2021大晦日 星にねがいをSS
やっほー! #星にねがいを のヒヨだよ☆
みんなは年越し、どんなふうにすごす?
わたしはねぇ、家族でおしゃべりしながら年越しして(たいていウトウトしちゃうけど)、そのあと、自分の部屋の窓から星を見上げて、新年のおねがいごとをしてから眠るんだー。
「じゃあ、あけましておめでとーございましたぁっ」
お父さんとお母さんにあいさつして、眠気にふらふらしながら、部屋にもどる。
ばふっとベッドにつっこんだあと、いかんいかん、おまじない……と起き上がった。
窓を開けたら、きらきら、冬の空の澄んだ星空。
わたしはビヨスケ復活の願いをかけたノートを抱いて、いちばん大きな星を見上げる。
「ビヨスケが、はやく帰ってきますように。真ちゃんがますますアメリカで楽しい毎日をすごせますように。あといっぱいこっちに帰ってきてくれますように。冴ちゃんとハルルンと、今年もいっぱいいっぱいみんなで笑いあえますように。北斗くんもバスケ、がっつりエンジョイできますようにっ。ええとそれから……」
セラちゃんとマリさんが、また夢で遊びにきてくれますように。
願いごとは果てしない。
ぶつぶつぶつぶつお経みたいに唱えてたら――。
「ヒヨ」
窓の下から、聞き間違えるハズのない、真ちゃんの声!!??
「しっ、ししししし真ちゃん!!」
わたしは身を乗りだしすぎて、窓から落っこちそうになった。
暗がりのなかで、アメリカから一時帰国中の真ちゃんと、優子ちゃんが手をふってる。
マフラーで鼻まであげた彼は、寒さにほっぺたが赤くなってる。
「いま、神社に行ってきたところなんだ」
「おおっ、年越しの初もうでっ?」
「そうそ♪ 真がどうしてもヒヨちゃんの家の前通りたいって言うから、回り道してきたの。今日の昼間だって会いに行ってたのにねー」
「姉ちゃん……」
ボソッとうめいた真ちゃんが、優子ちゃんをヒジでつつく。
そんな二人は、冷え切った夜中の空気に、息が白くなってる。
「今、おりてくねっ。ちょっと待ってて!」
わたしがUターンしかけたら、二人に「いいよ」って止められちゃった。
「どうせあとで、冴子やハルキたちと初もうでに行くんだから」
「でもせっかく来てくれたのにぃ。お茶くらい……」
そわそわウズウズしちゃうわたしに、真ちゃんはちょっと笑う。
群青の夜明けの色の瞳が、きらっと光って見えた。
「あけましておめでとう、ヒヨ。それだけ言いたかったんだ」
静かな声が、胸をじんわりあっためてくれる。
「……うん。おめでと! 真ちゃん、優子ちゃんっ!」
あした(もう今日だ!)の待ちあわせの話とかして、「じゃああとで」ってバイバイして。
窓をしめて、ノートを抱いたままふとんに入る。
わざわざ来てくれたんだ。うれしいなぁ。
夜の空気にあたって冷えちゃったはずなのに、めちゃくちゃぽかぽかするよ。
真ちゃん、やっぱり、あらためて、めちゃくちゃ大好き。
あーっ、幸せだなぁ!
わたしはふとんを頭までかぶって、くふくふ笑った。
※
そして、いつものメンバーで集まった、お昼の初もうで!
みんなでお参りして、甘酒のんで、おみくじ引いて、焼きそばをお土産に買って、またウチでパーティってことになったんだ!
けど……。
「ヒヨ、ふらふらしてるんだから、足もと気をつけてね」
「ヒヨ子、新年早々のそのクマ、やばすぎでしょ」
「いやぁ、だいじょぶだいじょぶ」
冴ちゃんとハルルンが心配そうにのぞきこんでくる。
わたしは特盛にしてもらった焼きそばのビニールぶくろをダッコして、ニッコニコ(しているはず)。
じつはあのあと興奮しちゃって眠れなくなって、そのまま今にいたる……んだよね……。
油断すると、意識が飛んじゃいそうだ。
ちらりと真ちゃんを見ると、彼はなんともいえない、神妙な顔。
「ごめん、ヒヨ」
「やだなぁ、真ちゃん。わたしぜんぜんへーきだか、」
らって言おうとした瞬間。
ガッ!
上がりきらなかったつまさきが、みごとに石畳につっかかった!
「おわあああっ!?」
「ヒヨ!」
真ちゃんが危ういとこで肩を抱きとめてくれたけど、
その反動で、空にふっとぶ焼きソバさん。
まるで花火のように、大きく開く花びらのように、宙で分解四散する焼きソバさん。
新年の陽ざしにキラキラ輝きながら、舞い散る焼きソバさん。
冴ちゃんもハルルンも南くんもありあちゃんも、アアアッと悲鳴をあげる。
ああっ、まさか今年も無きソバに……!?
オレさまのいねーとこでウマいもん食うとは許さんビヨッ。
とかなんとか。
うすれゆく意識のなか、にやりと笑う「某幸せの青い鳥」の笑顔が、青空に浮かんで見えた……気がしたのでした。
~了~
星にねがいを! シリーズ全7巻!
2021は完結ありがとーー!!
2022もよろしくね☆
そして「無きソバ事件第一回」は、こちらのSSをどうぞ(笑)
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