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女医の不妊治療体験記 #4 不妊治療中の仕事のやりくり
あさちょこです。
不妊治療(体外受精)をへて、39歳と41歳で(しかもそれぞれ誕生日目前に)男児と女児を出産している、40代半ばのワーママ医師です。
2017〜2019年頃に不妊治療をしており(当時は精神的にとても辛かったです)、全てが終わった私の体験を淡々とシェアすることで、少しでも、今しんどい思いをしている方々の救いになったらいいなと思って書き始めました。
ここまで読んでくださった方々、スキをくれた方々、フォローしてくださった方々、本当にありがとうございます❤️
私自身も自分の『ワーママ』としてのスタート地点を振り返ることで、思い出すことや気づくことがたくさんあるなと感じています。
今までの記事はこちら↓
今回は時系列での経過から少し外れて、不妊治療中に仕事をどうやりくりしていた?という話になります。私の個人的な事情等も入っての、特殊な部分もあるかと思いますが、あるがままに書きました。
不妊治療中に仕事をどうやりくりしていたか?
当時の私の状況
当時私は博士課程の学生をしながら、パートタイムで診療をしていました。
英国の大学に所属しており、最初の1年ちょっとは英国に住んで指導を受けていましたが、2年目からは日本でデータ集め、分析、論文執筆をしており、不妊治療を始めたときには、日本で、集めたデータの分析をしながら論文執筆をしている段階でした。
(博士課程の諸々についてはそれだけでも結構書けるので、また別に書かせてください!)
臨床の仕事のやりくり
ということで、論文執筆の時間を確保するために、臨床医としての仕事は、週に2.5-3日程度に抑えていました。
このため、仕事のない時間に不妊治療クリニックへの通院を調整するのが比較的簡単で、この点は不妊治療をするうえで、とてもラッキーだったと思います。
私には女性医師の友達が多くないので(爆)状況を共有することは少ないのですが、私のような海外の博士課程に進学する人は稀でも、大学院在籍中に妊娠・出産を試みる人は多いように思います。
2人目の不妊治療時には、1人目の育児、特に保育園の送迎があったので、もっと時間的にはシビアでした。
それでも、採卵はもう済んでいて、残り3つの凍結胚を順番に移植していくだけ、という状態だったことで、精神的にも、時間管理的にも救われました。
「不妊治療体験記#2」に登場する看護師さんの何気ない一言に大感謝です!もし二人以上の子供を望みつつ、体外受精に取り組んでいる方には、一人目の時に二人めも想定した採卵計画を立てられることを私からもお勧めしたいです。
ただ、大まかな移植や準備の日程はわかりますが、最終的には子宮内膜の状態で移植日を決定するので、直前まで移植日はわかりません。
事前に色々なパターンを考えて、どのような状況で勤務に支障が出る可能性があるかを洗い出し、どうしても出勤が10時になってしまう日が出てくる可能性があることを把握した上で上司に相談すると、
「だったら先生の外来、全部10時からにしよう!」
ということになり、2人目不妊治療中(そして妊娠してからも…)の私の外来は、10時スタートになりました。
最初は、
『そんな一か八かのために全部10時からにする?!』
と戸惑いましたし、時給で働いていたので、本来働けるはずの9-10時の時給は減ることに少し抵抗もあったのですが、体力的、精神的に余裕ができたのは良かったかなと思っています。
この点は小さなクリニックに勤務していたので、融通が利いたことにはとても感謝しています。結局、移植日が勤務日にあたることはなかったので結果的には不要な時間調整だったかもしれませんが、自分で事前に色々なパターンを想定してから相談すれば、このようなことも可能なんだ!と知れたこともよかったです。
(そしてこれを書いていて思いましたが、むしろ今も10時仕事スタートの方がありがたいかも…?!来年度以降の働き方を考える上で検討してみようと思います)
尚、児童福祉に関係する公的機関に勤務していて、不妊治療をしていた私の友人は、不妊治療について職場で話すことは一切せず、採卵や移植は全て当日の「体調不良」(そうです、仮病です!)で通して仕事を休んだそうです。
不妊治療に対する理解を求めるのも億劫だったのだと思うのですが、結構なストレスだったのではないかと思います。ちなみに、彼女は私より10歳くらい若くて、1回の採卵で10個以上卵が取れていたので、採卵は1回で済んだので、乗り切れたのもあるかもしれません。(私が3回採卵をしたと言ったら、「よくあれが3回できたね?!」と目を丸くしていました!)
論文執筆のやりくり
大学院生としての生活としては、月に1回、当時はSkype(!)でsupervision meetingを行い、それ以外のでっきるだけの時間を論文執筆に当てていました。大学院生としては、一応登録上はfull-time studentということになっていたので、週の半分を診療に費やしているだけでも、まあまあプレッシャーはありました。
また、大学はイギリスなので、自分のデスクもなく、自宅、コワーキングスペース、カフェ…色々なところを点々としながら論文に取り組む日々でした。(なんとかして確保した研究費からシェアオフィスの費用を捻出したこともあります)
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論文執筆の時間のやりくりについては、もう単純に、日々の生活に必要な時間、不妊治療のために必要な時間、それから診療時間を差し引いた残りの時間を執筆に当てていただけで、そこにはコツもクソもない感じでした…。
あえて言えば、小さいノートパソコンを購入して、不妊治療クリニックでの待ち時間にも作業をしやすくしたのが工夫したことかもしれません。
ただ、私の中で時々、
『一番大事なのは子供を授かることであり、不妊治療である』
『博士課程はその次に大事なことである』
『臨床の仕事は、申し訳ないけど、今はこなせれば良い』
ことを確認するようにしていました。
不妊治療をしていれば、その分、論文執筆の時間が削れる訳で、その点は上記の優先順位を思い出して、あまり深く考えないようにして対処していました。
「あまり深く考えない」…一見雑に見える対処かとは思いますが、意外と大事かなと思います。今一番大事なことは何かを決め、それ以外のことの完成度が下がることには目を瞑る。ある意味、私が博士課程で学んだ大きな人生訓の一つかもしれません。
おわりに
今回の内容は、ちょこちょこ個人的なことも含まれているので、ドキドキしながらの公開です。ながくなってしまいましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございます。
冒頭にも書きましたが、自分の不妊治療を振り返っていると、色々思うところもあって、書きたいことが色々出てきています。妊娠中の仕事をどうやりくりしたか、もいつか書きたいなと思っています。
とはいえ、不妊治療の経過を時系列に一通り書きたい気持ちもあり…次は、第一子の出産経過について書くと思います!どうぞみなさん暖かく見守ってくださればありがたいです。