碧海急行電鉄 社内報「翠然而火」増刊号 <都市交通事業本部 北越急行線巡検>
◆まえがき◆
てづくりの~~~しゃないほう~~~♪(C.V. 安済知佳)
......と、まあこの週末の流行に乗るのはさておいて。
Twitterに垂れ流すのをまとめる目的でやっておりますので、いつも行く"巡検"のあれそれもここにまとめちゃえ~~~と思ったので、書いてみることにしました。
やる気が続けば、巡検報告は増刊号で出る予定です。
あと、まともな前書きも。
前書きこういうんじゃないだろ......とりあえず本編、行きましょうか。
だらだら垂れ流したので、だいたい8500字くらいあります。適宜なんとかしてお読みください。
◆都市交通事業本部 北越急行線巡検◆
<巡検情報>
実施日時 2023年1月2日(月)~同 1月3日(火)
天 候 雪時々霰
実施内容 北越急行線往復乗車
実施事由 超快速がなくなるので
<巡検に至る経緯>
昨年の12月16日、北越急行(株)から衝撃的なニュースリリースが出ました。
詳細はリンク先PDFを読んで頂くとして、実施事由にある通り「超快速」が今年の3月18日ダイヤ改正でなくなる、という話で。
「超快速」と言ったら、あの爆速特急「はくたか」亡き後の北越急行線最速達種別であり、列車種別の副題ではありますが”スノーラビット”の名前を継ぐ由緒正しい(?)列車です。
それが、無くなる……?
は?マジで?いやこれは乗っとかにゃアカンやろ!ということで、乗りに行こう!という話で脳内会議がまとまりました。
「はくたか」がなくなった時(=2015年3月14日、北陸新幹線金沢延伸時)の前後は乗りに行けなかったんですよね、ブラック企業勤めで……
脳内会議がまとまると話は早くて「年始の休みに、同日ダイヤ改正で無くなる列車も含めて2泊3日くらいで回ってくるのが宜しかろう」という答申が出たのですが、年末年始に帰省した実家でJTB時刻表見ながら唸ってたら……
実弟「何、新潟行くの?ほくほく線乗る?ワシも行きたい。車出そうか」
ぼく「なんやて???????」
はい、ピンポイント巡検決定~~~~!!!
趣味嗜好が似通った親族がいるとクソ楽なんだなあこれが……
超スピードで乗り込み手段が決まったのでありました。
<巡検前日 2023.01.02.>
実家は愛知県の山奥、クソミドリ市森だらけ大字田舎っぺ字ドイナカ1番地にあるのですが、こっから新潟県は上越市、ほくほく線始発駅のある直江津まで行くっつうのはだいぶ骨の折れる話です。
ひたすら酷道国道151号 or 国道153号を走って長野県に抜けて、そこから三遠南信道~中央道~長野道~上信越道と本州を縦断しなけりゃなりません。
大変に面倒くさい。
前日から出にゃ何ともならんなあ……と思っていたら、弟が1月2日の夕方に副業で面倒な行事を抱えているとのことで、行事終わりにそのまま行っちゃうことにしました。
21時ごろにその”面倒な行事”が無事終わり、弟の運転で出発進行。
夜の国道151号をひたすらかっ飛ばして三遠南信道 天竜峡ICへ、そこから飯田山本ICで中央道に流入し、順調にすっ飛ばして岡谷JCTから長野道に流入、みどり湖PAで小休止して運転手交代、更に長野道を北上します。
更埴JCTあたりから雪規制が入っていましたが、そんな感じは露ほどもなかったんですよね……
でも怖いね、信州中野IC(だったかな?)過ぎて数本トンネル抜けたらこれ。
後でもサラッと書く予定ですが、この巡検やった1月2日~1月6日あたりはクソほど雪が降ったらしいんですよね、北信越周辺。
何でそんな日に巡検やろうぜ!って言ったんだか……
上越市内手前まで道路が上写真みたいな状況で、割と肝を冷やしましたが何とか市内に到達。
コンビニに入れて車の前を見たら雪でグリル真っ白けでやんの。
この時点で、日が変わった午前1時15分。
愛知県を21時に出てこれなら割と頑張った方ですかね。
本当は市内の快活CLUBで仮眠する予定だったのですが、鍵付き個室の空席照会をしたら無念の満席。
新年から暇人ばっかだな……と思いつつ、事前にアタリを付けておいた直江津駅近くのホテルアルファーワンに電話して部屋を確保。
仮眠して明日(今日)に備えます。
<巡検当日 2023.01.03.>
当日も雨交じりの雪&霰模様。
テンションの下がる天候だなあ……と言いながら、ホテルをチェックアウトしてコンビニで朝メシ調達、そのまま直江津駅へ。
ほくほく線乗り放題の「ほくほくワンデーパス」と、直江津~犀潟間の切符を買って構内に入ります。
案内に従ってホームに降りると、いました!
直江津7時10分発、普通越後湯沢行き825Mです。
電車でGO!でアホほどプレイしたHK100形の実車です、思わずテンションが上がります。
「あれ?ちょっと待て、キミ超快速乗るっつってなかったか?」となった方は記憶力が大変ようございます。
ついでに言うと超快速は現在下り1本のみ、越後湯沢からしか出てません。
じゃあ何でお前直江津から乗るんだ?というと、これには理由があって……
端的に言うね?天才。
Twitterで、経験のあるフォロワー氏から貴重なアドバイスをもらっていたのでした。
確かに越後湯沢からだと、同目的のオタクで座席の取り合いになるのは火を見るよりも明らかですし、なにより遠い。車で越後湯沢はキツい。
……ってワケで、大人しく直江津から乗ります。
この日はHK100-2+HK100-9の2両編成。
後ろの車両、HK100-9は「ゆめぞらII」と言って、車両内の天井にプラネタリウムみたいなのが上映できるスペシャルマシンです。
ほくほく線は建設の経緯上、長大トンネルが路線の大半を占めてて「ほくほく地下鉄か!」って状態なので、車窓を楽しめないなら……ということでこんな車両が出来たらしいです。
(保護者の方へ:このあたりの説明はだいぶ適当です。詳細は北越急行(株)より発売されている「ほくほく博士」P.13をご覧ください)
まあ早い話が「イベント列車用のちょっといいヤツだよ」ってことで、車内が割と豪華なんですこれが。
車内が全部転換クロスシート!さすがイベント車両!
中京圏では見慣れた装備ですが、やっぱり進行方向に座席向けられるだけでテンション上がるんですね。
北越急行には4両いるらしいですが、その内の1両を引き当てました。
これが後ろにいるということは、帰りの「超快速」ではこちら側が前!
当然のごとく、一番後ろの助士側をボックスに転換して押さえました。
そんな感じで、色々わちゃわちゃしてたら7時10分。直江津を出発します。
直江津~黒井~犀潟間の10分弱は、JR信越本線を走ります。
犀潟駅に到着したら、いよいよほくほく線へ。高度を上げるとすぐに高架線に接続します。
電車でGO!で見たペラッペラの高架線だ!!!つーて再度テンションが上がります。テンションゲージ天井なしか????
場所的にはこのあたり。
……えー、ここで大変お恥ずかしい話をしますが、テンション爆上がりで40分ほどわちゃわちゃした結果、魚沼丘陵あたりまで写真を撮っていません!
撮影時間と時刻表をすり合わせたら、だいたいそこら辺まで写真撮ってなかったんですよね、トンネルだらけとはいえ何やってんだか……
とりあえず、撮影したところまでワープします。
ほくほく線は山塊を長大トンネルでブチ抜くわけですが、市町村境の長い長いトンネルを抜けたら一面の銀世界でしこたま驚きました。
そりゃ山2つ3つ越えりゃ気候だって違ってくるわな。
本当に一面の銀世界なんですよね、主要な道路や生活道路しか除雪されてないから、そこにあるのが田んぼなのか畑なのか分かりゃしねえ。
事前に航空写真読みこんどかないと判別できません。
魚沼丘陵から先はずっと↓こんな感じ↓でした。
魚沼丘陵の次は六日町、ここからJR上越線に入ります。
ただひたすらに真っ白な世界を突き進んでいく電車。
ここで更に経験したことのない事象が起きました。
窓に垂れてきた水滴が目の前で凍り始めた。外どれだけ寒いんだ。
六日町を出ると、上越線内は塩沢に止まったらあとは越後湯沢までの全駅を通過とあって、いい感じでカッ飛ばしていたからだと思うのですが……それにしても外気温が心配になりますね、水滴が凍るって。
越後湯沢に到着です。
直江津を7時10分に出た普通825M。
越後湯沢に8時30分に到着すると、44分の折り返し時間をもって9時14分発の超快速3830M新井行きとなります。
折り返し待ちのこの間に、弟に荷物見ててとお願いして、精算所に行って上越線六日町→越後湯沢間の精算を行い、改札ラッチ外へ。
券売機で越後湯沢→六日町間の切符を買ってホームに戻ります。
すると、来るときには気づかなかったこんな掲示が。
アア~~~~~~運転見合わせ予告~~~~~!!!!!
だがしかし16時から!その時間にはすでに脱出している!!勝ったな。
…..これ、マジで幸運だったようです。だってこの後がこれだもん。
普段温暖な地域に棲息している人間にしてみたら「うげぇ……なんだこりゃ…...」ですよ、こんなの。
自然に対してあまりにも無力。無力。無力……
これだけ過酷な地域で走ってる電車、すごいなあ……
いやまあ、無論、出来る限りの対策はしてあるわけなんですが。
スプリンクラーとか流雪溝とかパネルヒーターとか温水ジェットとか……
ここら辺は北越急行公式サイトや、前述の「ほくほく博士」に詳細がありますので、理解を深めるためにもぜひ読んで頂ければと思います。
……そういった対策の中でも面白いなと思ったのが、これ。
餅焼き網。
いや、餅焼き網ちゃいますけどね。公式にはプロテクターだそうですが。
上の画像よく見てもらうと、電柱に雪積もってるじゃないですか。
ああいうのが走行中に落っこちてきて窓ガラスと衝突、ガラス割っちゃうと大変なんでついてるものです。
また、直接走行には関係ないですが、こんなものも……
車内に雪を持ち込まないために、大きめのドアマットが各ドアに1枚ずつ備えられています。
これは一般用車両もイベント用車両も同じ。北越急行社員のアイデアで、冬季に設置されているそうです(「ほくほく博士」P.99に記載があります)。
上記のような資料写真とか撮ったり、弟のきっぷ精算&土産購入を待ったりしながら、折り返し待ちの時間を潰します。
この待ちの間に、上越線の普通1729M長岡行きを先に通しますが、もうえらい雪で大変ですわね。
線路が見えないような雪の中でも、そんな遅れず普通に走ってくるんだよなあ……雪国の電車……
愛知なんて、ちょっと雪が降っただけでクッシャクシャですからね。
比較したところでどうしようもないのは分かってはいますが……
ほいで、見てると上越線の電車に乗るお客さん多いのね。
新幹線からの乗換駅って理由もあるかもしれないけども……
2両編成の車内に満遍なく立客が出るくらい乗っけて、大雪の中を発車していきました。
……それはそうと、E129系の新潟色っておいしそうな色してるよね。ちらし寿司みたいでさ。
アホなこと考えてるうちに、超快速スノーラビットの発車時刻が近づいてきました。
発車までの40分ちょいに同じ目的のオタクがちょっとずつ乗り込んでおり、1号車HK100-9は転クロということもあってほぼ満席。
座席1区画1オタク、所により2オタクくらいが標準になっておりました。
9時14分、超快速スノーラビット新井行きの出発です。
まずは六日町に向かって走ってゆきます。
途中、東京電力石打線の(だと思われる)送電鉄塔と並走しますが、見事に雪まみれ。
こんなんスノーシューがあっても撮りにこれないわね……雪中行軍勢、一体どうなってるんだ……
六日町手前で少し晴れ間が見えましたが、窓がびしょ濡れで勝手にエフェクト掛けたような状態でうまく撮影できず。
送電鉄塔だけは形が分かる程度に抜けてますね……
9時30分、六日町着。
写真、多分六日町なんですがねえ……Google Map先生には、背景の建物無いのよ……
窓も半分シャーベットになってしまっているため、よくわかりません。
ここから上越線と別れてほくほく線へ。
途中の魚沼丘陵・美佐島・しんざをスッ飛ばして十日町へ。
この区間は大体がトンネルですんで、スルスルと滑るように走っていきます。
それにしても乗り心地いいな。
「ほくほく博士」に書いてあった通りだな!
トンネル内で美佐島は気づかず。
トンネルを抜けるとすぐにしんざ、大カーブを曲がると十日町です。
このカーブを抜けている最中に古めな送電線とクロスしまして。
Google Mapで調べたところJR東日本の千手-上長崎線だそうです。
あーーーーーーー千手水力!!!!!気づかなかった!!!!!悔し~~~~~い!!!!!キレそう!!!!!
いやキレてないです……よくあるんですよね、こういうの……
事後データ整理で特大級の見落としが出るやつ……
千手水力発電所自体が昭和14年運転開始とのことで、後ろの鉄塔も昭和2桁前半勢でしょう、多分……
一人で地図見て静かにキレ散らかしてたら、いつの間にか十日町駅を発車していました。
これは本当。弟は呆れた目で見ています。いつものことなので。
電車はまつだいに向かって走っていきます。
上の写真、場所的にはたぶんこのあたりでしょう。
航空写真に切り替えるとよくわかります。
信濃川橋梁を渡るとすぐトンネル。
薬師峠トンネルと言って、全長6199mと線内3番目の長さを誇るトンネルらしいです(1位は魚沼丘陵~しんざ間の赤倉トンネル/10471m、2位はまつだい~ほくほく大島間の鍋立山トンネル/9129m)。
それにしても3位まで5km越えのトンネルっていったい何なんだか。
3本合わせると25kmありますからね、中央道恵那山トンネル約3本分ですよ!!!(???)
薬師峠トンネルを抜けると、まつだい駅に到着です。
珍しく右側通行なんすね……と思いましたが、これただ単純に対向がいない場合は本屋側に入れてるだけか?
ただ分岐器は本屋側が本線になってます。
まつだい駅発車直前に、オタクたちが車内で前方の見える位置を陣取り始めます。
かくいう自分もそう。
ここから先に、日本国内でも屈指の難工事だと言われた「鍋立山トンネル(なべたちやま-)」があるからなんですね!!!!!
詳しい話は自分が解説するよりこのサイトを読んで頂く方が格段にわかりやすいかと思います。
ざっくり言ってしまうと超ウルトラスーパー難工事のトンネルで、なんでかってーと(後で判明したけど)火山の真ん中貫通させてんだよなあこれ!そりゃ難工事に決まってるぜ!!っていう、だいぶオタク好みのトンネルです。
残念ながら、電車に乗ってるだけだとこんな写真しか撮れなかったので、次はまつだいとほくほく大島で下車して写真を撮りたいと思います。
まつだいを出ると虫川大杉、直江津と止まるのですが、ここも一人静かに騒ぎ立てていたので写真を撮影せず。お前ホント何やってんだ。
直江津でオタクの大半を降ろした超快速、ここからは普通2324Mに化けて、えちごトキめき鉄道の新井駅を目指します。
途中の高田駅では何やら古臭い電車とすれ違いましたよ。
国鉄色の413/455が走っとるなんて知らなんだけど!!!
しかも団体商品じゃなくて普通に乗れるやつかい!!!
うわ~~~~~!!乗りてェ~~~~~~~~!!!
……いや、でもスノーラビット乗りに来たのでね、今日はね。
普通電車に化けたので、ちょっと前までの飛ばし具合はどこへやら。
小駅でこまめに停まって、10時41分新井着。
約1時間30分の旅が終わりました。
超快速に乗るだけなら、何も新井まで来なくていいのでは?
最初はそう思ったのですが、よくよく調べていくと、このトキ鉄乗り入れ自体も3月17日で終了するそうで……
そういう話を聞いてしまうと、全区間乗りたくなるのがオタクというもの。
なんも考えずに太平洋側から日本海側まで来てしまいましたが、無事に全区間乗り通すことが出来ました。
さてここからは消化試合。
直江津までゆっくり戻りましょうかね。
まだ乗っていなかったHK100形一般車の方に移り、ありすさんとゆっくり車窓を楽しみます。
弟はところどころ爆睡していました。確か。
途中で天候が少々回復し、車窓に虹を見ることが出来ました。
今日は「ゆめぞらII」が連結されているのも何かの縁か。
最後の最後でありがたい車窓になりました。
11時29分、直江津着。
7時10分に出発してから4時間と19分、また直江津に帰ってきました。
これにて北越急行線巡検は終了!お疲れさまでした!!
おうちに帰るのは端折ります。もうこの時点で8000字近くあるもん。
読んでくれた方も、お疲れさまでした。
<まとめ>
北越急行線、想像通りめちゃ面白かったですね。
事前に「ほくほく博士」や「TechnoTresure 第14章」をある程度読み込んでから巡検に向かいましたが、いやあ、充分見切れなかった……
まあね、そりゃあ「たった1往復だけで全部見切れるわけがないよ」って話ですよ。当然です。
自分のホーム(???)である黒部峡谷鉄道だって何往復乗ったことか、それでもまだ見切れてないところはたくさんあります。
できれば、超快速がなくなる前にもう一度、あとは今年の夏あたりにも再訪したいですね。
以上、北越急行線巡検報告でした。
◆あとがき◆
割とストレートにまとまるかな~~~?と思ったら全然ストレートにまとまらなんだです。
記事1本書くのにヒイコラ言いながら構成考えて文章こねて……
いや、今別件で同人誌(身内向け旅行ガイド本)書いてんですけど、それとはまた違った大変さがありますね……
とりあえず初の増刊号は無事(?)世に出ました。
あとはどれだけやる気が続くか……
碧海急行電鉄 社内報「翠然而火」第1巻 第2号 通巻2号
2023年1月15日発行