俺独自のゲームワールド[俺独ゲー]0-2
「あら、こんにちは。今日は外にでてるのね。珍しい。お母さんはお元気?」
「え……………はい、まあ普通っす…」
近所のおばさんが話しかけてきた。たぶん俺も会った事があるのだろう。だけど顔を見ても思い出せない。ラグナロク・伝説の魔王に似てるなと思った。
「あんた、ずっと家の中に籠ってゲームしてるって聞いてたから心配してたのよー。たまには外に出た方がいいわよ。体に悪いからねー」
「あ、はい、では」
俺は目を逸らして早歩きでおばさんから逃げるように離れた。おばさんは不審そうな顔をしていたが、すぐに家の前の掃除を再開した。俺にはそこまで興味はなかったのだろう。
「ちっ、全然帰ってこないから俺が買うしかねえか。めんどくせぇ。」
俺はゲームをぶっ通しで家の中でやっていたのだが、出掛けている両親が帰ってこない。夜ご飯を買って帰ると言っていたのにもう夜10時を回っていた。俺はRINEで「俺自分の夕飯買ってくる」と送った。
街中を歩いているとふと店のガラスに自分の姿が映った。パーカーを目深に被って周りの視線を気にしながら歩いているその姿は明らかに不審者だった。知り合いに見られたら嫌だな、と思いつつコンビニで弁当を買った。帰り道にゲームショップに寄ると新しいゲームが売っていた。CMも見た事がないそのゲームは
「爆進!シナリオぶっ壊せ!」という名前だった。
新商品!何と破格の3000円!マジか、安いな。買うか。つまんなかったら売ればいいしな。
帰り道、俺は久しぶりに外出て良かったなと思った。新しいゲームも買えたし、いい事づくめだ。家に帰ったら弟に教えてやるか。
――これは谷口圭吾がゲームワールドに入る一週間前の話である。――――――
0-2(?)完