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清潔のマイルール 清潔と清潔感と海原雄山と
私は清潔に対して無頓着な人間である。
手を洗う、歯を磨くなどの基本的なことはもちろん行うが、未だかつて「清潔がんばるぞ!」と意気込んだことはない。
しかし、そんな私でも新型コロナウイルスの流行をきっかけに“清潔”さらには“清潔感”について、改めて考える機会があった。
「この人"ゆぐらー"みたいで好かん。」
数年前、当時60代半ばだった母親があるテレビ番組を視ていた際に突然発した言葉だ。
それに対する私の反応は「ゆぐらーってなに???」である。
そこで私は“ゆぐらー”の意味・定義について、母親へ質問攻めしてみることにした。
時間にしてかれこれ30分ほどだっただろうか。
面倒くさそうな表情を隠しもしない母親から色々聞き出してみて、わかったことは3つ。
「ゆぐらー」とは沖縄の方言である
意味は、あまりきれいに見えない人のこと
おそらく(「ゆぐる」=汚れる)+(「らー」=~な人)→ゆぐらーという文法
張り切ってあれこれ質問してはみたものの、やまとぅぐち(標準語)でニュアンスに至るまでぴったり一致する言葉をなかなか探り当てられない。
私は生粋の沖縄生まれ沖縄育ちだが、私の親世代と私の世代ではうちなーぐちの浸透度がまるで違う。
方言札経験者と会話したこともあるうちなーぐちネイティブの親世代と私のような“なんちゃってうちなーぐち”世代の言葉の隔たりは大きい。
ゆぐらーという言葉の核を掴みきれないまま、親子の会話は進んでいく。
そして、ここでまた新たな疑問が浮かぶ。それは母親がゆぐらーと評した“この人”について。
“この人”とは誰なのか?
視線の先をたどってみると、TVにはある俳優さんが映っていた。
それもゆぐらーとは正反対のイメージであろう、二枚目路線の俳優さんだ。
その俳優さんの名誉のために言っておくが、髪型・身だしなみ・顔色などなど…どこを切り取っても、どうにかこうにか掴み取った“ゆぐらー”とは程遠い。
一体、その俳優さんのどの要素が“ゆぐらー”たらしめているのか?
当時の私にはまったく理解ができなかった。
そのことを母親にぶつけてみると「それはわかったうえで」のことだそうだ。
そりゃあタレントさんなんだから、毎日お風呂にも入っているだろうし朝起きたら顔も洗うし歯も磨くだろうし衣装もクリーニング済みであろうことは重々承知している。
でも、それでも。
“ゆぐらー”という印象を、母はどうしてもぬぐえない。
そこでこの話は一旦ピリオドが打たれ、私の頭の片隅には理解の範疇を超えた「ゆぐらーとは何ぞや???」という疑問だけが残された。
時を経て2023年
世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るい、私も含めて多くの人が「清潔」であることを義務付けられる生活が訪れた。
2023年に入り意識は少しずつ変わりつつあるものの、今でも手洗い・マスク着用・アルコール消毒など必須の場面が多い。
ビフォーコロナのころよりも1ランク上の“清潔”を確実に求められ続けている。
当然、清潔感がある人も増えている印象だ。
そこで再び、あの疑問がよみがえった。
「ゆぐらーとは何ぞや???」
数年前、還暦をすぎた母親にあれこれ質問攻めしどうにかつかんだニュアンスは「清潔感がない」というのが1番近いとのこと。
清潔でない、とは違う。清潔“感”がないのだ。
ここで新たな疑問が登場する。「清潔感ってなんだ?清潔とはなにが違うんだ?」
コロナ禍で復活したゆぐらー、清潔、清潔感という疑問。
せっかくなので、Webライターっぽいアプローチをしてみよう。
まず清潔について
これは辞書でひいた意味そのままだ。
1 汚れがないこと。衛生的であること。また、そのさま。「からだを―に保つ」「―な下着」⇔不潔。
2 人柄や行いが清らかで、うそやごまかしなどがないこと。また、そのさま。
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E6%B8%85%E6%BD%94/
とても明確でわかりやすい。
清潔感について
清潔感については少々やっかいだ。
"感"の部分が明確だったはずの清潔を抽象的にしている。
そこで、無料でサジェストキーワードを抽出できるありがたいサイトで「清潔感」に続いてよく検索されている言葉をリストアップしてみた。
以下がサジェストの大雑把な結果である。
1.清潔感という言葉を理解したい欲求
→意味・定義・解説・統計に関するサイト、ページ
例:
「清潔感 とは」
「清潔感 英語」
「清潔感 なぜ」
2.清潔感を実践したい欲求
→方法・具体的事例・実践する際に便利なグッズの紹介に関するサイト、ページ
例:
「清潔感のある髪型」
「清潔感 出し方」
「清潔感 ファッション」
3.清潔感という言葉に対するネガティブな印象
例:
「清潔感 うざい」
「清潔感 くだらない」
4.その他
例:
「清潔感 webデザイン」
「清潔感 素材」
ついでに検索順位10位にランクインしているページの記載内容
ここで世間様が清潔感に対してどのような情報を求めているのか、もう少し深く見てみよう。
「清潔感」で検索したときに上位10サイトに記載されている内容をおおまかにまとめてみた。
清潔感とは、意味・定義
清潔感=万人受けする好感度の総合評価
肌、臭い、体型、髪の毛、服装、持ち物、行動といった項目ごとに減点方式のチェックポイントがある
生活の摂生の度合い、健康を気づかっているかどうか、生活する上で最低限のマナー
清潔感に対するよくある誤解
清潔=清潔感がある、ということにはならない。その人の内面的なものも決定要素
自分ではある/なしを判断できないこともある
好感がもてる雰囲気のことであり、清潔なだけではNG
顔の良し悪しとは違う
清潔感がある人の特徴
印象:不快感がない、さわやか
身だしなみ:整っている、しわのない服、よごれがなく清潔
コーディネート:シンプル、主張が激しくない、ワンポイントのおしゃれ、さわやかな色合い
バッグ:整理整頓されている
髪:整っている、似合っている、頭皮のケア、手間を惜しんでいない、ぼさぼさではない、寝ぐせがない
肌:透明感がある、荒れていない、美肌、ツヤ・ハリがある、血色がよい
口:歯並びがいい、歯が白い、口臭がない
手・爪:手入れされている、手荒れしていない
靴:きれい、汚れていない
におい:体臭が気にならない、自然ないい香り、香水・柔軟剤の自然な香り、人工的な香水感がない
体形:スリム、健康的、細身、ちょうどよく引き締まっている、自己管理ができていることが見た目にもわかる
食事:食事マナーが正しい、不快感がない
話し方:音量がちょうどよい、あいさつがしっかりしている
その他:美しい姿勢、全身のシルエットがきれい
意識・マインド:どのように見られているか意識している、だらしない人に見られないようにしている
清潔感を出すための取り組み・清潔感を出す方法
スキンケア:洗顔、保湿、紫外線対策をできるだけ短時間で、朝晩のスキンケア
ヘアケア:外出時は髪を整える、美容院でのケア
デンタルケア:歯のメンテナンス、唇の保湿
脱毛
爪ケア:短く切りそろえられている、手荒れしていない
自分の体のメンテナンス:健康的な生活、生活習慣を見直す、暴飲暴食をやめる
身だしなみ:コーディネート、鏡を常備する、靴を磨く、服のしわや汚れをチェックする、服にしっかりアイロンがけする、コーディネートのローテーションをつくる、さわやかな色合い、無地、柄ものではない
かばんの中身:詰め込まれていない、ごちゃごちゃしていない
姿勢を正す
ポジティブな気持ち
においに気をつける
話し方:ハキハキとした感じのよい話し方、年齢相応の毅然とした話し方
食事:箸の持ち方・使い方が正しい、食器の音を立てない、食べ残しがない、咀嚼音が気にならない、偏った食生活をしない
禁煙
男性
ヘアスタイルはできれば短め
ムダ毛を処理する
毎日ヒゲを処理する、剃り残しがない、生えていてもいいが整える
ジャケットシャツ
女性
万人受けのいいナチュラルメイク
ハンカチ・ティッシュ常備
根元のリタッチ・毛先のケアが行き届いている
清潔感キープグッズ
ハンカチ
ティッシュ
制汗剤、香水
ブレスケア用品、歯みがきセット
防水スプレー
清潔感の範囲が広すぎる問題
“清潔感”について世の中から求められている情報をざっと見てみると、もはや衛生的かどうかに留まらない。
ライフスタイルや趣味嗜好の範囲におよぶ項目まであり、その範囲は果てしなく広い。
例えば、主張が激しい柄物ではないコーディネート、正しい姿勢、ハキハキした喋り方。
おそらく母親があの俳優を“ゆぐらー”と判断した要素もこの辺りにありそうだ。
喋り方があまり好きではない、といったような個人的な好みで清潔感の有無は可変する。
ズボラな私には清潔感で100点を出すのは無理
自分自身のことを省みると、寝ぐせがない髪型の時点でおそらく私は清潔感ランキングから脱落する。
正直、寝ぐせを直す暇があるなら寝たい。
パーマに紛れ込ませてぼさぼさに見えないゆるふわ感でどうにかまとめるので多少お目こぼしいただけると大変助かる。
肌荒れも清潔感にかかわってくるのであれば、私は十分な睡眠時間をとって肌のコンディションを整えるほうを優先させていただく。
かばんの中身?もちろんぎゅうぎゅうだ。
仕事中に飲みたいおいしいコーヒーと水分補給用の飲み物と財布とすき間時間に読みたい本のどれ一つとっても欠かせない。
法に触れることは絶対にしないと約束するからそこは多めに見てくれ。
常にポジティブな気持ちを求められるとなると、もう無理。
人生苦も楽もあるって黄門様だってオープニングテーマで歌っているのだ。
(正確にいうと歌っているのは助さん格さん)
グラデーションのある喜怒哀楽こそ人間らしさだと思うのだが、たまに落ち込む程度は許してもらえまいか。
もし、清潔感で満点を取るならば…
朝晩の洗顔・保湿・紫外線対策をできるだけ短時間で効率よく、外出時は髪を整え、万人ウケするナチュラルメイクで、リタッチカラー・毛先のケアなど美容院でのケアと歯科クリニックでの歯のメンテナンスを定期的に行い、唇もしっかり保湿、脱毛は完璧、爪は短く切りそろえ、手荒れはNG、生活習慣を見直し、睡眠を十分確保、暴飲暴食・偏った食生活をやめ、適度な運動で引き締まった筋肉をキープ、コーディネートはシンプルきれいめさわやかな色合いの無地がベストで柄ものは避け、ハンカチ・ティッシュ・鏡を常備、靴を磨き、服のしわや汚れは一切ないようにしっかりアイロンがけ、かばんの中身は詰め込まない・ごちゃごちゃせず、自然なよい香り、姿勢を正し、常にポジティブな気持ちで、感じよく年齢相応の毅然とした話し方で食事マナーも完璧、箸の持ち方・使い方は正しく、食器の音を立てず、食べ残しせず、咀嚼音も気にならない、たばこはもちろん吸わない。
…という完璧超人を目指さなければならない。
そうなってしまったが最後、清潔感に殺されてしまいかねない。
清潔感に追い立てられる毎日だなんて、そんなの無理無理。
清潔、清潔感への向き合い方
とまあ、ここまで屁理屈をこねたところで、これまで意識したことがなかった"清潔"、“清潔感”に対する向き合い方が見えてきた。
先ほど列挙した清潔感のポイント・清潔感を出す方法の中には「まぁ、それはやっといたほうがいいよね」というものもある。
例えば清潔の範囲である洗顔・デンタルケアなどは流石に論外として、健康的な食生活は私もぜひ意識していきたい。
十分な栄養をとれば風邪など菌・ウイルス等が原因の病気になりにくくなるのは事実だ。
それはある意味で、菌に対する耐性を高める体づくり、広義の清潔・抗菌といえるのかもしれない。
それから、十分な睡眠をとること。
私はロングスリーパーである。8時間しっかり寝て自然に目が覚めたときの爽快感は何にも代えがたい。
もしかしたら、この爽快感のために生きている気すらしている。
爽やかさが清潔感の源、要素だとするならば、そのときの私は人生で清潔感の瞬間最大風速を出せているはずだ。
結論、自分のペースで取り組めるものから取り組んでいくのが精神衛生上、もっとも健全だ。
まずは総合で60~70点台を目指したい
ここまで散々清潔感に対して嫌ごととも思えることを取り留めもなく書いてきたが、こんな私でもさすがに総合で60〜70点くらいの清潔感はほしい。
そこで、簡単に始められる取り組みとしてまずは姿勢を正してみた。
反り腰気味の骨盤をまっすぐ立て、猫背を正し胸を張る。
心なしかいつもよりも視界が広くなった気がして気持ちがよい。
なんとなく喉も開いて声も出しやすく深い呼吸ができている気がする。
普段は使っていないインナーマッスルを動かせている感覚があるので、このままの状態を続けていれば年末年始の暴飲暴食で“アレ”なことになってしまっているウエスト減も夢ではない。ヒャッホウ。
次の野望としては、食事の際に箸先をできるだけ汚さずに食べること。
昔『美味しんぼ』で紹介されていた「箸先が汚れない人ほど食事マナーがよい」という海原雄山氏の教えを実践してみようと画策中だ。
箸を汚さないという意味では衛生的だし。周囲に色々飛び散らないので食卓もきれいだし。
そう考えると、清潔と清潔感は異なるもののでありながら、やはり相関性もあるのだろう。
しかし、『美味しんぼ」によると最高峰の食事マナー上級者だと汚していいのは箸先1cmまでらしいので、なかなかレベルが高すぎる。
やっぱりまずは5cmから、ゆるーく始めたい。
※サムネは箸先を1cm以上汚さずに食べたい湯気が立ち昇るお上品な鯛釜めし