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打ち合わせの途中に

「途中ですが今日の打ち合わせは終了します」

WEB会議は唐突に終了した。参加者のひとりが途中で倒れ、救急車で運ばれたらしい。

「私はあなたが責任者だと思っているんですけど、違いますかね?」

僕が語尾を強めて発言した直後のことだった。どうにも後味が悪い。

今のプロジェクトを予定通りに進めることはどう考えても困難だった。「どうもまずい状況になっているらしい」という状況をトップが認識しての打ち合わせだった。

問題なのは僕の直属の上司。どうやら「オンスケで何も問題はございません」と報告しているようなのだ。確かに僕が仕切っているジョブ自体はオンスケだ。だが、そのまわりでは問題は噴出している。その問題をどうにかするのは上司の役目なのだが、うまく処理できていないらしい。

「私としても頑張って…はいるの、、です、、が、これ以上…は無理、、、です・・・」

僕は耳を疑った。発言したのは僕の上司。部下である僕が参加しているのは知っているはずなのにこの発言。それだけメンタル的にも追い詰められているってことか?

このプロジェクトの上の方にいる人たちは総じてこの状態。僕の発言を真摯に受け止めて対応してくれているのはプロジェクト外の人たち。

プロジェクトの稼働は12月。まずはこれを延期に追い込まなければならない。その後、プロジェクトの中止。こんなプロジェクトを稼働すれば儲かるどころか利益は吹っ飛ぶ。彼らのメンツのためだけに最悪の状態になるのは、どうしても避けなければいけないのだ。

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