泥棒

全然眠れそうにないから起きておくことにした。３時間ばかり眠ったところで目が覚めてしまったのだ。こんなことはここ数年なかったこと。珍しい。今は夜中の２時。

さっきから頭の中をぐるぐると巡っているのは仕事のこと。仕事そのものというよりは、それにまつわる人間関係のこと。人ってのは厄介だね。

どうやらある人は僕がやった仕事を自分の手柄として上司に報告しているらしい。「これはすごいですね」とその上司がつぶやいた資料は僕が作ったものだった。

こういう人は何年かに一度、必ず出現する。相手は決まって僕より年上。

「僕よりも能力が劣るかわいそうなヤツなんだ」

そう自分に言い聞かせ耐えてきた。でも、自身を騙すことはなかなかに難しく、いつまでも心の奥底のモヤモヤは消えない。こうやって時たま思い出しては嫌な気持ちになる。

そして僕は眠れない。