手帳がわたしを連れてきた
フランス短期留学中に、ソルボンヌとは別に私立の語学学校にも通っていました。ラウンジに大きなテーブルがあって自由に談笑できるスペースがあるのですが、そこで知り合った日本人の男性。
若さも手伝ってあっという間に意気投合。
すでにフランス在住が2年以上、しかも2回目の渡仏だった彼。帰国まであと1か月だったわたしは記念にエッフェル塔に連れていってもらいました。
そのままランチを一緒にとったのですが、レストランでのふるまい、ナイフの使い方が見事で、思わずじーっと手元を凝視していたら。
「まあ、プロだからね」
・・・なんと、当時ミシュラン3つ星のレストラン「ピエール・ガニエール」で働くスタジェでした!
聞けば都内のフレンチレストラン勤務後に初めての渡仏、帰国し別の場所で働くもやはり修行したいと再留学。フランス内の複数レストランで働いた後、今の職場にいるのだと。結構な苦労もあったり差別を受けたりしたようですが、現職場はやはり水準が違うと。
せっかくだからガニエール、行ってみようかな。
わかった。予約をとるよ。友達と二人?予約表をみて後で電話する。
当日。友人と二人でサーブされたコースとワインは素晴らしく、わざわざマダム(ガニエールの奥様)も挨拶にきてくださいました。たぶん気を効かせてくれたのであろう、調理中の彼も厨房から顔をだしてくれ、忘れられない時間になりました。
あれから15年。気が付けば彼のこともレストランでのことも記憶に埋もれてしまっていましたが。この夏に実施した断捨離でみつけた古い手帳。
そこには当時みた映画、読んだ本、行った場所とともに、小さなつぶやきや授業の記録。そして、彼の名前も。
なかば祈るような思いでインターネット検索したら、築地でフレンチレストランのオーナーシェフになっていました。
自分の店をもちたいといっていた、夢が叶ったんだ。
はやる気持ちをおさえ、スケジュールを確かめて、予約を入れて。
15年ぶりに再会。
***
未来というのはいきなり生まれるものではなく、
「今」の累積でつながっていくものだから、
一日一日を大切に生きていこうとおもうのです。
「手帳がわたしを連れてきた」
そんな未来のいつかのために、今日から日々のつれづれを書いていきます。
#会った人・会いたい人 #自分への取材手帳 #20171121
トリスと金麦と一人娘(2023 春から大学生になり、巣立ちます)をこよなく愛する48歳。ぜひどこかで一緒に飲みたいですね。