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カナダ山火事、ジャスパーの友人とのリアルな会話と私の心境
ジャスパーとの繋がり
昨年の夏、私はカナダで有名な観光地であるジャスパー国立公園に留学していました。そこで出会った現地の友人(元職場の同僚でもあります)とは今でも連絡を取り合っています。
2024年7月22日の夜10時頃※、その友人から突然のメッセージが届きました。
「近くで山火事が発生していて、急遽避難することになった!」
カナダの山火事事情
カナダでは、特に乾燥した夏の季節に山火事が頻繁に発生します。
アルバータ州だけでも100箇所以上で山火事が起こることは珍しくありません。
最初に友人からメッセージを受け取ったとき、私は日本でもよく発生する小さな地震と同じように、すぐに収まるだろうと軽く考えてしまいました。
そのため、「早く収まるといいね!」と軽い返事をしました。
避難生活と再避難
翌日、友人からのメッセージには、
「朝ごはんがめっちゃ並んでるよ〜。人多すぎ!」
と避難生活を大変ながらも、半分非日常的な生活を楽しんでいるような雰囲気の写真が送られてきました。
しかし、24日の早朝、「今ジャスパーに向かっているよ」という連絡が。
彼女の働くホテルが消防士や警察官の宿泊所として利用されていたため、宿泊のヘルプをするために一時的に街へ戻ることになったのです。
ところが、ジャスパーに戻ってすぐに再び避難することになりました。彼女がジャスパーに到着した時には、炎が大きくなり、街に迫っていました。
その時に友人が送ってくれた写真には、真っ青な青空にくっきりと映る煙が写っていました。
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衝撃の写真と不安
私はFacebookやXで情報を集め始めました。
そして、辿り着いた衝撃的な写真に言葉を失いました。
それは、私がジャスパーで働いていた職場の隣にあるホテルが燃えているものでした。
Brace yourself. This is a tough image to see of Jasper- Maligne Lodge. Same eyewitness says PetroCan/ Brightspot were hit. This was over half hour ago.
— Lindsay Warner (@Lindsay_Warner) July 25, 2024
(Please note, I did not take this photo and was personally sent it under the guise the photo capturer wants anonymity) pic.twitter.com/NcDgwPuGAm
友人の報告と現実
すぐに友人に連絡を取り、
「この画像見たんだけど、職場大丈夫かな?燃えてないよね?」と尋ねました。
すると友人から、
「全部なくなった。私たちのホテルもなくなったよ。1ブロック先のお家も全部。」
という返事が。
まだ公式情報が出ていなかったため、友人の言葉を鵜呑みにせず、あの画像はフェイクかもしれないと願い、5分に一度は何か新しい情報がアップデートされていないか、ひたすら情報を追いました。
山火事のニュース
そうしているうちに、YouTubeでジャスパー山火事に関する動画を見つけました。
現地でリポートをしていたアナウンサーは、モンスター級の炎が迫ってきて今も消防が必死に消化活動を進めていると説明していました。
煙や煤の影響で目を開けられないほどの状態でした。
そして視聴を進めると、なんと知人がインタビューを受けていました。
彼も友人と同じようにヘルプで街に戻ってきたものの、炎が急速に拡大したため、再び避難を余儀なくされたと語っていました。
SNS上での悲惨な写真や動画
ただ、この時点では公式(Jasper National ParkやMunicipality of Jasper) による詳細な報告がまだなかったため、さらに情報を求めて、私はSNSでジャスパーの山火事に関する投稿をチェックし続けました。
そこには、道路の両サイドが火の海となり、その中を避難している車の動画や、燃え盛る炎が街に迫る様子が写された写真が次々と投稿されていました。
これらの映像は、私の不安をさらに煽り、友人や知人たちの安全を心から願わずにはいられませんでした。
そしてその夜、ジャスパーには雨が降りました。
モンスター級の炎の翌朝
翌朝、(7月25日)
私はある程度の覚悟を持ってFacebookを開きました。
そこには、全焼した家々の画像、動画が投稿されていました。
焼け野原になってしまった街の写真を見て、言葉が出ませんでした。
ただし、この動画は公式によるものではなく、誰が撮影したものなのかが不明であったため、まだ信じたくない自分がいました。
公式からの被害状況の発表
27日、公式から被害状況の詳細が発表されました。
街の30%ほどの建物が全焼していることが確認され、私の知り合いが住んでいる地域も含まれていました。
嘘であってくれと願った私の願いは届きませんでした。
幸いにも私と連絡を取っていた友人の家は被害がありませんでしたが、彼女の職場、同僚の家は残念ながら崩壊してしまいました。
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最後に
衝撃的なニュースから1週間以上経った今でも、まだ消化活動が行われています。
残念なことに、先日は消火活動を行なっていた24歳の消防士の方が亡くなってしまったという訃報もありました。
この大規模な山火事のニュースは、現在日本に住む私にとっても大きな衝撃と悲しみをもたらしました。
そして、現地の友人や知人たちが、避難生活を強いられ、今もその困難と向き合っていることを思うと、本当に胸が痛みます。
いつかまた戻ってこようと決めていた、大好きなジャスパーがこんな姿になってしまうとは思いもしませんでした。
1日でも早くジャスパーの住人が街へ戻り、以前の生活に戻れますように。
そしてまた自然豊かな美しい観光地として、みんなから愛される街として復興できますように。