[ Symbolizm ] 階段を上る(後編)
はじめに
本件は、3段、5段と綴ってまいりました階段シリーズの仕上げ記事となっております。本件を読了した時、あなたは多くの光に包まれることでしょう。シリーズを未読の方は、まずは下の段から順に上って下さいまし。
本件で上る階段
本件で上る階段は、最上段にある7段の階段です。この階段を上り切った先には賃金と出口が待っています。暗闇の洞窟から抜け出し、今まで見えていなかった景色を一緒に眺めましょ〜!
では早速、7段の階段についてまいります。
7段の階段
・7つの科目
7段が示すものは「Trivium / トリヴィウム」と「Quadrivium / クワドリヴィウム」からなる「リベラルアーツ / 自由七科」です。
トリヴィウムが「文法学・修辞学・論理学」の3科目、クワドリヴィウムが「数学・幾何学・音楽・天文学」の4科目。合わせて7科目です。表の説明はwikiに任せるとして、ここでは結社の人々の自由七科の捉え方を述べます。以下の引用は「カバラと薔薇十字」からです。
-- トリヴィウム --
文法により人は高尚かつ適切な言語を用いて最も深い思想と理想を表現する術を教えられる。
修辞学により両義的な言語と言葉のあやと言う隠れ蓑に乗じてこっそりと自らの思想を隠すことができる。
論理学により生来賦与されている知的才能の組織化の訓練を受ける。
-- クワドリヴィウム --
数学により宇宙秩序の神秘ばかりでなく、数、量、比例を解く鍵が与えられる。
幾何学により形相の数学、角度の調和とリズム、組織の哲学の世界へと誘われてゆく。
音楽により宇宙が天体の調和の法則に基づいており、その調和とリズムが万物に浸透している事を想起させる。
天文学により人は時空の無限、自己と宇宙の適切な関係、大空の無数の星を広大な空間の中へ追い立てるあの畏怖に充ちた「未知の力」に関する理解が得られる。
ではなぜ自由7科が大切なのでしょうか?
それは、自由7科の源泉が古代科学カバラだから。ついでですので付言しておきますと、自由7科が元になって出来たものが「国・算・数・理」です。よって、義務教育を受けた者は真理を探究するにあたり、すでにある程度の下地を有しているということです。
では自由7科の元となった5つのカバラを見てみましょう。また、このカバラの種類は「5つ」であり、7段の階段の前の「5段の階段」と重なっていることも留意して下さい。
自然学的カバラはもっぱら「自然」の神秘を探求する学者の助けとして使われた。
類比学的カバラは「自然」の万象間にある一定の関連を明らかにするために体系化された。それは賢者にあらゆる生物と物質は本質的には一つである事、人間という小宇宙は、神という大宇宙の小型の模型である事を明らかにした。
観照的カバラは高次の叡智的な能力を使って天球の神秘を明らかにする目的で発達した。それを手がかりとして抽象的推理力が発達し、人は無限の中に無数の世界がある事、その中に様々な被造物が存在する事を認識するに至ったのである。
占星学的カバラは天文学の研究者に恒星の力や大きさや物質の成り立ちを教え、同時に惑星そのものの神秘的な構造を明らかにした。
魔法的カバラは目に見えない世界の魔物や人間を超えた叡智的存在者を自在に統御しようと望む人によって研究された。それはまた呪符やお守り、加持や祈祷によって病人を治す方法として高く評価されていた。
これら古代の密儀を中世の賢者が時代に合わせまとめたものが自由7科です。したがって、真理の探究を志すなら必ず身につけなければならない「7つの科目・自由7科」が、必ず上らなければならない7段の階段に結びつけられ象徴されております。
余談ですが、わたくしが用いるカバラは、自然学的、類比学的、観照的の三つのカバラです。象徴の元の形となるものは、往々にしてこの三つのカバラからもたらされているためです。
・7段の梯子
7段の階段の象徴のさらに深淵、それは「ヤコブの梯子」となり、セフィロトの「燃える剣」の象徴ともなること。こちらもメイソンの階段の象徴画が示していることと同じで、下から順にセフィロトを上ってゆくことが示されております。古き智慧の痕跡が如実に現れておりますね。我々が見るべき象徴とはそういうもの。
・褒賞・賃金
前回の中編でも触れました「褒賞・賃金」について。この象徴は、階段を上り切った者に例外なく与えられる「褒美」を示しています。しかしながら、ズルをして上った者には決して与えられません。きちんと努力し、苦労し、一段一段上らなければ与えられません。現代的な考え方ですと、できる限り労力を少なくし簡単に上ることが美徳とされますが、それでは褒賞は得られないのです。なぜか?それは、褒賞の中身を知れば理解できます。
つまり、褒賞・賃金の中身とは、階段を上る過程で得た「苦労」のことなのですよ。「若い時の苦労は買ってでもしろ」と、昔はよく言われたものです。苦労は体験であり経験で、それが人を成長させますし、またそれ以外では成長できません。
生活費を稼ぐだけの仕事を効率化・自動化・最適化するのは結構です。ただ、仕事に染まり過ぎて、あなたの人生まで効率化・自動化・最適化してはいけません。
わたくしはいつもいいます。人は苦からしか学べぬと。また、間違えることは悪いことではないとも。些細なプライドが邪魔をして間違えに気づいているのに反省しないこと、できないことが悪いことです。反省し改善しなければそれは重荷となって積み上がってゆくだけ。一方、間違えても反省し改善したなら、その間違いはあなたが高みに達するための階段となりあなたを支えます。苦労や間違いなどの「経験・体験」を「賃金」とするか「ただの重荷」にするかはあなた次第。
ズルをしないでしっかり階段を上ったなら、胸を張って賃金を受け取れますでしょ?
・出口
古き智慧を知り、知識を高めることで、洞窟の出口の光を得ることができます。あなたはもう自分の見えるものが変わっていることに気づいているはずです。あなたの住む現実の、本当の光と偽物の光がよく分かるようになったはず。
あなたは真の光(智慧)に照らされるためにここに来たのでしょ?
やりたいことではなく、やらなければならないことでもなく、やるべきことを。
この階段の象徴画。今回のシリーズを読む前と後とでは、まるで見え方が変わったはずです。世間一般で言われているような悪の秘密結社のお話なんて全然関係なかったでしょ?648円の本は648円なりのお話なのですよ。
・まとめ
3段の階段が示す「学ぶ前の心構えの三位一体」、5段の階段が示す「自分の能力を拡張させる考え方の五位一体」、そして、7段の階段が示す、我々の霊性(内面・知能)を高めるための「7科目で一つのリベラル・アーツ」。
では、さらに俯瞰して見てみましょう。
「三位一体」、「五位一体」、「七位一体」。この三つ、どれか欠けても階段は上れません。つまり、俯瞰して見てもまた「三つで一つ」となり、繰り返しが象徴されています。そりゃそうなんですよ。だって、、、
燃える剣に終わりはないでしょ?同様に、階段にも終わりがないの。今回上った階段を、何度も何度も繰り返し上り、何度も何度も繰り返し賃金を受け取って下さい。それがあなたの内面に神聖な神殿を建築する唯一の方法です。
特に7段の階段なんて、数回上った程度ではさっぱりわかりません。また、おかしな書籍に時間を取られていると堂々巡りになってしまいます。きちんとオッカムの剃刀を使用し、本当に必要な階段だけを上って行って、あなただけの力強く美しき神殿を建築して下さいまし。
それでは、階段上り一周目の皆様、これにて本件は締めとさせて頂きます。あなた様の心にわたくしの賃金が届きましたなら引き続きお付き合いをお願いいたします。
魔女の本気
・超照らす
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