ごっとんさん（　https://note.mu/yosuke5103　）のお祖母さまである鬼木奈々子さんの詩を読ませていただきました。
BGMはbyebyecheeyonさんの『April』をお借りしました☆彡
https://note.mu/byebyecheeyon/n/n08a9d2993bcc


「歩く」２　　　　　詩：鬼木奈々子

いつのまにか歩いている
舗道（ほどう）の古びた定理の上
砂が巻きあがるビルの谷間に
視野を遮って急に光が屈進する
この角と　またもやそびえる灰色の角
だれか　窓を開く人はいないか
私は一枚の紙の様にスライドの中に舞い上がる

昨日洗った子供のシャツや靴下が　翻っているだろう広場の
そう　だれも居ない広場の不思議な広さ
生活ってなんだろう
肥（ふと）ることか
爪を切る新聞紙のにおい

ブラジル型にオネショして
真夜中に立ち上がった10才の彼
皮ジャンパーを着て
今朝はさっそうと登校した
夜っぴてギターを鳴らした娘は
三才のふくらみを僅かに頬に残し　恋をしてしまった
その後（うしろ）を私も十六才に染まりながら
歩いてしまう

通りをまがれば確か
ハンバーガーの店があるはず