてサイレント票狙いで投げてみました。
今までの経験上、シンプルで王道な異世界恋愛的な作品って、かなりサイレント読者の感触がよかった感じがあったんですよね。
一方で私が大喜びで推すような、ちょっとネタがトリッキーな一風変わった異世界恋愛作品は、私が思うよりも投票がやや少ない傾向にある気がしました。
それは何故か、考えると理由は至極明快で、私が書き手でついつい今までにない、やや尖った作風のものを求めがちな傾向があるんですよ……。
これは感想で評価が高いけど、思ったよりも投票率が低い作品もたぶんそうで、書き手が好むけれど、大多数を占めるサイレントな読者には刺さりづらい作品だったりするわけです。
たまに書き手にもサイレントな読み手にもガッチリとリーチする作品を書いて、その評判のまま見事に上位に入る作者様もいらっしゃいますが(あれって何なんでしょうね、タイトル&あらすじで、しっかり目を引いて作品まで誘導したら、本文でサイレント読者&書き手、双方を満足させられるだけの仕掛けを用意して、しっかり落としてるってことですか?)
そこら辺の匙加減の調整がイマイチ掴み切れていないため、今回はサイレント読者特化で行かせて頂きました。
つまりシンプルド直球、あまり奇抜な要素も入れずに、分かりやすく楽しめる作品で行く!!ついでに、そんな作品でどの程度票が入るのかも純粋に気になる……!!
そうして生まれたのが、この作品です。
『冷徹無慈悲な暴君陛下へ、アナタに愛を教えてさしあげますわ!』
https://ncode.syosetu.com/n7953jv/26/
わぁ〜!!人の心が分からない暴君と、気の強いヒロインが分かりやすく恋愛しそうなタイトル!!!そして王道過ぎて、タイトルを見ただけで何だかんだで上手く行きそうな気がしてくる!!
まったく新しいものより、今までにも多少馴染みのあるものがいい、話の流れもある程度王道の方が喜ばれる。そして最後にちゃんと話が解決するという安心感も欲しい。
そう、皆が求めているのはお決まりのあれ、必要なのは筋書きがほぼ決まっている時代劇的なアレなのですよ!!!!(たぶん)
あと女性読者って物言いがハッキリした【自立した強い女性】を好む傾向があるので、そこも抑えてみました。
だいぶ前になりますが、前述した短編作品でちょこっと異世界恋愛ランキングに乗った経験もあるので、その辺の要素もちょこちょこ意識して、分かりやすく分かりやすく、あとヒロインとヒーローの絡みを一話からガッツリ入れるのも大事に……そんな感じで作品を作りました。
タイトル、あらすじ、本文と順当に期待値に答える流れ、かつ想定読者へ分かりやすい作りにしたので、上手くハマれば、いつも祭りでそっちジャンルにサイレント投票している読者様を呼び込めるはずです。ただ捻った部分を作っていないので、そこだけがどうしても不安ですが、果たして……。
~そして結果発表後~
世はまさに大後悔時代……!!
いや、結果自体は
第四会場5位かつ全体19位(同率順位一作品、35pt)
と、かなりの好成績なのですが!?
たぶん私の意図した部分自体は、かなり上手くいった気がするのですが……!!
あまりにも想定読者以外へ不親切な作品になりすぎていたと、皆さんの感想を見て後から気付きました……。
だっていつも読み取りが物凄く丁寧な人たちが、だいぶ想定からズレた読み方をしてるんだもん!!!!どう考えても、私側のミスじゃないですか!?特に際立った問題点がこれですよ……
《ヒロインがメチャクチャ馬鹿な困ったちゃんに見える》
やっちまったなぁ……作者も「ちょっと突拍子のない行動にみえるかな?」とは思ったけど「ま、この程度なら大丈夫だろう」と舐めて流していたら、一部の方々から想定の倍くらい印象が悪い。どこだ、どこで間違えた……。
はい、問題点は割とすぐに分かりました。
ジャンルのお決まり流れだからって、ヒロイン側の行動意図やら国際情勢、細かい言動の政治意図、二話でやればいいやって必要最低限以外は全部省いて後に回しちゃってたZE☆
いや、だって想定読者さん達は、まず間違いなく読み続けてくれるでしょうし、その時に『一見、突拍子もなさそうに見えたヒロインの行動に隠れた意図がありました!!』って分かるの読書体験的に楽しいかなって……。
それに私も書いていてひっくり返すの楽しいから……つい(震え声)
一応改善案は考えたのですが、その前情報をガッツリ入れると興覚めですし、何よりその説明をしだすと恋愛(ヒロインとヒーロー)の絡みを見たい読者さんに「はよしろや」と思われそうなんですよね。早い段階で二人の絡みがなくて、説明をダラダラするって恋愛作品的にかなり痛いですから。(実は冒頭から仲良くしなくても、後からくっつくことが十分に予想できれば恋愛要素を期待する読者さん的には、序盤の一幕としては満足なんですよね。私も自分の読み進め方を振り返ると、同じ気持ちなのでここは分かる)
あと仮に政治や陰謀がメインの主題になっているなら、ゴリゴリに重めの情報を提示しても良いんですけども、タイトル&あらすじと恋愛の方を前面に押し出しておいて、初期から延々と政治の話をされたら私が読者でも流石にちょっとイラつくからなぁ。
結果的に少し匂わせを入れるか、まとめて続きを読んで頂ける状況を作って、物語の進行で印象を変えるのが一番良さそうだという結論になりました。
まぁ、改善案を考えたとしても、現状投稿予定はないんですけどね!!
一応、皇帝アレクシアスとヴァルダル帝国を取り巻く状況をここでザックリ書き出しておきましょうか…(何かのきっかけで見返したい時にも便利ですし)
▼皇帝アレクシアス関連の情報メモ
ヴァルダル帝国の本来、皇位継承順位がかなり低い皇子で強い後ろ盾もない。他の兄弟たちが全員亡くなったため、皇位に就くこととなった。彼らを手にかけたという噂があり、帝国ではそれが公然の秘密として認識されている。
完全に戦争に特化したタイプの皇帝で、実際に初の大陸統一を成し遂げた。とても強い(武力的に)
しかし度重なる戦争で帝国自体は疲弊気味で、服従させた他国との関係も不安定な部分が多い。特に最後に勝利したオーシス王国などは、名目上は勝利したことになっているものの、その時点で帝国が疲弊していたこともあり、あまり多くを要求することが困難だった。(どちらかというと民を重視するオーシス王国側が、あまり無謀な戦い方をするヴァルダル帝国に対して、民への損害を軽微に終わらせたいという意図で停戦することになった経緯がある。王国側が被害を度外視して更に長期的に粘っていたら、敗北するだけでなく帝国自体が瓦解していた可能性も高い)
だからその代わりに王女との結婚を要求することで、なるべく王国の動きを封じようという狙いがあったのだ。それにアレクシアスは大陸統一の実績はあるものの、皇子の中でも血筋的な正当性が低かった。だからその正当性を補う歴史ある大国の王女との婚姻は、それ自体に意味があった。
でも名目上とはいえ敗戦国の姫をあまりに丁重に扱うのは、帝国のメンツ的によくないため、他の帝国貴族への示威行為も兼ねて、王国を刺激しすぎないラインで冷遇をしていた。(オーシス側に余力があることは帝国も分かっているので、下手なことはできないけど。気を使いすぎると、各方面に舐められるため厚遇もできない。一話本文中での待遇関係のやりとりで、すぐに改善すると言ったのは、王女を重んじているというより、食事に文句をつけられるほど帝国側が困窮しているという印象が、国内の貴族の間でつくとマズいからというのが強い)
Qそんなに王国に気を遣うなら今からでも潰せば?
A帝国側にそんな余力がないのと、それをやった瞬間に他の情勢の危うい国々で、反帝国勢力がまとめて武装蜂起して収集が着かなくなる可能性が高いです。ぶっちゃけ帝国はかなり嫌われてるんで。
そこを抑える意味でもオーシス王国は程々に刺激せず、お互い上手くやってる体で行くのが一番いいんです。帝国(大陸ナンバー1)と王国(大陸ナンバー2)が手を組んでる状態なら、安易に動いたりはしないので。
Qえっ!?一話ラストのひっぱたかれた直後に、手を出さなかったのは優しさじゃない…ってコト!?(ちいかわハチワレ感)
Aアイツを殺したら、まだ国を建て直せてないのに再戦待ったなしで、加えてあっちこっちメチャクチャになるのが容易に予想できたから抑えただけだよ。
Qじゃあ皇帝は面白れぇ女って思ってないの?
A現状、頭がおかしい女だとは思っているよ。
Qじゃあ王女側は何考えているの?
A諸々の情勢を加味したうえで、自分はまず殺されないことを確信して手を出しているね。帝国貴族に見せつけることも含めて、割と計画的な犯行だよ。それでも危ないことは確かだから、皇帝側が思っている頭がおかしい女は、あながち間違いではないと思うよ。
Qせっかくだから帝国側だけじゃなくて、王国側の情報も教えてよ?
Aやめておけ、その先は(作者が書き出す労力的に)地獄だぞ。あとゴリゴリのネタバレになったちゃうから、一応秘密で。
ふぅ……出してない部分の設定をつらつら書いたら、やっぱり重いし面倒くさいね!?(あと途中から普通に書き出すのに飽きて、謎のQ&Aを始めている……後々見返したときに自分が読み取れれば無問題なので、別にいいんですけどね)
それはそれとして最初は『王女との結婚による皇帝の血統的正統性の補強』の部分くらいは説明しようとしてたんですが、長くなるしグダる感じがして「いいや、消しちゃえ!!えいっ!!」ってしちゃったんですよね。やっぱり、あった方がよかったかな…でも邪魔な感じがしたんだよなぁ…。
私自身は割と楽しく、こういう設定部分も詰めたりしているわけですが、恋愛メインで見たい人にとっては、この辺り全部がただの舞台装置ですからね。
作者のエゴで『ほらほら、見てください、私が考えた舞台装置素晴らしいでしょ!?』みたいな話をぶっ込んだりしたらダメだから、情報量は抑えて、なるべく読みやすく、ストレスが少ないタイミングで説明を入れられるように、色々と苦慮するわけですよ。
今回はうっかり説明を省いた影響から、意図せず対象読者以外へゴリゴリにストレスを与える話づくりにしちゃった(はーと)ので、今後は気を付けたいと思います。自分の見識の狭さと、想像力の低さに猛反省です。
いや、慣れてたり知識があると逆に気づかないことがあると勉強になりましたね。
そこから派生して思ったのですが、もしかして女性向けジャンルに慣れてない人が、強くストレスを感じることがあるのって、女性向け作品を作り続ける中で一部要素が先鋭化したり、説明の省略が恒常化している部分も、要因としてあるかも知れませんね……。(実際、読者が一番欲しいのはその先で、前提条件になっている部分は、細かく伝えなくても要素を整えられてるはずだから、あまり深くは触れず、美味しい部分や見せ場に早く辿り着く構造になってる的な)
テンプレートファンタジーでもお決まりを省いたり、サラッとした説明で流すことがあるので、それと同質のものである気もしますが、これがジャンルの進化というものなのでしょうか。そちらも考えさせられますね……。
色々考えても、情報管理の匙加減って本当に難しい。でも頑張りたいと思います(小声)
以上、第23回書き出し祭り反省文でした!!
頂いた感想への返信
※特に長くなってしまったものをこちらへまとめてあります。
《智子さんへ》
今回は感想依頼を受けて下さってありがとうございます。
客観的な視点や分析を頂けて非常に助かりました。
ストレート、直球勝負の部分は、私がこの作品を考えた時に主軸として『シンプルで直球な対象読者にリーチした恋愛もの』として考えていたので、そこを読み取れるのは流石だと思いました。
あとメロドラマに近い情報量だという部分も、現時点では二人のやりとりと恋愛方面にフォーカスしたかったため、敢えて情報量を抑えて置いた部分だったので「そこも分かるんだ!?」と内心驚いておりました。
でも智子さんにメロドラマと言っていただけた辺り、私の意図した表現は出来ていたのだと安心できた点でもありました。
そして仰る通り2話以降の流れでは、ヒロインにどんな意図があって、それがどういう影響を及ぼすかについて提示して、今後の流れも掴めるような話を考えておりました。
そこで不足していた諸々の情報開示ですね。
政治関係の話をしだすとどうしても長尺になるので、本作は一話をほぼ全面メロドラマパートにして、他の部分は二話に丸投げという形を意図的に取らせて頂きました。しかし各種反応を見ると、そちら方面の期待にも添えられるように、もう少し匂わせ程度でも情報を出しておくのはアリだったかも知れないと思いました。
でも、今回は私が恋愛全振りで反応を見たかったんですよ……実験作にお付き合い頂き、心の底から感謝です。
ちなみに二話冒頭はギリギリ投獄はされませんでしたが、代わりに軟禁部屋に捕まっているところからのスタートとなっております。流石智子さん、その辺りの読みも鋭くていらっしゃる!!
あと余談ですが、やや似た系統で『それでも世界は美しい』という少女漫画(アニメ化もしている)が、政略結婚系のおねショタで、智子さんがお好きかもしれません。ご存知なかったら作品分析のご参考にどうぞ。
以上、素晴らしい分析感想をありがとうございました。
《まさかミケ猫さんへ》
ご感想ありがとうございました。
そして申し訳ありません、アレクシスは苦労人属性ではないのです……(私の他の作品だったら、そういうキャラの盛り方もするかも知れないのですが、それはそれとして)
ちゃんと説明させて頂きますと、こちらの作品は女性向けジャンルの中にある、一種のテンプレートの超王道展開でして。
『誰も手を付けられない絶対的な存在のヒーロー(男主人公)に、唯一物申せる勝ち気ヒロイン(女主人公)が対立する』という物語の導入部分になっております。
(逆に相手は同じく暴君だけど、ヒロインの気が弱くて『相手の機嫌を損ねないように頑張っていたら何故か好かれちゃった!?』みたいなのも鉄板で別にあります)
特に強いヒロインが活躍する、女性向け恋愛ジャンルが好きな人向けの作品ですね。
しかし祭りの引き的に、最後のバチンッが特にやりたくて、ヒロインの正統性の周りの補強をまるっと後回しにしたので、ジャンル読者ではない方たちは、後々の期待が持ちづらくて読んでてストレスが強かったかも知れません。(このヒロイン馬鹿だろ何やってるねん!?みたいな、実際だいぶ突っ込みが入りました)
逆にこのジャンルを知っている人だと、ド直球な王道過ぎて「あ、この後大体なにが起こるか分かるわ」くらいになりそうなのですが、私が対象読者に対して作りたかった今後の期待値は『一悶着ありつつも、ヒロインとヒーローの仲が深まって、暴君だったヒーローもヒロインの力で更生し、何やかんやで国自体も平和になり発展する大団円』みたいな感じでした。
似た系統だと有名作品の『花より男子』などがあるんですが、アレを今読み返してみたら、ヒロインが行動を起こすまでの間に、割と丁寧なヒーローの横暴シーン(お遊びのイジメ描写)が続いていたので、やっぱり今回の作品はその辺が雑だったかもしれませんね。本当に申し訳ないです……。
でもミケ猫さんのご感想のお陰で、自分の想像以上に対象読者だけに向いたの物語構造や、不親切な情報配置になってしまっていたと気付けたので、今後手直しする際や、似た話を作る時には気を付けたいと思います。
物語の間口は広い方がいいですからね、皆に親切な構造は大事。
とても参考になるご感想、本当にありがとうございました!!