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◆奥州平泉を観るんじゃい!②/ミドル夫婦の新幹線de岩手県
そうだ!新幹線乗ろう!
的な勢いで決まった北海道から岩手までの新幹線小旅行。
見るもの全てが新鮮な今回の旅は、序盤であっという間に1万文字を超えてしまったので、やむなくまた分けてお届けすることにした。
そんなわけで、旅の序盤はコチラから!⬇️⬇️⬇️
今回の旅行からは目次を挟むことにしたので、ご興味おありのところだけでも読めるようになっています!
どうか最後までお付き合い頂けますと幸い。
それでは、新幹線de岩手旅②、行ってみよー!
1.日本三大渓流・猊鼻渓で舟下り
毛越寺をたっぷり堪能したわたしたちは、猊鼻渓行きのバスに乗り込むため、少し早めに駅前に戻って待機することに決めた。
バス停まで辿り着いてみると、まだ出発時刻まで30分ほどあるせいか、バスの姿は見当たらず、駅前も閑散としている。
黙って待っているのも時間が勿体なかったので、出来うる限りの範囲で周辺を散策してみることにした。
平泉の駅周辺は、前章でも少し触れたが非常に歴史情緒あふれる町並みで、少し路地を折れ曲がってもまだまだ味わい深い景観が続く。
まぁ、世界遺産候補ともなれば、京都と同じく景観保全のための条例や何かがあったって不思議じゃないよねぇ、などと話しながら、レトロで美しい街をキョロキョロして歩いた。
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何の気なしに、あれは何のお店、これは何のお店などと確認していると、明らかに和菓子屋と思しきお店が目に飛び込んでくる。
何とも味わいある看板の屋号は「こがねや」さん。
初めて内地で目にする老舗の和菓子屋さんにテンションをぶち上げながら恐る恐るお邪魔すると、そこにはやっぱりどら焼き様が鎮座されていたのだった。
やったー!!内地で初のどら焼き直ゲットだー!!
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ちなみにこがねやさんのどら焼きは駅売りなども一切おこなっていないそうで、まさに「ここにしかない」レアどら焼きなのであった。
詳細は『どら焼き備忘録 79個目』に記してありますので、よろしければ併せてご覧ください!⬇️⬇️
そうこうしているうちに発車時刻の11時になり、わたしたちは同じく猊鼻渓を目指すという二人連れのマダムたちと共に、びっくりするほど小さなマイクロバスに乗り込んだ。
ちなみに前章でも触れたが、平泉から猊鼻渓行きのバスは1日3本しか出ていない。
一関からの本数が少なくてびっくりしたために、平泉からならもっと便数があるのではないかと踏んでここまで出てきたのだが、単純な本数だけで言うなら一関の方がまだマシだ。
平泉にそれほど用事がない方は、一関から猊鼻渓に行かれる方が何かと都合が良いかも知れないので、ご参考までに記しておきますね。
さて、いかに平日とは言え、日本を代表する観光名所行きとしては些か寂しすぎる哀愁を帯びたマイクロバスは、秋晴れの農村地帯をトコトコと進んでゆく。
内地の人からすると、それは一見何のことはない田舎の風景なのかも知れないが、開拓100年ちょいという名目になっている北海道の民がこうして知らない土地の田舎を訪れてみると、わたしたちの故郷には改めて歴史ある里山というものがないのだな…という事実に気づかされ、すっかり圧倒されてしまった。
何しろ北海道の殆どがまだ動物たちの楽園であった頃から、ここいらには既に確固たる社会が形成されていたのかと思うと、不思議な感動が込み上げてくる。
地元ではまずお目にかかることのない棚田や竹林にいちいちはしゃぎながら、わたしたちはバスからの風景に目を凝らすのだった。
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平泉から猊鼻渓までは、バスで約25分。
結構な山道を上り下りしつつ進み、いくつかの町や工場らしきものを通り過ぎてゆくと、やがて山あいの小さな集落に突き当たる。
バスの便数の少なさや、平泉駅前の閑散とした雰囲気から、やはり平日は観光客も少ないのだろうと予想していたのだが、いざ到着してみると猊鼻渓は驚くほどの賑わいであった。
…というか、ある程度混み合っていて本当に良かった!
このままでは交通機関も廃線になりそうなんだもの!
(とは言え、おそらく猊鼻渓はレンタカー利用の人が一番多そうに感じた)
まずは受付を済ませるべく売店の行列に並び、ついでに舟の上からばら撒くための魚のエサ50円×2と「舟の上で食べてもいいですよ」という触れ込みで販売されている「あげもち300円」を購入し、12時に川下りに出発する予定の舟に乗り込む。
ここでちょっと気をつけなければならないのが、舟下りの出発時刻だ。
普通、我々日本人は「〇〇という乗り物は〇〇時に出発します」という説明を聞くと、乗客が居ようが居まいがその乗り物は決まった時間に出発するものだと思っているのではないかと思うのだが、猊鼻渓の舟は同時間帯に何艘か用意されているせいか、それぞれの舟がいっぱいになったらアバウトに出発する、というスタイルだ。
事実、わたしたちが乗った「基本的には12時出発予定」の舟も、乗客がいっぱいになったから、という理由で20分も早い11時40分に出発した。
その方が旅程的に余裕を持って楽しめるので有難かったが、逆に言うと予定時刻ギリギリに行くのは危ういのかも知れない。下手するとその舟が満杯になるまで待つ可能性もあるのではないだろうか。
ともあれ、猊鼻渓は少し余裕を持って舟に乗り込むのをオススメしておきたいと思う。
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いざ、ゆるりと漕ぎ出した舟は、何とものんびりとした速度で進みだした。
よく晴れた爽やかな秋風が吹く岩手の空の下、船頭さんのよく通る声が木々の隙間を縫ってゆく。
何でも、行きも帰りも竿一本の手漕ぎで舟下り観光ができるのは、日本でも猊鼻渓だけらしく、そのくだりを話されているときの船頭さんのちょっと誇らしげな表情が印象的だった。
ところで、帰宅してから聞いて少しばかりショックだったのだが、この猊鼻渓は、わたしの15個下くらいの世代の北海道道南地域では、中学校の修学旅行先の定番だったらしい。
わたしが初めて訪れて感動した話をすると、年下の同僚に事も無げに「あぁ、僕もここ、修学旅行で行きましたよ」と言われてガーン!となってしまった。
…そうかぁ。世代が変われば修学旅行先も変わるもんなあ。
自分が見つけた美味しいレストランの話をしたら、既にほかの人が行っていたときのあの気持ちに似ている。
しかも修学旅行で!!うらやましい!!
しかしまぁ、そんな話は抜きにしても猊鼻渓は確かに絶景なのであった。
参考先によっては違ってくる場合もあるようだが、猊鼻渓は過去に日本三大渓谷に選ばれたこともあるそうで、水の透明度が高く、四季折々で様々な表情が楽しめる。
いたるところでむき出しになっている地層は、何でも3億6千年前のものらしく、そんな太古の昔の地球のパーツがいまわたしたちの目の前で露わになっていると思うと、ここへ至るまでの里山とはまた違ったロマンを感じてしまった。
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舟が動きだすと、船頭さんのガイドでおもしろ小話や絶景の説明を聞くことができる。
とにかく澄んだ空気の中で、観光客たちは景色を楽しんだり、魚(のエサを横取りする鳥)に餌をやったり、互いにウフフと顔を見合わせたりと、思い思いに舟下りを堪能している様子だった。
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舟下りというくらいなので、とにかく「ありのままの自然をお舟で楽しもう」というのが主目的なのだが、修学旅行生などがここを訪れたとて、果たしてただ自然の風景を愛でるだけ…というこの観光地を楽しめるものなのだろうか?などと余計な心配をしていたところ、舟は毘沙門堂というお堂の前に差し掛かった。
舟からお堂は結構離れているが、そこに見えているお賽銭箱にお賽銭を投げ込んで、見事にインすると「何とも言えない良い音」がする、と船頭さんが説明する。あと何だっけ。幸運が訪れるとか何とかも言ってたんだっけ?
そのせいかどうかは解らないが、とにかく説明を受けた我々は一斉にお財布を取り出し、毘沙門堂のお賽銭箱に向かって一心不乱に小銭を投げ込み始めた。人の煩悩が渦巻く、鬼気迫る戦いである。
結局、見事お賽銭をインさせたのは、わたしたちの斜め前方に座っていたカップルの彼氏の方だけだったが、お賽銭箱からは「チリーン」という澄んだ音が聞こえてきて、舟上はワァッ!という歓声に包まれて盛り上がりを見せた。
なるほど、ちゃーんと観光客が退屈しないようなアトラクションがそこかしこに準備されているのである。
舟は更にどんどん進んでゆき、途中には様々な奇岩があった。
都度都度に船頭さんが岩に付けられた名前の由来を説明してくださるのだが、それは共感できるものと「はて…?」となるものが大体半分くらいの割合だっただろうか。
途中の木には、これまた生まれて初めて目にする大きな川鵜が留まっており、何故だか大きく羽を広げてポーズをとっていた。
単に偶然こんな姿をしていただけだろうと思われる方々も居られるかも知れないが、この川鵜は船頭さんが「あそこに川鵜が居ます」と指し示した瞬間に大きく羽を広げ、わぁっと盛り上がった観光客たちが喜んでスマホを構えてパシャパシャと画像にその姿を収めるまでずーっと同じ格好をしていたので、多分プロ川鵜なのだと思われる。(名推理)
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しかし、今改めて当時の画像をチェックしながらこれを書いているのだが、つくづく猊鼻渓は写真で見るよりも直接訪れた方がいいタイプの名所だと思われる。渓谷の景観があまりに美しいため、その美しさをカメラに収めきることができないのだ。
猊鼻渓では四季折々で様々なイベントを用意しているそうで、冬にも屋根をつけた屋形船にこたつを設置して鍋をつつく『こたつ舟』の運行があるらしい。これにはわたしたちも思わず「行きてー!!」となってしまった。
ご興味を持たれた方がいらしたら、ぜひ挑戦してみて欲しい。
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手漕ぎの舟がどんどん上流へ進んでゆくと、やがてそれ以上は進むことができない断崖絶壁の行き止まりにたどり着く。
そこにはちょっとした川原(って言うの?)があり、20分ほど散策の時間が用意されていた。
さっそくわらわらと上陸し、この些か現実離れした風景の中を歩いてみることにする。
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ちなみに、上記の画像の橋を渡った奥にはテントが用意されており、中では『運玉』が販売されている。
『運玉』とは、丸い人工の石に「運」とか「愛」とか「財」とか、とにかく縁起のいい漢字を一文字だけ掘ったやつで、3個100円で販売されている。
3個の組み合わせは、どれでも好きなものを選んでよいのだが、とにかくこいつを奥の絶壁に開いている自然の穴に向かって放り投げ、見事INすると願いが叶うという胡散臭い楽しいアトラクションだ。
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もともと、こういうのには冷笑を禁じ得ない夫も、とりあえず話の種にと3個購入した。どれを選んだかは教えてくれなかった。
わたしも上記の3つを購入し、いざ投玉!!
…残念ながら、どれひとつとして命中させることはできなかった上に「絆」の石だけが真っ二つになったのには草しか生えなかったが、観光地の工夫を大いに感じさせる楽しい試みなのであった。
余談だが、一緒に舟に乗った中でこの運玉を成功させたのは、何と前述した毘沙門堂でもお賽銭を見事お賽銭箱にインさせた、わたしたちの斜め向かいに座っていたカップルの彼氏さんである。
ツキってあるんだなあ。
そうじゃなかったら、元・甲子園球児か何かなのに違いない。
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前述したように散策の時間は20分ほどとられているが、船頭さんがガイドにつくというようなこともなく、自由にぶらぶらと歩きまわることができる。特に20分という時間のお知らせもないので、観光客たちは気が済んだら舟に戻るという感じだった。
しかし、これがちょっとした問題点で、船頭さんもアバウトに人数は数えているものの、身元確認があるわけではないので「誰か微妙によくわかんないけど、とにかく何人か足りない」という事態が発生することがあるようだ。わたしたちが行った時にも、まさにこの状況が発生し、何人かのアジア系外国人の方がなかなか戻ってこない。
結局、10分近く過ぎた頃にやっとその3人連れ外国人観光客の方々は戻ってきたが、特に悪びれる様子でもなかったところを見ると、上手いこと言葉が通じていなかったか、そもそも時刻きっかりに行動するという文化を持ち合わせていない人たちだったのかも知れない。ご注意されたし。
帰り道は、順光だったせいか行きよりも景色が綺麗に見えるような気がした。
岸から離れてしばらくは、大量の鯉がまるで舟をエスコートするように周囲を悠々と泳いでおり、気分はまさに桃源郷。
帰りは流れに沿って舟を操るだけなので、船頭さんも余裕が出てくるのか、ここでお話が終わったあとは『猊鼻追分』という民謡を歌ってくださるサービスタイムがあった。
これがもう最高!!
何とも言えない東北弁まじりの美声が美しい風景の合間を流れてゆく贅沢な時間は、他では味わえない至福なのでした!
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船頭さんありがとうございました!
余談になるが、猊鼻渓では前述した『こたつ舟』のほか、舟上結婚式(!)や、舟上クラシックコンサート( !! )がおこなわれることもあるらしい。
一体どういう景観になるのか想像もつかないアグレッシブな企画だが、それはまさに「ここにしかない」体験になるに違いない。機会があれば本当にぜひ一度参加してみたいものである。
舟を無事に降りたあとは、バスまでの残り時間を売店めぐりと周辺散策に費やした。
猊鼻渓周辺には小さな売店や食堂、和紙を作る工房なども立ち並んでいたが、半分くらいがお休みとなっており、見られる場所はそれほど多くなかった。
夫はとりあえず、舟下りのチケットを購入した売店で乗る前から目をつけていた『鮎の塩焼き¥500』を購入する。
鮎は、北海道では珍しい魚で、近年は道南地域を中心に生息域を広げているとは聞くものの、夫は見るのも食べるのも初めての魚だったそうだ。
わたしもひと口齧らせてもらったが、独特な香りを持つ皮は香ばしく、身はふんわりと焼けていて、なかなかに美味しかった。
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平泉まで戻るバスの出発時刻は14時。
都合1時間以上も残り時間があったので、どこかでお昼ご飯でも食べようかと探してみたが、この日は月曜だったせいか、半ば公共機関のような匂いを感じさせる食堂はどこもお休みだった。
仕方なく食べられそうなものを探してうろちょろしていると、ちょうど和紙を作っている工房に「お団子」の幟を発見し、迷わず飛び込む。
しかし、お団子目当てに飛び込んだこの【東山和紙】は、あとで調べてわかったことだが、何と800年( !! )もの歴史を持つのだそうだ。
このお店は観光客向けに紙漉き体験ができる別部門だったようだが、こちらの紙漉き職人さんの和紙は中尊寺で使用されているものだそうで、もっと時間をかけて見れば良かった…!何か買えば良かった…!と激しく後悔した。
とは言え、そんな激スゴ情報など知らなくても、こちらの【東山和紙・紙漉き館】さんは、大変興味深い場所だったと言える。
店内では様々な和紙グッズが購入できるほか、もちろん紙漉き体験もできる。わたしたちが訪れた時は、ちょうど修学旅行生が列をなしていたため諦めたのだが、子どもたちが時に真剣に、時にキャッキャと作業に没頭している様子を見ていると、大人でも充分に貴重な体験ができそうな場所なのであった。
ちなみに、幟が出ていたお団子は店先で販売している。
注文すると、素敵なご婦人が応対して下さり、ほうじ茶の無料サービスと共にお団子を提供してくださった。
これがもう、素朴の最上位とも言うべき絶品!
もっちり柔らかいおもちに、手作りの甘辛味噌ダレが塗られていて、それを火鉢のようなものでじっくり炙ったものが出てくる。
表面の焦げ目も香ばしいその味は、遠い昔に祖母の家で食べた味噌の香りを思い出す懐かしい美味しさに満ちていた。
こうして猊鼻渓を余すところなく堪能したわたしたちは14時発の平泉行きのバスに乗り、いよいよ今回の目玉となる次の目的地・中尊寺へと足を向けたのだった。
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2.一関名物・餅御前で腹ごしらえ
猊鼻渓から平泉行きのバスには、わたしたちしか乗っていなかった。
北海道にいると、自家用車での移動がメインになって、公共交通機関のお世話になることはまず殆どないのだが「運転手さんと自分たちしかいないバス」というものが、あんなにも哀愁漂うものだとは知らなかった。
乗った段階ではまっすぐに平泉駅前まで戻るつもりだったが、朝起きてから鮎の塩焼きとお団子しか食べていなかったことに思い至り、突発的に平泉の道の駅で途中下車を決める。
親切そうな運転手さんに「えぇええ!?ここで降りるの?歩くと駅まで結構遠いよ!?」と驚かれたが、内地の道の駅は一度も見たことがなかったので、浮かれ気分でそのままバスを降りた。
実を言うと、あんなに張り切って降りたのに、平泉の道の駅の画像は一枚も残っていない。
もしかすると「きっとあるだろう」と考えていた『一関・餅御前』が道の駅のレストランメニューになかったため、がっかりしすぎて撮るのを忘れてしまったのかも知れない。
確か「金粉入りソフトクリーム」とか「どぶろく入りソフトクリーム」とか、やたらと攻めたソフトクリームのラインナップだったような記憶があるが、それらも食べていないことを思うと、昼ご飯前にデザートの類はおなかに入れたくなかったのであろう。
何しろめちゃくちゃオシャレな外観の広い道の駅で、様々な地場産品の中からどら焼きばかりをゲットして歩いた記憶しか残っていない。
画像も、道の駅からJRの駅に行くまでの途中で見つけたイイ感じの路地のものがひとつ残っているきりである。
まったくもって空腹状態の己の役に立たなさと来たら酷いものだな…と改めて情けなくなってしまった。
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ここで、当時のメモを見てみよう。
・おなかすいたから平泉の道の駅でおりる
・運転手さんに「えええ?結構駅まで遠いよ?大丈夫?」と言われる
・だっておなかすいたもん!
・道の駅きれい
・金粉ソフトとどぶろくソフト発見。でもごはん先に食べたい
・どら焼きゲット!歩いて平泉の駅まで戻る
・てか昼飯食べれてない
・Google検索であいてそうで一関名物餅御膳が食べられそうなところを探す
これだけのメモの中に4回も己の空腹について語っている箇所がある。
つまり、やはりそういうことなのであろう。
この時のGoogle検索では、一関名物・餅御前を提供している【夢乃風】さんというお店を発見した。
道の駅からJRの平泉駅まで15分ほど歩いて戻り、更にそこから【夢乃風】さんまでは、歩いて15分。
ランチタイムギリギリで滑り込むと、笑顔が素敵なスタッフさんが嫌な顔ひとつせずに出迎えてくれた。
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今回、旅行に来る前に下調べして初めて知ったことなのだが、一関は「もちの食べ方の種類が全国一多い」と言われる餅どころで、古くは江戸時代の伊達藩統治の時代からもち文化に親しんでおり、「もち暦」というこの地方に伝わる暦によると、年間60日以上( !! )もの『もちをつく日』があったのだそうだ。
何でも、えらい人は白いもち米の餅を食べられたが、庶民は雑穀を混ぜたもちがメインだったため、美味しく食べようと試行錯誤して工夫しているうちに、餅の種類がどんどん増えていったのだとか。
つまり『餅御前』は一関の歴史を体現した郷土料理というわけなのである。
一関の名物が餅であることを知ったとき、結婚当初「一番好きな料理はなあに?」と尋ねた際に「1位が納豆、2位が餅」と答えていた夫は小躍りせんばかりに喜んだ。なので、盛岡冷麺や前沢牛も食べて帰りたい我々としては、何としても早めに餅御前も押さえておく必要があったのである。
メニュー表には、確かに様々な餅メニューが掲載されていた。
人気の味が楽しめる6種類入りの『藤原三代お餅膳』という名前もイカすセットメニューもあったが、わたしたちは自分の好きな味のものが食べたかったので、3種類が組み合わせ自由の『ハーフセット¥660』を2セットずつ注文した。
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こちらでお茶の無料サービスを頂いて気づいたことだが、岩手ではあちこちで「お茶の無料サービス」があった。北海道ではあまり経験のないことである。
この一点だけ見ても岩手県の懐の深さというか、性根の優しさみたいなものがひしひしと伝わってくるような気がして、夫と2人でほっこりしてしまった。
で、餅御前である。
上の画像の左上から「生姜」「くるみ」「えごま」「納豆」、その間に箸休めの大根おろしを挟んで「きなこ」、そして左下に箸休めのたくあん、「お雑煮」の順である。
まずは、お雑煮から行ってみた。
…うーん!!餅がマジでうまい!!のは大前提として、とにかくおだしがめちゃくちゃイイ。じんわりと優しいだし汁だ。
生姜は、しいたけベースのだし汁の中にすりおろし生姜が入っており、これがあんかけになっていて、何とも言えずトロリとうまい。
くるみは甘みが優しく香ばしさが際立ち、初めて餅と組み合わせて食べたけれど、びっくりするほどマッチしていた。
きなこや納豆も定番の美味しさ。
唯一、えごまだけが初めて口にする食材で、独特の風味が不思議だったが、あっという間にぺろりと食べきってしまった。
あと、特筆すべきは箸休めの大根おろし。こいつが、餅で粘るおくちの中をサラリと潤してくれて、最後までさっぱりと食べることができた。
やー。徹頭徹尾食べる人のことを考えて作られた素晴らしいお膳でした。
やっぱり知らない土地に来た時には、その土地の名物を食べるべきだな!としみじみ実感したお食事なのでありました。
3.はじめての国宝『中尊寺金色堂』とご対面
さて、しっかりと腹ごしらえも終えたわたしたちは、いよいよ国宝・中尊寺金色堂へ足を向けた。
【夢乃風】さんでマップを開くと、中尊寺は思いのほか近く、徒歩7分とある。
この旅では散々歩き回ったので「余裕でしょ!」と意気揚々と歩き始めたが、門のところに立った瞬間、わたしたちは同時に「ん?」と顔を見合わせてしまった。
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坂がやべえ。
いやあの、これはマジで警告しておきたい。
中尊寺金色堂を目指す人は、ヒールの高い靴は履いてちゃダメ。
この坂は「月見坂」と呼ばれる全長700mほどの坂道で、Googleには「高低差52m,平均斜度4.3度のかなり急坂」と書かれている。途中では、女性がお一人、足痛そうに腰を屈めていた。
わたしもスニーカーじゃなかったら、ちょっと登るのを躊躇ったであろうくらいの坂道なのだ。
しかし、それさえ除けば、ここは足を踏み入れるなり樹齢のヤバそうな杉の巨木が延々と続く壮観の道。こんな背の高い木が人の往来が激しい場所にズンドコ立ち並んでいる場所などそうそうない道民の我々は、ぜえぜえ息を切らせながらも手足を振り回してはしゃぎ倒しつつ進んでゆく。
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本堂に至るまでの道の途中には、いくつかのお堂が立ち並んでいた。
由来はよく見なかったので知る由もないが、かの武蔵坊弁慶を祀っているらしき『弁慶堂』なるお堂もあり、すぐそばには弁慶を象った顔はめパネルもあった。大喜びで弁慶になりきる夫を激写し、更に歩を進めてゆく。
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ところで、恥ずかしながら今回内地に足を運ぶまで、わたしは『〇〇寺』と名のつくお寺の中に、こんなにたくさんのお堂があるのだということを、よく知らなかった。
何しろわたしが住んでいる地域には、観光客が来るようなお寺は近隣に一軒もない。そして、北海道の田舎のお寺などは、当然のごとく開拓以後に作られたものばかりなので、敷地内にもせいぜい本堂と納骨堂…あとは何か催しをするためのお堂があるか、ないか。
よくよく思い起こすと、修学旅行で行った奈良や京都のお寺にも何だかたくさんの建物があったような気もするが、その頃は歴史にも宗教にも微塵も興味がなかったので、落ち着いて見ようという気持ちもなかった。
だから、敷地の中に何かいっぱいある地元の宗教施設となると「北海道神宮」くらいしか知らず、そっちのほうが特殊なのだとぼんやり思っていたようで、今回、アラフィフおばちゃんの身でありながら、改めてしみじみと感動してしまった。
そうかあ。歴史のあるお寺には、こんなに信仰対象がひしめいているもんなんだなあ(言い方)
まぁ神宮はお寺じゃないんだけど。
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あちこちで感動を噛みしめながら歩いているうちに、いつの間にかわたしたちは中尊寺の本堂に到着していた。
観光客の半数ほどは多分外国の方々で、みな一様に真剣な眼差しで、この岩手県が誇る日本の古刹を見つめている。それが何だかとても尊く感じられ、しばらくぼーっと立ち尽くしてしまった。
この時のメモには「本堂にあった説明が面白かった」と記されているが、その説明書きも詳細も残されていなかったので、一体何がどう面白かったのかは、再訪しないと解らない。
本当に肝心なところで肝心な部分が抜けている自分に、今さらながら静かに腹が立つのであった。
ともあれ、いよいよご対面となった国宝【中尊寺金色堂】は、本堂から更に奥まった場所にある。
しっかりと管理された建物の中に移設され、ガラス越しにしか視認できないその国宝は、当然のごとく撮影禁止で、正面からしか尊い姿を拝むことは出来なかった。
せっかくなので、ここで公式サイトを貼り付けておこうと思う。
気になられた方は、ぜひサイトの方で金色堂の尊いお姿を拝んでみてください。
思っていたよりずっと小さかった金色堂は、思っていたよりもずっと、圧巻の美しさでありました。
平安における仏教美術の粋を集めに集めて凝縮したような、贅を凝らした建築美。金は言わずもがな、良質の螺鈿細工や宝石までもが施されているという小さなお堂には、極楽浄土を平泉に体現し、相次ぐ戦乱で亡くなった方はもちろん、生きとし生ける全てのものの魂を導きたいという奥州藤原氏・初代 清衡公の想いが込められているんだそうな。
…と、まぁこれだけ聞くと、いわゆる祈願系のお寺かなと思ってしまうのだけれど。
そこに奥州藤原氏四代のご遺体がまさに今も安置されていると聞くと、こりゃ完全に藤原氏のご供養系のお寺なんだなぁ、と思ってしまうよね。
ここらへん、なんかしっくりこない気がしてしまうのは自分がおかしいのかどうなのか。よく判らんのですが、金色堂の真ん前にお賽銭箱があったんだ…
うん???藤原氏四代のご遺体を安置するお堂に、お賽銭箱???
いや待てよ。これ、中のご本尊たる阿弥陀如来さまへの感謝をお伝えするお賽銭になるとは思うんだけれども…しかしあれ…こちらのご本尊は藤原氏のためにおわすのでは…?そこに観光客が喜び勇んで次々にお賽銭を投げ込む構図…?よくわからん…!となってしまい、とりあえずこれだけの素晴らしいお寺を築いた藤原氏の皆々様に敬意と、そしてそれを現代の我々に拝ませてくださる感謝を表するお参りだけして、金色堂をあとにした。
祈りの心に金品を混ぜるならば、いっそ単なる祈願系なら良かったんだけどなあ。
まぁ、細かいことは置いといて、総じて見て良かったことには違いない。
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とりあえず主目的は達成した!と帰路につく途中、敷地内にはカフェが併設されていた。
そういえば、お寺にカフェかぁ…。まぁお寺と言えど、こんだけ観光客が来たら、そこはもう半ば観光施設よねぇ、と今さらながらに金色堂も含めた納得をしつつ、外に掲示されているカフェメニューを覗き込む。
すると…
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寺ミス。
和っふる???
おいおい観光名所だからっつってお寺さまが随分なセルアウトじゃねーの!!
と、思わず夫と2人して爆笑してしまった。
そして挙げ句の果てに…
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神社エール。
もはや寺の権威すらかなぐり捨ててる。
やー。
でもまーそんなもんかもね。
人が集まるところは経済が動くのよ。
そんなもん、神も仏もないわよねえ。
うん。いっそ清々しい!!
そんな感じで深く納得しながら夫と手を繋ぎながらてくてく歩き続けていると、中尊寺の敷地内には、何と神社があった。
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【中尊寺鎮守 国重要文化財 白山神社】
そうかあ。自分はむぬすげえ無知だったんだなあ。
仏教寺院って、守り神がおわすんだ…。そっかそっか、今はともかく昔はな…寺でさえ焼き討ちにあったりしてんだもんな…。
などと物騒な歴史的事件を思い浮かべつつ、神社でお参りをして、先へ先へと進んでゆく。
てかわたしが知ってる北海道のお寺では鎮守の森とか見た記憶がない。お社とお寺がくっついてるのもあんまり記憶がない。
まぁ多分、見落としてきただけなのだろうな。これからはもっと注意深く地元のお寺も見て行こうと思う体験なのでありました。
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ちょうど、この白山神社を通り過ぎようとしている時、ふと空を見上げると、空には竜神様のような雲がかかっていた。
まぁ飛行機雲なんだろうけども。
何となく縁起良さそうな、いいことありそうなトキメキを胸に、わたしたちは中尊寺を後にしたのであった。
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…えー。
と、ここまでで既に12000文字を超えている。
できれば毎回1万文字に収めた、せめて前後編でお届けしたいと思っているのですが、今回の岩手旅は見どころが多すぎた。
そもそもこの旅日記は、自分のための備忘録的に始めたという側面もあるので、忘れたくない思い出を詰め込んでいるうちに毎度冗長になってしまうという欠点がある。
しかし。岩手県は良すぎた。
したがって、今回は初めての三部作にしたいと思います。
まぁ、残りはかなり少なくなってきているんだけれども。
とりあえず、このたびはこの辺で!
次回、盛岡⇒五百羅漢堂⇒北海道戻り編でお会いしましょう!
次回:新幹線de岩手旅③はコチラから↓↓