俳句の時間 2022.02.03
掃除機にたまったごみを処分しようと思ったら、もうごみ袋がステーションに出されてしまっていたので、慌てて捨てに行った。路面の雪は消雪パイプからの水でべちょべちょになっていた。
水雪踏む枕草子諳んずる
この句は俳句を初めて一年目の2017年に、組長に特選に取り上げていただいて、素敵な写真歳時記に収まっている。俳号は倉橋要と違うけど。
ほんの数メートルの帰路のあいだに、つっかけのかかとが濡れてきたので、つま先で小走りすると、首元のロケットが揺れてチェーンを滑る音がした。ロケットにはあの子の写真が二枚収まっている。もしも今日豆まきしたら、あの子と一緒に豆をまいている気分になるかしら。
豆撒くやLocketひゅんと跳ねさせて 要
ロケットは何度か句に読み込みたいと思っていた。でもロケットペンダントと空を墜落していくロケットの区別が日本語表記ではつけにくい。英語表記ではLとRで歴然と違うのだけど。中七を「胸のロケット」ってすると何か比喩っぽくも聞こえるし、「首のロケット」としても、もしかしたらわかってもらえない?英単語を使うと「胸の」「首の」が省略出来て、「ひゅんと」の3音が使える。なんだか楽しそうだ。あの子が喜んでくれそうな気がする。
裏季語の革手袋には思い出がある。雨雪の少ない西に住んでいたころ、妹がイタリアの土産として送ってくれた。革の手袋なんて初めてだったが、スリムな作りなのにしっかり暖かく、重宝した。ただ、当初、少しサイズが小さかったのだ。
イタリアの革手袋へ押し込む手 要
ものを使わないでしまい込むのはもったいない。革製品なので、使ううちにちょうど良くなった。でも妹からのイタリア土産でなかったら、誰かに譲っていたかもしれない。