【展覧会】2024イタリア・ボローニャ国際絵本原画展@西宮市大谷記念美術館
毎年楽しみにしているボローニャ展が今年もやってきました。
毎年春先にイタリアのボローニャで開催されている絵本ブックフェアのプログラムのひとつとして絵本にする原画コンテストがイラストレーターの為に行われており、その受賞者の作品が4か国で巡回されているのが「ボローニャ国際絵本原画展」です。
ボローニャはヨーロッパ最古の大学とされるボローニャ大学があるところで中世の美しい街並みが見られるところです。イタリアの中でも特にここはタイムスリップしたような感覚になります。
私は20数年前に市内に観光で行ったのと、7、8年前に仕事で別の展示会の為にこのブックフェアが行われている展示会場へ行ったことがあるのですが、展示会場は街から離れた少し辺鄙なところにあります。
ボローニャといえば、パスタのボロネーゼ発祥の地です。本場のボロネーゼはお肉たっぷりで日本で食べる味とはかなり違いましたよ^^
ボローニャ国際絵本原画展の見どころと言えば、なんといっても様々な国の気鋭イラストレーターさん達の原画が一同に鑑賞できる点です。
今年は32の国と地域、78名の入賞者の作品を鑑賞することができます。
コロナ禍以降、オンラインでのエントリーが可能になりそれまで参加が難しかった国の作家さん達も応募が増えているということで10年前と比べるとだいぶ入賞イラストレーターさん達の国籍が変わって来たなという印象です。
また同時に、以前は国によって配色や絵のタッチなどにとても特色があったのですが、一見するだけではどこの国の作家さんかわからないぐらいボーダレスな表現をする方々が増えたように思いました。SNSの発達で国問わず様々な作家さんにアクセスできたり、デジタルをはじめ創作ツールのバリエーションが増えることにより、広い目で世界を見て自身の作品に反映させることが出来ているのかなと思いました。
ここ数年中国の児童書出版業界が活発だそうで、中国のイラストレーターさんの多彩な表現にとても驚きました。
それからほんの数年前はデジタルメディア作品が多かったのが、デジタルに手描きで手を加えたものが多くなり、自己表現をデジタルだけに頼らない風潮が生まれているのかなと思いました。
ボローニャ展の図録にはコンテスト審査員の視点が掲載されていてとても興味深い話をされているので、たくさんのイラストレーターさん達に読んで貰えたらいいなあと思います。今回は最近問題とされている生成AIとどう向き合うのかという点なども記載されていました。
イラストレーターが置かれている環境、児童書出版業界の立ち位置、こうしたものがここ数年でとても変わって来ましたよね。
なんだか最近
世の中に多くのモノが溢れていて、色んなモノにスマホ一つでアクセスすることが簡単になって、本当にステキな作品にわくわくしたりときめいたりすることが難しくなった気がするのは気のせいかな。私が歳を取ったせいなのかな。
それでも毎年この展覧会で作家さん達の原画作品が見られることは本当に嬉しいです。
入賞作品は各作家5点で一組の作品ですが、図録には作品全てが網羅されているわけではないので展示は是非じっくりご覧になることをおすすめします。
私はこの展覧会を通して過去にお気に入りの作家さんを見つました。Nicoletta Ceccoliさん、Philip Giordanoさん。
チェッコリさんは今や大人気クリエイターで個展をしたり立体を制作されたりしています。多数の絵本はもちろん作品集も出版されています。(洋書です)
ジョルダーノさんはボローニャ展でSM出版賞が創設されたときの初代受賞者で日本のかぐや姫の話を描いた作品を絵本にしました。
彼が東京を拠点にされていた時作品展でお会いして版画を購入。いやあ、あれは震災前のコトだからもう13年ぐらい前になるのかな。
作品は今も家に飾ってあります。
今回はMark Janssenさん、Guilherme Karstenさん、Carly Gledhillさんの作品がいいなあと思いました。
カルステンさんとグレディルさんは会場でポストカードになっていました。会場で購入したのはあとは日本の入賞者、小野寺美帆さんのミニzine。ボローニャブックフェア参加の体験記を漫画にされていて興味深かったです。
今回訪れた西宮市大谷美術館は公立ではないので休館日が月曜ではなく水曜日です。ご注意ください。
それから大谷美術館に行くもう一つの楽しみはこれ。
チケット売り場の右横を抜けると庭になっていて、そこに岡本太郎さんのオブジェがあります。青山の岡本太郎記念館の庭にある作品と同じデザインのブロンズ像です。あまり知られてないかもしれませんので是非見てほしいです。
日本でのボローニャ展巡回は東京の板橋区立美術館が終了し、ここ西宮市大谷美術館では10月14日まで開催しています。
会期も長いので是非足を運んでみて下さい。