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~カワウソ備忘録~

カワウソといういきものに興味を持ったのは2010年頃、東京の恩賜上野動物園にいたコツメカワウソと出会ってからです。
当時、買ったばかりのデジタルカメラを持って動物園に行き、カワウソやその他のいろいろな動物写真を撮りました。
それまで使っていたフィルムカメラでは、カワウソのような動きの速い小さな動物は撮影することなど考えてもいませんでした。連写などしたらあっという間にフィルム1本終わってしまいますから。

カワウソの魅力はいっぱいありますが、見た目の可愛さや大きさなどからコツメカワウソに人気が出たのも納得です。また、SNS情報の拡散も相まって「カワウソ飼いたい」と思う人が劇的に増えたのは2015年前後。
動物園でカワウソのボランティアガイドをしていた筆者は危機感を持ち、大学での卒業研究論文でこのテーマを採り上げました。

2018年度に執筆した学位論文です。
以後5年間、大学のHPに掲載されていましたが、掲載期間が終了したのでこちらに備忘録としてアップしておきます。

その後、コツメカワウソは2019年にCITES(※)の附属書ⅡからⅠへ格上げになり、状況は少し変化しました。「少し」と言ったのは、まだまだ抜け道があり最善の状況になったとは言えないからです。
しかも、国内の動物園・水族館ではまだまだ新たにコツメカワウソの飼育展示を始める施設が増えており、身近な動物という印象を強め、絶滅危惧種であるという認識が薄れていく現象は止まりません。

どうすればよいか?何をするべきなのか?
そんな問いに明確な答えは見つかっていませんが、日々のガイド活動で少しでも理解が広まるよう啓発活動を続けていきたいと思っています。

(※)CITES(サイテス)・・・Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)、通称ワシントン条約。野生動植物が過度に国際取引に利用されることのないよう保護することを目的とした条約。
附属書は、規制の厳しい順にⅠ→Ⅱ→Ⅲとあり、コツメカワウソは2019年に商業取引が可能な付属書Ⅱから、商業取引禁止・学術目的の取引なら可能な付属書Ⅰに格上げとなった。