【あっさじーん伝記】 フィーバー破産再び
今回のセットの発端は、あさちゃんのセット募集ツイートである。
私はすぐにLINEを送った。
私 「明日東天紅できますよ」
あさ 「あと一人はどうするんですか」
募集していた人間が言うセリフではない。
私 「とりあえず、かもしん氏に声かけますね。かなでちゃんも誘ってみてはいかが?」
あさ 「かなでさんは誘ったのですが明日は無理だそうです」
私 「じゃ、かもちゃんに声かけますね。あとひらさわにも」
あさ 「面子からくね??(^ω^;)」
かなでちゃんは辛くないということだろうか?追求してもどうせ「ソンナコトナイデスヨ」が返ってくるに決まっている。
私 「面子に低いレベルを求めるなら、公募しないで個別に誘ったほうがいいですよ」
あさ 「ぬるい人は東天紅は打たないからなぁ。俺くらいじゃないか。」
私 「たしかに」
あさ 「まあ、4人いれば双六できるからいいか」
数分後。
私 「かもちゃん返事待ち。ひらさわは来れそうです。13時に◯◯待ち合わせにしましょうか」
ようやく面子も時間も揃ってきたころ、それまでの努力をぶち壊す一言が送られてくる。
???
私が意志形で合意を求めたことに合わせたのか、あさちゃんのほうも意志形で返してきた。しかしここまできてやめておくわけがない。
私 「すでに1人集まっちゃいましたし、もう1人も声かけちゃったんですが・・・。ここまで一言も『やらない』と言わずに、面子集めてからいきなりキャンセルは厳しいものがあります」
あさ 「すみません、健康診断を忘れていました」
オオカミ少年というのはただ嘘つきなだけでなく、真実を話すときのタイミングも最悪な人間のことなのだろうと思う。本当に健康診断があるのなら、「明日はやめておこう」からの「健康診断を忘れていました」のコンボでは嘘くさい。最初から「すみません明日は健康診断だったのを忘れていました」と書いたほうがまだマシだ。
まぁそれでもあさちゃんが言えば嘘くさいが・・・。
あさ 「いや、マジです。診断結果を画像で送ってもいい」
私 「面倒くさいんで、それならご自分でかもしん氏とひらさわに断りの連絡をいれてください」
私のほうもジャブで返すと、仕方ないなと言わんばかりに折れ始めた。
あさ 「健康診断は日をずらすか」
最初からそうしてください。
あさ 「でも、負けると金が足りなくなって料理配信ができなくなるんだよな」
私 「それはよくないです。負けたら貸しでもいいですよ。とにかく、やるのかやらないのかハッキリしてください」
あさ 「・・・やりましょう」
ゴリ押しでようやく首を縦に振ってくれた。ここまでくるのも一苦労である。
*
セット当日。待ち合わせは13時30分だ。
13時6分にあさちゃんからメッセージが届く。
あさ 「フリーにおりますので」
金ないんじゃないんかいというツッコミを抑えて「ちゃす」とだけ返す。
待ち合わせ時刻ちょうどに到着すると、フリーフロアにどす黒い負のオーラを放つ中年男性がいた。後ろからみてもわかるほど果汁100%あさちゃんだ。
私 「着弾」
3分後の1時33分に彼から連絡が入る。
「南2」
待たせている側の文字数とはとても思えない。同じ建物内にいれば遅刻にならないという認識なのだろうか?少なくとも私はそうではないと思います。
結局、15分遅れの13時45分にあさちゃんがモンスターエナジーを抱えながら到着。フリーは0.3を打っていたらしい。
私 「ひらさわは130kg超えて腹がパンクしたから来れないって」
あさ 「ええっ?!いや、すごろくは?」
私 「東天紅だな」
あさ 「いやーこの面子はきついな」
私 「ひらさわはぬるいってコト?」
あさ 「い、いや、よりキツイってことです」
私 「そっか~」
私 「じゃレート決めますか。20円くらいですか?」
あさ 「ええっ!!??それは無理です!!無理無理無理ぃぃぃぃ」
私 「いまの表情おもしろかったから写真撮ってもいいですか?もう一回お願いします」
あさ 「い、いや、意図的にはできないですよ」
私 「じゃ50円にしよっか」
あさ 「それは絶対無理です!!無理無理無理ぃぃぃぃううう~~~~」
今度は無事撮影することができた。彼がグラビアアイドルだったら被写体としてこれ以上扱いやすいことはないだろう。
私 「じゃ、10か20かでくじ引きしますか」
そう言って1pと2pを用意したとたん、あさちゃんは遊図の勤務で見たことのない素早さで2pをふっとばし、別の1pを持って1p2枚を混ぜはじめた。
かも 「なにやってるの?」
あさ 「ハイ!1p!10円デス10円!!!!」
私 「・・・10円でいいよ」
あさ 「ハァーー、つかれた・・・・」
カイジのピンゾロサイ並みのパワープレイだが、ここまで気合を入れられたら仕方がない。
それでは、スタミナ切れの状態からセットスタートです。
*
開始から数十分間、いつもどおりあさちゃんはほとんど和了せず。その間にもフィーバーリーチが飛び交う。
しばらく耐え忍んだ後、ようやくあさちゃんにも手が入り、電気椅子にかけられたような痙攣の様子から、どうやらフィーバーの聴牌のようだった。
この日はじめてのフィーバーに心躍ったのか、彼は20秒以上かけて解説をしてくれた。
フリー雀荘でも和了後に講釈を垂れる人がいるが、リーチ前にベラベラ語り出すのは唯一無二、彼だけでございます。
その後、私にも幸運な手が入り、2巡目に256789p8s待ちのフィーバーリーチ。しかもカラス(抜きドラ0枚)であり、祝儀5枚と素点30点が加点される。
終盤まで抜きドラを引かず、カラス生存のまま40点8枚をガトリング。これだけで600点と120枚ほどのチャモ。
あさ 「アッ!チョ、マテマテ、チョットマテ」
そう言ってスコアシートをじっくりと凝視するあさちゃん。
あさ 「い、いや、もう財布的に厳しいかも」
私 「でも、場代は5時間のパック料金だから最後までやらないと期待値的に損ですよ」
「期待値的に〜」のワードを使えばまるで騎手のように彼を操れる。
あさ 「・・・あと何時間ですか?」
私 「いま15時前なんで、あと3時間半くらいですね」
あさ 「そんなにかよ・・・はぁ・・・もう帰りたい」
私はかまわないが現状同じくらい負けているかもしん氏の前で言えるのがすごい。
私 「別にお気持ち表明は今日じゃなくてもいいよ」
あさ 「分割でもいい?」
私 「普通にそうなるでしょ」
あさ 「3回とかに分けてもいい?」
私 「別にいいけど(ちょっと嫌ではある)」
どれだけ負けるつもりなんだろうか?彼の懐は浅いのか深いのかよくわからない。
とりあえず今日は即精算しなくていいことがわかって安心したらしい彼は、珍しく世間話を始める。
あさ 「そういえばかもしんさん、PS4はお持ちですか?」
かも 「いえ、持ってないんですよ」
あさ 「そうですか」
かも 「・・・・・・」
私 「・・・・・・」
あさ 「・・・・・・」
私 「そんなアキネーターみたいな会話ある?」
あさ 「えっ!!??へ、変でしょうか?」
私 「どうしてその質問したの?」
あさ 「じ、実は今日フィリアさんに返してもらったペルソナ5を買い取ってもらおうかと思いまして」
7月末のかなでちゃん・かもしん・あさじん・私のすごろくセットのときに私があさちゃんからお借りしたものだ。
私 「メルカリで売ればいいやん」
あさ 「いや、メルカリはアカウントが使えないんです」
私 「どういうこと?」
あさ 「メルカリのスマート払いって覚えてます?」
私 「ああ、あの後払いのやつね。覚えてますよ」
あさ 「例のMAN EATERっていうサメゲームをスマート払いで買ったんですけど、支払いを忘れていて、メルカリを利用しようとしたらいつの間にか使えなくなってました(笑)」
私 「ばけもん」
メルカリはまじで追放されているようなので、似たサービスであるラクマを勧めておいた。手数料はメルカリ10%に対してラクマは3.5%だ。ただしメルカリのほうはユーザーが何十倍も多い。
ゲームの価値は発売日からどんどん下がるため、さっさと売りさばいて資金を増やしてほしいものだ。
*
15時半を少し過ぎた頃、あさちゃんの唯一の見せ場がくる。
あさ 「リ、リーチ!!!オープン!!!」
待ちは2p369sのオープンリーチだ。
私 「あさちゃんがんばれーー」
かも 「がんばれ~~」
あさ 「ツ、ツォ!!!!!アリスは・・・おおっ!!アリ1!!・・・・アリアリ!!!・・・えっ!?アリ3!!!!アリアリアリアリアリ」
アリスはどんどん乗り続け、ついには盲牌まではじめる。
あさ 「う~~ん!!!!これは、カン8sだっ!!!」
待ちは2p369sのオープンリーチだ。
私 「(カン8sってなに?)」
かも 「9mじゃん」
なまこのようにくねくねとアリスをめくり、なんと1撃19枚。一般形の和了にしては最高レベルの打点だ。
あさ 「ふぅ~、フィーバーじゃないけど結構もどったな」
私 「おめでとう~」
あさ 「この勢いでプラ転を目指すぞ!!」
私 「あさちゃんならいけるよ!がんばって~~!!」
*
*
*
私 「ん~、あさちゃんチップ込みでマイナス22980だね。端数切り上げで23000でいい?」
あさ 「 灰 」
かも 「ボクハ マイナス7700デスネ」
私 「ちゃす。あさちゃんは今度でいいから」
あさ 「い、いや、少しくらいは」
お手持ちがほとんどないはずのあさちゃんは、財布からなけなしの諭吉を差し出してくれた。
私 「料理配信大丈夫なの?」
あさ 「あと3000くらい残ってるからなんとか。それより、かなでさんとセットできなくなってしまった・・・」
私 「じゃこの諭吉は今度でいいですよ。セット楽しんできてくださいよ」
あさ 「いや、そういうわけには。やはりセットは断ります」
私 「じゃ遠慮なく」
かなでちゃん、彼の命はここで尽きました。
あさ 「はあ、実は明後日(19日)にも遊図勤務があるんですよね・・・命がけになるな・・・」
点五の雀荘で命がけで打つ四十代男性。ジャンルとしてはかなりニッチだが一部にはかなり受けると思う。
あさ 「思うんですけど、四麻とか東天紅みたいな技術介入度があるゲームよりも、すごろくみたいな完全な運ゲーのほうが勝率が低いんですよね。もしかして、ボクみたいな貧乏な人間には運すらも味方しないんじゃないですかね」
あさちゃんにしては面白い着眼点だ。彼は麻雀で実力が足りない部分はあるものの、負ける原因はいつも運だ。圧倒的に運が足りない。しかし運が悪いというだけでは確かに説明できないくらい負け続けている。
私には原因が明確にわかっているので、彼に教えて差し上げた。
私 「うーん、人間力じゃね?」
あさ 「・・・・・・」
人間力を高めるには徳を積むという行為が欠かせない。
彼が常に謙虚な性格になり、まわりの人間に感謝し、器の大きい人間になれば、すごろく程度なら自然に勝てるようになるだろう。そうなる日がくるまで何年かかるかわからないが・・・。
*
その後、牛カツの店へ行って今後の活動について話し合った。
いつも以上にカネナイ状態だったのと、「今日はなにも口にしていません」とモンスター片手に嘆く姿が可哀想だったので、ここは奢ってあげることにした。
私の背中を見て徳を積むとはどういうことなのか、言葉でなく自発的に理解してほしいからだ。
かも 「ぼくはリブロースの牛カツ(1600円)が食べたいです」
私 「ちゃす。同じやつにしようかな」
あさ 「ほ、ほんとに奢ってくれるんですか?」
私 「いいよ」
あさ 「なんでも?」
私 「いいよ」
あさ 「これでもいいんですか?!」
そういって私とかもしん氏の倍近いメニューを指差す。
私 「いいよ」
あさ 「それじゃ、これをお願いします」
世間には奢ってくれる人の注文より高いものは頼まないだとか、遠慮して普通のものを頼むという風潮があるが、私はそれらには同意できない。メニューを見てウダウダ言うのなら最初から奢るなどと言わないべきである。
そして奢られる側は、こういうときにマックスバリューを取ることこそ大事なのだ。
その後、私とかもしん氏が290円の生ビールを呑んでいたのを見て、あさちゃんは「僕もビール飲みたいな」と漏らす。こういうときはバリュー取られ放題になることで質の良い徳を積めるので、もちろんOKだ。
当然のように一番高い750円の瓶ビールを注文するあさちゃん。
あさ 「ところで、これからどんな配信すればいいですかね?まだ誰もやったことなくて面白いものをやりたいです」
私 「やる気あるんですね。いくつかアイデアはあるけど、本当にやる気次第ですねぇ」
あさ 「うーん、やっぱり命を賭けるしかないのか・・・」
すごいことを言い出す男だ。確かに命を賭ければウケるかもしれないが、収益化する前に人生がチャオってしまう。
私 「とりあえず、アンケートで挙がった料理は片っ端から配信していきましょうよ。死ぬことはたぶんないし、とにかく続けることと、配信頻度を上げることが重要です」
あさ 「ハイ」
私 「いくつか提案があります。天鳳個室で、リアルタイムで視聴者に覗いてもらう。その苦行の中で打つというのはどうですか?1~3位はなにもなし、ラスったら罰ゲーム。」
あさ 「つまり僕だけ手牌公開ってコト?それじゃ勝てませんよw」
私 「ポーカーと違って麻雀は勝てることが多々あるから、そこをなんとか勝てばあさじんさんの評価もあがるし盛り上がりますよ」
あさ 「なるほど。罰ゲームって何すればいいですか?」
私 「生のジョロキアを食うとか」
あさ 「ん???」
あさ 「い、いや、さすがにそれは・・・」
私 「さっき命賭けるって言うたやん。これ食べても死なへんで」
あさ 「・・・・・・」
私 「返事は?」
あさ 「・・・ハイ」
マニュアルはこれだけだ。良い企画とはシンプルでなければならない。
「命賭けるしかないか」とまで言ったのだ。食べても死なないジョロキアチャレンジくらい屁でもないだろう。
彼のやる気があるならば、この素晴らしい企画が今年中には配信されるに違いない。