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[ Decode : Art ] 象徴画というもの

はじめに

 本件は「象徴画」というもの自体にスポットを当てたお話。これまでに幾度となく観察者に見る力を求める謎めいた象徴画をDecodeしてまいりました。今回は視点をミクロからマクロへと移し、象徴画自体の成り立ちについて述べてまいります。その流れを理解することで象徴画に対する新たな見識が得られることでしょう。

・Point☝️

 象徴画について理解を深めたあとは、今年から始めますオリジナル象徴画のご紹介。第一弾は「大いなる業をなす女」と題した作品です。本件はこの二本立てでお送りします。ではまず、象徴と切っても切れない関係にある神話のお話から始めましょう。




神話

 古代の人々は重要な事柄(道徳・思想・科学)を神話という形で残しました。その理由にはいくつかの側面がありますが、中でも特に注目すべきは神話が人々の情動に訴えかける力を持っている点です。

 日常的な言葉や事実のみで重要な教訓を伝える場合、それはしばしば単なる情報として受け取られ、時間とともに忘れられてしまいます。しかし、神話は情動的な物語として語られるため、登場人物の感情や行動に共感したり、物語の展開に驚きや感動を覚えたりすることで、聞き手の心に深く刻まれます。

 例えば、自然現象から起こる災害や季節の変化など、当時の人々にとって説明が難しい現象についても、神話はその意味や原因を象徴的に解釈し、共感を得られる形で伝えました。それにより、人々はその現象を畏れ敬う心を持ち、自然との調和を重んじる価値観を共有するようになりました。また、英雄や神々の物語を通じて道徳的規範を子孫に伝えることも、神話の大きな役割でした。

 さらに、神話は象徴や比喩を多用することで、聞き手の想像力をかき立てます。イメージというものは、抽象的な概念を具体的で印象的な形に変えるため記憶に残りやすくなるからです。要するに、古代の人々が神話を用いたのは単なる情報伝達を超え、人々の情動に訴えかけることでその智慧や教訓が心や記憶に深く残りやすくなるためでした。幼子のしつけを考えれば分かりますね。日々小言を言うよりは、たった一つの昔話の教訓の方が効果覿面です。幼き頃に親から「悪いことしたら鬼が迎えにくるよ」って言われましたでしょ?しかも本気で鬼にビビってましたでしょ?

 神話とは単なる物語ではなく、人間の普遍的な価値観や道徳的規範をイメージ化して共有し、後世に伝達するための強力な手段だったのです。


All religions, arts and sciences are branches of the same tree.

すべての宗教、芸術、科学は、同じ一つの木の枝である。

-- Albert Einstein --





象徴画

 時代が進み絵画の技術が発展すると、神話という形で語られていた普遍的な智慧・価値観や道徳的規範は、新たな表現手段である絵画へと引き継がれるようになります。その中でも特に注目すべきなのが「密儀が組み込まれた象徴画」です。智慧深き者の象徴画は、物語の代わりに視覚的な象徴やモチーフを用いて、特定の観察者に深い意味を伝える芸術形式として発展しました。

「マラノスのサイン」と「猛禽類の羽」


 例えば、古代の神話では神々や英雄の行為を通じ普遍的な智慧や道徳的規範を伝えましたが、密儀が組み込まれた象徴画ではそれらに代わり、特定のポーズ、形、人物、背景、あるいは動物がその教訓や概念を象徴する役割を果たします。これにより、「密儀が組み込まれた象徴画」は作者の知識の深さを反映し多層的な意味を組み込むことが可能となりました。たとえば、髑髏のように一見すると恐ろしい象徴に思えるものでも、知識のある者にとっては再生の象徴として解釈される場合があります。


「大使たち」
角度をつけなければ見えない髑髏


 このように、「密儀が組み込まれた象徴画」は観る者の知識や理解の深さによって異なる姿を見せます。その結果、絵画という単に視覚的に美しい作品という次元を超え、智慧深き作者の本当のメッセージは智慧深き観察者にのみ伝達でき、智慧浅き人々の目からは隠せる一石二鳥の手法として現代に至ります。


”Use art to tell a secret / 芸術で秘密を語る”


 こうした「密儀が組み込まれた象徴画」の特徴は、神話の物語性と同じく、感情や直感を通じて人々の心に訴えかける力を有しつつ、多層的に密儀を組み込むことで、知られたくない者たちには見えぬようヴェールがかけられていることです。このヴェールのおかげで「密儀が組み込まれた象徴画」は守られ、その深遠なる智慧は理解しようとする者たちにのみ徐々に明かされる構造となっています。


最後の晩餐の真の聖杯


 このため、「密儀が組み込まれた象徴画」は単なる芸術作品として鑑賞される一方で、象徴や暗示を読み解く力を持つ者には、哲学的・精神的な真理を伝える媒介ともなります。こうした多層的な構造が「密儀が組み込まれた象徴画」の魅力であり、魔力といえるでしょう。それは時代や文化を越え、見る者に智慧を要求し、個々の解釈や気づきを通じて新たな価値観を与える、ある意味において普遍的な存在なのです。

芸術はあらゆる科学の女王であり、世界中のあらゆる世代に知識を伝える。

-- Leonardo da Vinci --


そして、そういうものこそが「芸術」と定義されるもののはずでした、、、

 本来は、、、



 現代は芸術から智慧が切り離されたどころか、智慧の代わりに「馬鹿」が組み込まれ、「人のやらない馬鹿げた行為」が芸術と評価される世界。




現代の象徴画

近代の始まりと同時に、実用的技術は無用の芸術と、科学は魔術と切り離され、それ以前の知の一卵性双生児の母体から孤立したのである

「錬金術 大いなる神秘」序文より


 本来は「知の一卵性双生児」と比喩されるものが「芸術」でしたが、現代では切り離され、ただ美しいだけで芸術とされ、下手すると美しくなくとも権威ある人が美しいと言ったから芸術とされるほど適当。それだけならまだマシですが、芸術から切り離された実用的技術は別の形となり、我々には知らされぬまま、我々に対する武器となり使用されている始末。


娯楽というもの
概念の植え付け
最も簡素化され威力が高められた象徴
それは「看板」


 家から一歩出たら人間の情動に働きかける象徴だらけ。スマホの仮想現実に逃げても同じく象徴だらけ。そりゃ心がおかしくなりますよ。




 また、あちらさんは象徴の威力をよく理解しておりますから、自分たちには士気や団結を高める情動的象徴として利用しています。分かりやすく言えばモットーのようなもの。世界を変容させるという自分たちの大仕事を象徴画にし、自分たちのヘッドクォーターに飾り士気や団結を高めているのでしょう。

 混沌(最後の審判)からの秩序(新たな創世記)があちらの揺るぎない目標ですのよ。


左「最後の審判」 右「国連の壁画」
左「創世記3章22節」 右「国連の壁画の新しい創世記」



 Skull and bonesの象徴と322。この数も上記の創世記3章22節を象徴します。



 LGBTの7色は、創世記の洪水伝説で有名なノアの7つの戒めの色の象徴。また、虹を七色に定義したのはニュートン。



 GAFAの一角であるアップル社のロゴは創世記でアダムとイヴがかじった知恵の実の象徴。初期の頃のロゴはリンゴの木の下で本を読むニュートンでした。



 EU本部の雛形であるバベルの塔もまた創世記のお話。



 人間を動かす現代のエネルギー「マネー」を握るスイスの国際決済銀行も創世記のバベルの塔。神の怒りに触れ、言語を乱され不和に陥った塔の人々。マネーで操られ不和に陥っている現代の人々。なんとも皮肉な象徴ですこと。腹立たしいのは、自分たちを神か何かと勘違いしているところ。誠に腹立たしい。


 混沌からの、、、

 秩序。

 象徴的な視点で世界を見渡せば、我々一般大衆の預かり知らぬところで堂々と「象徴的モットー」を掲げ、世界を「混沌からの秩序」へと導いているのです。重ねて申し上げますが、誠に腹立たしきことこの上ありません。




現代の魔女の象徴画

 こんな世界でわたくしのようなちっぽけな存在ができることは、無い智慧を振り絞り、芸術が知の一卵性双生児だった頃のように「情動的威力と普遍的価値観を有する象徴画」を作ること。簡潔に申し上げれば、我々の情動に正しく働きかける「象徴的モットー」です。そう思い、今年は自分で象徴画を作成してゆこうと決めました。

 我々個人の精神的変容を支える、情動的威力と普遍の真理を有する象徴画。

 その第一作目がこちらです。




「大いなる業をなす女」

・概要

 「大いなる業をなす女」は、錬金術の「大いなる業」を基盤とした変容プロセスを視覚化した作品です。中央に描かれる祈る女は、「大いなる業」の体現者を象徴しています。



・物語

 彼女は冷たき泉に身を浸し、雄大な自然の象徴である山々を背に、矮小な欺瞞の象徴である燃え盛る都の人々に胸を痛めつつも、己のなすべきことをなし変容を遂げようと苦難に身を投じています。自分が変えられるのは外面の狂気の世界ではなくて、内面の自分自身だけであると理解したその日から。

 長く泉に身を浸していると、その身を凍て付かせた冷たき水面に波紋が広がっていることに気が付きました。またその波紋は、自分が波立たせたのと同じだけ返ってきて、自分自身を成長させていることにも気づきました。そうして空を見上げたとき、古き賢人の残した言葉「上の如く下も然り」を心から理解するに至り、Matrixから解放されました。




 上記の物語が象徴画の最も表層の説明です。象徴画というものは多層的に智慧が組み込まれているものですから、同じ象徴画でも観察者の知識に応じて姿を変えます。では、さらに高次元の意味を読み取ってみましょう。




・密儀

 前述の象徴をより高次元の視点で見れば、「生命・生まれ変わり」を象徴する「水・女性性・祈る女」のまわりに火・水・土・風という四元素が配置されていることがわかります。観察者が錬金術の「大いなる業」を理解していれば、それぞれが「大いなる業」の段階であるニグレド(黒化)、アルベド(白化)、キトリニタス(黄化)、ルベド(赤化)の四つを象徴していることが読み取れるでしょう。

 そして、大いなる業を成した者は気付きます。己を包む泉の波紋は、宇宙を包む理の波紋であると。下にあるものは上にあるものの反射であると。

 上の如く下も然りであると。

 As Above So Below.






まとめ


 この「大いなる業をなす女」は、大いなる自己変容と真理への到達を目指す錬金術的精神変容を象徴した作品です。前述の物語と、多層的に織り込まれた数々の意味を理解する者にとっては、中心の祈る女を見ただけで、それらの象徴が示す哲学的思想が色鮮やかに甦ることでしょう。事実、「アマデウスの魔笛の秘密」を読み終えたあなたには、前述の説明以上の意味が、不死鳥のように記憶から蘇ったはずです。





 あなたの住むMatrixの世界は、これからさらに厳しい時代に入ります。感情を揺さぶるニュースが世界を駆け巡り、人々は心までも消費させられながら生きる時代。もし、この先あなたが膝をつきそうになったら、祈る女を見て以下の短い文を思い出して下さい。

 水の如く心を鎮め、山の如く動じることなかれ。 風の如く思考を澄まし、いざという時は火の如く。

 汝、平和を欲さば、戦いへの備えをせよ。





Matrixから現実へ



 これまでわたくしが作成してきたデザインは、デジタルコンテンツとして保存してまいりました。しかし、絵が持つ情動的な力は、実物に比べるとデジタルではどうしても劣ります。スマホの画面越しに見る小さな象徴画よりも、大きなサイズで鑑賞した方が、その威力は増すのが道理。本件で述べました象徴の情動的威力を考慮したなら、実物が一番です。



 そこで、わたくしの象徴画をSUZURIを通じて、デジタル空間から現実世界へと物質化させました。大きさも、卓上サイズのA4から、ポスターサイズのA2まで対応しております。ご自身の環境に合ったサイズをお選びください。


「サイズのおおよその目安」


 また、SUZURIのポスターは「吸着ポスター」ですので、わざわざ額装しなくてもそのままご利用いただけます。もちろん額装するとさらにカッコ良くなります。あなたの環境に合った形でご利用くださいまし。



 この象徴画シリーズは継続して行なってゆこうと考えております。随時、今回の記事のように、物語や密儀と共に象徴画を追加してゆきますのでお楽しみに〜。自分に合った象徴画と格言をお選びくださいまし。



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 それでは本件はこれにて締めとさせていただきます。あなた様の心にわたくしの失われそうな知識への危惧が届きましたなら引き続きお付き合いをお願いいたします。




作品紹介


新刊:Da Vinci Code Reloaded

デジタルBook:『アマデウスの魔笛の秘密』

デジタルBook:『ヨハネ黙示録 完全解読』

デジタルBook:『Decode of the Matrix』

デジタルBook:『ダヴィンチコードを乗り越えて』

本:『Divine Ratio Re:Decode』

本:『As above So below』

アパレル&小物:Cavalier Camp


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霜月やよい
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