徒然なる日々のことなど
2020年8月1日。15年来の友人たちと集い、姪のような娘のような、さきちゃん(仮名)の入籍のお祝いを。3月半ばくらいから、家族以外と夜ごはんを食べていなかったわたしにとっては久しぶりの夜の外出に。
初めて会った時は中学生だったのに。
気がつけば綺麗なお嬢さんに成長していた。雑誌にも登場する新居は若い二人のセンスに溢れていて、気持ちの良い空間で手際よくあれやこれやと出してもらってすっかりもてなされてしまう。
懐かしい味。彼女の実家で、オーストリア人のおばあちゃんが作ってくれたサワークリームスープは、彼女のお母さんが飲食店を始めた時の看板メニューのひとつだった。わたしたち全員は当時、なんどもこのスープを飲んで、彼女たち家族とともに働いたり遊んだりしながら、生きていた日々があった。
スープが登場した瞬間に一同が声にならない声をあげ、それぞれの想い出とともに味わい、ここにいない人を偲(しの)び、ただただ夏の夜を過ごして。あっという間に秋になり、冬になり、2020年があと1ヶ月で終わろうとしている。
12月。46歳になって、もうすぐ4ヶ月。職場を変えて早15ヶ月が過ぎ、振り返って思い出すのは去年の10月第1週の金曜日の夜。新しい場所で「!」の連続に汗ばかりかいていたわたしを「送別会」という名のもとに集まってくれたかつての仲間たち。
在職中はいいことばかりではなかったし、それは自分が一番よくわかっていた。血気盛んな当時のわたしはよく諍(いさか)いもおこし、海外に出張中の同僚と国を超えて喧嘩もした。同世代の気安さもあって、言葉を選ばずに思いをぶつけてもまっすぐに投げ返してくれ、だいたい翌日にはどちらからともなく「で、どうするんだっけ?」と仲直りならぬ、一緒に目指すゴールの答え合わせをしていた。
当時の熱さを思い出さないように、封印して精一杯の強がりで向かった先で。
懐かしい顔を見た瞬間に、サンプル仕入を社長へのプレゼンに間に合わせるために、かつての取引先に頼み込んでチャーターを手配してもらったこと。極寒の冬の日に棚卸しで吹きさらしの倉庫で朝から作業したこと。新しいブランドの立ち上げで連日、休祝日返上でそれぞれが店頭に直参したこと、などなどが。
なんでこのタイミングで、というタイミングに。いっぺんに記憶が蘇ってきて。
「忙しかったから在職中(と言っても1週間前)に開催できなくてごめん、今日来れなかった店舗のスタッフもカンパしてこれ、家具チームのみんなから」と渡された餞(はなむけ)。生ビールで乾杯して、秋冬の商品の立ち上がりを労い、きっちり2時間で解散。
生まれ変わっても、また一緒に働きたい。
海外からも連絡があったり。
かつての店舗を一緒に訪問した秋。
年齢を重ねてよかったなとおもうことはいくつもある。大事な人が増える。かけがえのない思い出が増える。大切なことと、手放したほうがいいことがわかる。土壇場での胆力(たんりょく)がつく。
わたしはまだまだ、挑戦をしていくし。
今の仕事場で、チームで、叶えたい夢がある。
進行形のことは書けないことが多い。でもきっといつか、ちゃんと残しておきたいなとおもいます。
人生は楽しいぜ!