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無念の帰国

少し間が空いてしまいました。
前回は、留学のため渡米したところでした。

念願だったアメリカ生活はとても楽しかったです。辛いことも苦しいことももちろんありましたが、やりたいことをやっている、という何物にも代えがたい充実感を感じていました。

一方で、留学生活が終わりに近づくにつれ、体調は徐々に悪くなっていました。大学院の生活はとても忙しくて週末も宿題に追われたり、現地で就職活動をするもなかなかうまくいかなかったり、現地の人間関係にも振り回されたりと、ストレスや疲れもも溜まっていました。そのせいなのか不眠もひどくなり、薬を飲んでも毎日3時間ぐらいで目が覚めてしまいます。息をつく暇もない毎日の中で疲れが蓄積したからかと、隙を見て横になったりするのですが「回復した」という実感はないままです。

でも勉強も、米国生活も続けたい!大学付属のクリニックにほぼ日参し、ドクターといろいろ原因を探ったり、カウンセリングを試したりしてみましたが、状況は変わらない。

そんなことを続けているうちに、倦怠感(疲労感)はどんどんひどくなっていきます。特に午前中がひどく、朝、なんとか体を起こして朝ごはんを食べても、それだけでさらに疲労感が増してソファに倒れ込む。次に起き上がれるのは1-2時間後。午後になるとなぜか少し体力が回復してくるので、その間にぶわっと家事や勉強を片づけます。でも、不眠がひどいせいで午後7ー8時ぐらいにはもうふらふら、眠気もピークです。宿題をなんとか片づけ、ベッドに倒れ込むもまた3時間ぐらいで目が覚めてしまい、眠りには戻れない。

倦怠感はもう、筆舌に尽くしがたい。私だけ重力が違うのでは?と思うぐらい、体全体がとても重く、地中に引きずり込まれるような感じです。もしかして、なんか(霊が)ついてる??なんて、冗談半分、本気半分で思うぐらい。学校までは徒歩10分ぐらいの道のりですが、その距離ですらもはや、相当な決心がないと歩けないぐらいです。

ある日、ドクターが言いました。「もしかしてあなたの持病によるものかもよ」。

ドクターには最初の治療時に、クッシング症候群と診断されたことを話してありました。
確かに、何をやっても不眠も疲労も改善しない。何か、別の原因が立ちはだかっているとしか思えない。

たまたま近所に大きな病院があったので、「クッシング症候群なのだが検査して」と予約を取りました。
まず最初にやったのは、畜尿の検査。ご存じのように、クッシング症候群かどうかを確定するためには、複数の検査を重ねて確定していきますよね。

私の場合はこの最初の検査で、クッシング症候群なのは間違いない、とのことでした(まあそれはわかっていたけど)
私には、ドクターにもう1つ、確認したいことがありました。「治療は、副腎を摘出する以外に選択肢はないのか?」

副腎を摘出してしまうと、その後が大変。リスクもいろいろある。この病気の患者も多いという米国で、新しい治療法が登場していないか?そんなことを知りたいと思いました。

ドクターもいろいろ調べてくれました。でも返事は「今の時点でbest and onlyな治療法が手術だ」とのこと。投薬もあるけれど、それはすでに手術ができないぐらい体力が弱った人等への選択肢になるそうです。

その言葉を聞いて、心が決まりました。

日本に帰ろう。そして、手術を受けよう。

手術までするなら、その後の生活も含めてやはり馴染みのある日本で受けたい。米国でまだまだやりたいこともあるけれど、いったん撤収し、仕切りなおして出直そう。


大学キャンパスから見えた夕焼け

友人の言葉も後押しになりました。

「あなたが元気じゃないと、私もhappyではない。今のあなたを見ているのは、私も悲しい」

どうしてもアメリカに残りたい、と体調が悪いのに必死でもがいていた私を見て、こう言ってくれました。その言葉を聞いて、はっとしました。

私は私のものだけど、私だけのものでもない。いろんな人に支えられて助けられてここまで来たのに、自分がどうしてもやりたいから!と我を押し通して周りを悲しませるのは、それは傲慢なのでは。

とにかく、体力があるうちに帰国して治療を始めよう。早く始めれば、それだけ早く治るはずだ!

なんとか卒業し、必死の思いで帰国しました。渡米してからちょうど1年目の夏でした。


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