TKL互換PCBの話
最近自分が持っているTKL用PCBの互換性について調べていたんですが、その際に知った情報とリンクをブックマーク代わりにまとめてみました。
カスタム(自作)キーボード界には、複数のキーボードケースに対応する互換PCBがあり、代表的なものだと60%のGH60などが有名だと思います。
同様に、TKL(80%)にも互換性のあるPCBが存在し、その基礎となっているのがカスタムキーボード草創期に作られた「A.87」というPCBです。
TKL互換PCBの成り立ち
2010年頃 A.87
韓国キーボ―ドコミュニティ、OTD.krのメンバーであるMonster Mask(괴수가면)氏によって、TKL用PCBのA.87が設計され、データが公開される。
もともとは対応するキーボードケースとセットで「A.87」と呼ばれていたようですが、今ではPCBだけを指すことが多いです。
A.87はWK・WKLレイアウトをサポートし、スペースバーのスタビライザーは南向き、F12とPrintキーの間にUSBポートがあります。
A.87のデータが公開されると、コミュニティのメンバー達によってA.87 PCBの発注や互換ケースの製作などが盛んに行われました。
2011年に販売されたKorellasのKoalaは特に有名なA.87互換ケースの一つです。他にもLZ-F, Sなどいろいろ。
2011年~ B.87とA.87B
その後、様々なPCBデザイナーによってA.87をベースに改良を加えたPCBやファームウェアが設計されます。
またキーボードケース内部のスペース削減のため、PCBサイズの小型化が進みました。
Winkeyless.krによるTKL用PCBのB.87は、スルーホールの配置などはA.87を踏襲しつつも、より小型サイズでUSBポートがESCとF1キーの間にあります。
また当時、Cherryスタビライザーとの相性の関係で北向きスペースバー(スタビライザー)のPCBが求められていたことから、スタビライザーがA.87の南向きから北向きに変更されています。→詳細
しかし、前述のKorellas KoalaやDuck Orion, TGR Janeといった有名キーボードがA.87スタイルのPCBを採用したため、現在よく目にする右側USBポートの位置が定着し、B.87のUSBポートの位置は普及することなく姿を消しました。
一方、より小型なB.87のサイズは、キーボード設計においてケース内部のスペース削減には有効でした。そのためB.87のサイズで、USBポートがA.87の位置(F12とPrintの間)にあるPCBが設計されます(A.87Bなど)。
以降「A.87」は、このA.87BタイプのPCBを指すようになり、これがTKL用PCBのスタンダードになりました。
2018年 H87シリーズ
2018年にPCBデザイナーのHineybushによって、前述したA.87BタイプのレイアウトでQMKプログラムが可能なPCBのH87が設計されました。
H87シリーズは北・南向きスペースバー両方をサポートしており、現在(多分)最も普及しているTKL互換PCBだと思います。
Hiney PCBの互換表
Hineyの他にもTXのSuo PCBやLINx3のFave PCBなど、現在様々なA.87互換PCBが販売されており、多くのTKLで使用することが可能になっています。
おわり
その他参考リンク
https://emberlee.notion.site/2-PCB-c4f13c76b29349078f6df054dfb0ce11#48eeadd9d7204baaa5e9caa486ca7689
https://winkeyless.com/forums/topic/a-87-%EA%B8%B0%ED%8C%90-%EB%AC%B8%EC%9D%98
https://www.kbdarchive.org/otd_archive/album_post.php?post_id=87376
https://dangwang.wordpress.com/2013/01/31/420-reviews-lz-84-se/