片付けられない家に巣食う『もったいないおばけ』
『もったいないおばけ』って、日本の妖怪なんだって。
昔は食べ物を粗末にする場所に現れた『もったいないおばけ』。
でも私は、現在の『もったいないおばけ』は『モノ』に埋もれた居住空間に現れるのではと思っている。
居住空間って、家賃だったり、住宅ローンだったり、固定資産税だったりと、すごくお金がかかっている場所。
人が暮らす上でとても大切な場所。
ご飯を食べたり眠ったり憩ったり…。どんな居住空間に身を置いているかで、健康状態や精神状態まで左右される。
居住空間の状態によって夫婦関係が険悪になったり、子供の心が病んだりする事だってあるだろう。
『モノ』を使いこなすどころか、『モノ』に占領されていく現代。人のための空間は『モノ』のための空間となる。
もっともっとと『モノ』を置き、その『モノ』を片付けるための『モノ』を買う。
最終的にはそれらを処分するために誰かが大金を払うのだろう。
『モノ』に蝕まれ、誰かは病み、誰かは去っていく。
なのになぜ、『モノ』に執着するのか。
『モノ』はもったいないのに、自分や家族はもったいなくないのか?
『モノ』に埋め尽くされた居住空間から「もったいねぇ」「もったいねぇ」と言ううめき声が聞こえるのは私だけだろうか。
それに、恐ろしいのは『もったいないおばけ』ではなく『物欲に操られる人間』なのでは?
いつになったら、めでたしめでたしは訪れるのかな。