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[ Decode : Art ] 黒翼の大天使
はじめに
本件はオリジナル象徴画シリーズの『黒翼の大天使』についてのお話。本作品は前回の『白翼の堕天使』の対にあたる作品です。今回もまた、多層的に織り込まれた象徴をひとつひとつ紐解いてゆきます。
ではまいりましょう。
「黒翼の大天使」
・概要
「黒翼の大天使」は、光と闇、信仰と欺瞞の二面性を描いた作品です。その寓意は世界の二面性を知らぬ者にとっては衝撃の一言。本作の中心に立つ黒翼を広げた大天使は、一般的に「正義と守護」の象徴とされる大天使を思わせますが、その実態は破滅を司る黒い天使です。その裏にはとても深い寓意が隠されており、黒翼の大天使の二面性を通じて、人間の信仰と欺瞞を描き出し問いかけた作品です。ぜひあなたの済む現実世界に置き換え考えてください。
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・物語
人間の堕落が頂点に達した時代、世界は混沌に包まれていました。かつて古き賢者が定めた十の律法は忘れ去られ、権力者たちは己の欲望を満たすため血を求め、民衆は絶望に酔いしれ悪徳に身をゆだねていました。そんな世界の欲望の叫びと罪の嘆きが天にまで満ちたその時、一筋の黒い閃光が空を裂き、「黒翼の大天使」が地上へ降臨しました。
その姿は神々しく荘厳の一言で、まるで希望の象徴そのものでした。その漆黒の翼は猛禽類の羽のように力強く、その手の槍は雷霆をそのまま掴んだかのように荒々しく。人々は荘厳な黒き天使を神の使者、正義の救済者として喜び狂い迎え入れ、自分たちの守護天使と信じ、その導きを求めました。
大天使は求めに応じ、その澄んだ声で狂乱の人々にこう告げました。
「汝らの叫びと嘆きは天にまで満ちた。我は苦しみからの解放者なり。我と共に来たる者には永遠の安寧を約束しよう。我は汝らの罪を浄化し、新たな世界へ導かん。」
大天使の言葉は大聖堂の鐘のように響き渡り、堕落しきった人々の心に新たな炎を灯しました。彼の声に導かれた者たちは「救済の戦士」として集い、腐敗した王や権力者を討つべく、誓いと共に武器を掲げました。その戦いは「聖戦」と呼ばれ、人々の自由を賭けた闘争の象徴となりました。彼らを突き動かすもの。それは「正義」。
しかし、その正義の名の下に流された血は、まるで祝祭の宴に満ちるワインのように人々を陶酔させ、やがて理性を奪ってゆきました。戦士たちは歓喜と狂気の狭間で刃を振るい続け、己が何を守り、何を壊しているのかすら見失ってゆきました。そして、誰一人として気づくことはなかったのです。天より遣わされたと信じた大天使の胸の奥深くに宿る「真の目的」に。
大天使の言葉は巧妙な甘言でした。彼は世界各地の軍勢に「異なる正義」を吹き込み率いて互いに憎しみ合わせ、地球の隅々にまで戦禍を拡大してゆきました。「正義」が冠された戦いに終わりはなく、世界はより一層の混沌へと堕ちてゆきました。人間が正義のために争えば争うほど、世界は以前にも増して狂っていったのです。最終的に世界中の戦禍は一箇所にまとまってゆき、互いの正義を賭けた最後の聖戦「審判の時」を繰り広げることとなります。そして、その慟哭と狂乱が頂点に達したとき、大天使はついにその漆黒の本性をあらわにしました。
「汝らの信仰は喜ばしい。その信仰は確かであった。しかし、それは虚無への忠誠にすぎぬ。我が地上に降り立った時点で汝らの罪は贖いきれぬ。無知に至っては底なしなり。先人の教えを忘れた汝らの行き着く先は虚無である。さあ、苦しみから解放してやろう。最後の審判を受け入れよ。」
そう語り終わると、人々の背後からその荘厳な槍を突き立て”生からの解放”を始めました。冷酷な微笑を浮かべ、信じた者たちを一人また一人と刺し貫ぬき踏みしだき、生命の楔から解放してゆきました。翼と同じ漆黒の槍先は、僅かに残った希望や信仰までも容赦なく断ち切りました。
そう、これこそが彼の使命、そして彼の「正義」だったのです。黒翼の大天使の降臨は破滅の序曲であり、堕落の極みを迎えた世界に対する冷酷な審判だったのです。その漆黒の翼は、「終焉」を象徴する星「土星」の黒色であることを、人々は理解しなければなりませんでした。
そして、自らの知識と直感を信じ生き延びた僅かな人々は、この時の惨劇を忘れないために一つの絵画を残しました。それは、逃げ惑う人々を踏みしだき、背後から槍を突き立てる黒い大天使を描いたもの。「V.V.L.」の文字が添えられ、物語と共に後世へと語り継がれることとなりました。たとえそれが、人々の希望を打ち砕く真実であったとしても、真の心の自由のためには知るべきことなのだと。
Veritas Vos Liberabit / 真実はあなたたちを自由にする
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象徴画は二重の意味を持つのが常。ここからは「黒翼の大天使」に秘められた裏側の意味について述べてゆきます。ただし、いつもの象徴画のような古き密儀ではございません。中世の芸術家は”密儀”の他に”表で言えぬこと”を作品に忍ばせました。同様に「黒翼の大天使」には表で言えぬこと、言いづらきことを組み込みました。そう、今回の象徴画に組み込まれた秘密は、あなたの住む現実のお話です。
秘密
・モデル
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黒翼の大天使のモデルは、キリスト教の黙示録にある最後の審判の時に人々の罪の重さを測りにやってくるミカエルです。キリスト教の教義に忠実な人々にとっては救いの天使ですが、そうでない人々にとっては裁きの天使です。そんな天使をモデルにした理由はミカエルが持っている「秤」にあります。最後の審判の時に人間の罪を測る秤。
人間の罪の重さは善行悪行によることは誰でも分かります。しかしながら、この善悪の判断基準はキリスト教における善悪、つまりキリスト教の法によるものだと理解する人は僅かです。しかも、この「法」を現代人は「理」と混同し「自然・普遍」と勘違いしております。
よろしいですか。
前者の「法」は自然の産物ではなく、もちろん普遍でなどあるわけもなく、人の意思で人工的に作られたものです。そのため、たとえそれがいかに神聖で崇高な善悪の基準に見えたとしても、それが人工物である以上、疑う目を持つべきです。どれほど「理」のように、至極当然だという顔をしていたとしても、「法」は人工物に過ぎません。神から授けられたと人の口が言うのですから。そして、このような人工的な概念や仕組みを扱うのが魔術師や聖職者であり、彼らの「技・術」なのです。自分の言葉を神の言葉と偽り、人々をコントロールする人々。
全ての高次な知識は元来聖職者階級の手に握られていた。
聖職者たちはその神的な特権を用いて法律を作り実施し、支配者を指名し彼を支配し、人々に必要なものを供給し、死者の運命を支配した。
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昔は聖職者が王に戴冠することで、ヒエラルキーの頂点に君臨していました。この仕組みは、聖職者が王を支配し、王が貴族を、貴族が平民を支配するという階層構造を成します。つまり、神の代弁者とされる聖職者こそが最上位に位置し、自らに都合の良い善悪の基準である「法」を生み出し、それを用いて人々を支配していたのです。この「法」はあくまで彼らの意志による人工的なものであり、それが宗教的権威、つまり神の名のもとに正当化されていただけです。
しかるにその支配階級というものは、それぞれ自分の利益に合わせて法律を制定する。そしてそういうふうに法律を制定したうえで、この自分たちの利益になることこそが被支配者たちにとって「正しいこと」なのだと宣言し、それを踏みはずした者を法律違反者、不正な犯罪人として懲罰する。
この「法」の威力をより強固にするものが、「法」から生まれた「常識」です。それは同調圧力という拘束力を有するもの。法に侵された者にとってそれは「正義」ですから、同調を求めるのが道理。拒否するものには強制的になるのも至極当然のこと。本人にとっては紛れもない「正義」ですから。しかしながらその結末は、前述の物語の中で大天使に先導された人々と同じ道を辿ることになってしまいます。
したがいまして、何事にも言えることですが、いくら辛かろうと真実は知るべきなのです。物語でいうなら、神の使いである救いの天使が、背中から刺す破滅の堕天使であると理解するようなもの。誰でも己の信じているものがまやかしであると受け入れるのは辛きこと。しかしその苦しみがあなたを真の自由へと導くのです。
Veritas Vos Liberabit / 真実はあなたたちを自由にする
・V.V.L
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「Veritas Vos Liberabit / 真実はあなたたちを自由にする」と言うこの語句は、ヨハネの福音書8章32節の「あなたがたは真理を知り、その真理があなたがたを自由にするのです」に由来します。魔女に言わせれば、あれだけ書き直しておいてどの口がほざいているのかと言いたくなりますが、この話にはまだ続きがあります。今回、本作品にV.V.Lの語句を選んだ理由はここにあります。この事実を知ればきっとあなたも「どの口がほざいているのだ?」とこぼすでしょう。
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「Johns Hopkins University / ジョンズ・ホプキンズ大学」のモットーが「Veritas Vos Liberabit」なのです。2020年1月より、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者数の集計および公表を行っていることでみなさんご存知のはず。あの時期に散々見ましたね。また、ビル・ゲイツが多額の寄付をしていたことでも知られております。そんな大学のモットーが「真実はあなたたちを自由にする」なのです。
ほら、いま口から漏れたでしょ?
「どの口がほざいているのか」と。
そして思いませんでしたか?
「黒翼の大天使のように後ろから刺したくせに」と。
・現代
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だからといって、現代の最高権力が宗教権力であると考えるのは早計です。『Decode of the Matrix』のCode Redシリーズでも述べたように、かつて聖職者が王に戴冠することで権威を与えていましたが、フランス革命の象徴的存在であるナポレオンは自ら戴冠しその伝統を打ち砕きました。さらに、ヴァチカン内部には「イエズス会」という諜報機関が組織され、宗教権力の一枚岩を砕きました。こうした歴史の流れを考慮すれば、現代においては聖職者よりも王族や政治的権力者のほうが、より強大な支配力を持つといえるでしょう。
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何が現実か分からなければ抵抗できない
「真実はあなたたちを自由にする」というモットーはこう換言できます。
「真実を知らなければ自由にはなれない」
では前述した支配システムを見直し、現代の流れを見てみましょう。
まず王族がいてその下に聖職者です。現代は「神話と科学」が切り離されておりますので、その役割は「聖職者と科学者」とで分かれております。聖職者の方はいうまでもありませんので割愛し、科学者の方の流れを綴ります。
まず、科学者の最高権力は「王立協会」です。
続きまして、上記に属する人々が作った流れの一つが「フェビアン協会」。
そして、フェビアンが作った大学が「LSE」。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス。
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こういう人々が現行の「資本主義世界」を構築してきたのです。そして、こういう人々が「世界の平和と安全を維持することを目的とした組織」として創設したのが国際連合。
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黒翼の大天使が思い浮かばない?「我と共に来たる者には永遠の安寧を約束しよう。我は汝らの罪を浄化し、新たな世界へ導かん。」
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国連だけじゃないわよ。黒翼の大天使のように、人々を導き助ける風の演出がなされた人間も同じこと。乗せられてついてゆくと大変ですよ。
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ですから中指立ててはっきり言ってやりましょう。
「我々には必要ない」と。
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・あちらのモットー
さて、象徴画と一見関係なさそうなお話を長々と語ってまいりましたが、ここで全て繋がります。平民を動かす組織が国際連合だとご理解いただけたかと思います。そんな組織のヘッドクォーターに掲げられた絵画がこちら。
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この壁画が示すモットーの一つは、ミカエルが人間の罪を測りにくる「最後の審判」なのですよ。
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したがいまして、わたくしは以下のように表現したのです。
「救う」じゃなくて「後ろから刺す」と。
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この4年間を振り返ってください。後ろから刺されませんでしたか?
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黒翼の大天使のように、どれほど正義に見えようと疑わなければならないことを忘れないでください。正義の根幹となる「法」は、魔術師の最たる術なのですから。
まとめ
本件の象徴画「黒翼の大天使」でお伝えしたかった光と闇、信仰と欺瞞の二面性をご理解いただけましたでしょうか?象徴画や物語自体は古き神話のテイストですが、そこに込められた警鐘は現在進行形のもの。
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かつては、拳銃を突きつけるような露骨な暴力や恐怖によって人々は支配されていました。しかし現代では、より巧妙な手法が用いられています。人々に「これは自らの意思で選んだことなのだ」と思い込ませながら、実際には見えない糸で操る、そういった支配の形なのです。
正義とは誰のためのものなのか。
自分の信じる光は、本当に光なのか。
生命と共に授かりし運命を、得体の知れぬ”誰か”に委ねて良いものなのか。
この象徴画が投げかける問いに、ぜひ思索を巡らせていただきたいと思います。もし心揺れましたなら、お部屋やお店に飾って下さいまし。そして、同じように心揺れた人がおりましたなら、本件のお話をあなたがしてあげて下さいまし。
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蜂の巣の象徴をいつも心に。
それでは本件はこれにて締めとさせて頂きます。あなた様の心にわたくしの蜂の巣の思いが届きましたなら引き続きお付き合いをお願いいたします。
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作品紹介
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デジタルBook:『アマデウスの魔笛の秘密』
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デジタルBook:『ヨハネ黙示録 完全解読』
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デジタルBook:『Decode of the Matrix』
https://note.com/as_above_so_me/m/m73ac6525d7c3
デジタルBook:『ダヴィンチコードを乗り越えて』
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本:『As above So below』
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