製作ノート vol.6 「食べる大阪人~20年後のあとがき」
(誤字があったので修正して再投稿)
先日、渋谷○○書店の「えほん定食」書店にて『食べる大阪人』の販売を開始した。
『食べる大阪人』は今から約20年前、2003年に私が描いた作品で、これまで渋谷○○書店の自分の棚で非売品として置いていた。
すると見てくれるお客様の中に「これ面白い!」とか「これ買いたいなぁ」とか言ってくださる人がいたのだ。
渋谷○○書店の棚に本を置いておくと、読者に直接会う機会がありナマの声が聞ける。これは他の棚主さんも言っていることだが、本当に有難くて嬉しくて勇気づけられる。
お客様の声に気を良くした私は、この作品を売るために復刊しようかな……⁉と考えるようになった。原画がキレイな状態で見つかったことも私の背中を押した。
復刊するにあたり、中綴じのZINEスタイルに再編集。作っている方も変化があって面白かった。
さて『食べる大阪人』が20年前に生まれたいきさつも話そう。
私は1998年、大阪は守口市に引っ越しをして暮らし始めた。そこから9年間の大阪生活は、東京で生まれ育った自分にとってカルチャーショックの連続だった。
とりわけ食に関する「関東との違い」には文字通り目をまんまるくして驚いていた。「お好み焼き定食」を初体験したときはさっそく絵に描いて、東京の実家にFAXで送ったほどだ。
大阪に引っ越した当日、エビカツを初めて食べたことも忘れられない。守口の京阪百貨店のレストランでのランチだったと思う。
メニューの中にエビカツというものを見つけた私は「エビカツ……?エビフライとトンカツの盛り合わせのことかな?」と思いながら注文。
出てきたものは今まで見たことないものだった。そしてエビのすり身で作られたカツは美味しかった!……思えばここから私の楽しい大阪食体験が始まったのだ。
こうした「驚き食体験」をまとめておきたい!と思ったのが2003年だった。私が絵本製作を学んだのが2001年なので、ちょうど2年たち絵本づくりに慣れてきて楽しくなった頃でもある。
そんなこともあって『食べる大阪人』は食体験を伝える喜び、絵本をつくる喜びにあふれている。自分でも大好きな作品だ。まさか、この作品を描いていたころは渋谷で売ることなんて想像もしていなかったけれど。
今回復刊するにあたって巻末に「あとがき」を書いたり、2003年当時毎日のように利用していた市場(マーケット)の節分のチラシを載せたりした。
ネットで見ると残念ながらこの市場はもう無くなっているらしい。このチラシ、今も持ってる人なんて滅多にいないだろうな……結構レアかも。
意外とアーカイブ資料にもなってると思う『食べる大阪人』、渋谷でご覧いただけると幸いです。