四谷美談札幌公演[注意:ネタバレあり]

今回のnoteは今作のネタバレが含まれているので大阪公演を観られる方はバックお願いします。

10数年前、四谷美談の初演を観てめっちゃ好きな舞台だと思った。基本yhsの芝居はコメディが多く、たまにシリアスがあってもその中にコメディ要素は必ず入っている。この四谷美談もちょっとだけそういう場面があるんだけど、今まではそのちょっと入るコメディ要素を担当する事が多かった。シリアス部門の代表作「しんじゃうおへや」にも参加していなかったこともあり、シリアスオンリーの役はほぼ未経験と言ってもいいくらいだった。

でも僕は人知れず思っていた。「俺、結構シリアスもやれると思うんだけどな…」って笑 初演を観て以来、お風呂場や車で伊右衛門や与茂七の真似をしたりもした。稽古にかけられる時間の事もあって飛び道具的に場を掻き回す事が多かったが、今回四谷をやると聞いて「絶対宅悦の役がやりたい」と南参さんに直訴して「あぁ、いいかもね」と返事を貰いほくほくしていた。

前のnoteで書いた通りやってみるとかなり苦戦したが、最終的には周りの人に手助けしてもらってそれなりの形に持っていく事ができた。劇場入ってからグッと良くなったよねと言ってもらって嬉しかったな。

自分である程度納得できるところまで作れて、観劇していただいたお客さんや昔の演劇仲間にも凄くよかったよと声かけてもらって「あー、この大好きな芝居を作る一員になれて良かったな」て思った。ただ、凄くカッコいいお芝居だからオススメだよ!って周りに言ってたけど結構演劇慣れしている人向けだったかもなって思った。コメディの方がわかりやすいし単純に笑えるもんな。

今回特に拘ったのは「立ち姿」と「声」だ。芝居は色んな要素があるけどやっぱ「立ち姿」は一番目に付く所だし、めくらの役という事でどこか異質な部分を見せられたらと思案した。演技力については全く専門分野ではないしもっと上手な人たちはたくさんいるけど、「姿勢」という部分だけで考えればたぶん僕のほうが考えてきた時間は長いだろう。そこを活かそうと思った。

それと前回「トライアル」で丹治に演出をかけてもらった時に「案外考えている事って声に出さなくても伝わりますよ」って言われて、ようし、精一杯考えるぞーって。怒っているシーンで宅悦の気持ちを想像して身体の内部を動かしたり力を入れたりした。すると声にも説得力がでた気がする。観てた人にそういうとこの感想も聞きたいなー。後ろ姿で何か伝えられたかとか。

その「声」ね。「声」は普段まったく出した事ない声でやってたな。あんなにのんびり喋ることないしな笑 僕の中で宅悦はかなりの不気味キャラだったのでああいう「ぬぉー」みたいな感じになったんだけどどうだったかな。昔から知ってる声楽やってる友達のお母さんが「やっぱりあなた達大人の声がいいわね」って言ってくれた。若い子たちは凄く通る声で声量も凄くてそれは敵わないからこっちは「味」で勝負しようと思った。

歳とって多少円熟味を増してきたんじゃないかと思っているのと、その役のその時思っている事、感情を元に出していたから説得力も出たしストレス無くそこにいられたんじゃないかなと思っている。ここも聞きたいなやっぱ。今回の一番の見せ場は「祝」とのシーンで「伊右衛門様が殺すなど決して…決してございません!」という台詞だった、というか、結果的になったのだが、劇場入ってからノリノリになっていた宅悦から自然と出た声だった。

「祝」役の曽我ちゃんも「あんな風に言われたら、そうなのかなー」って思ったって言ってくれたし、舞台裏で聞いてる「梅」役の岡田怜奈ちゃんも「あれで気が締まるっす」って言ってくれてね。若い子たちも褒めてくれて「次の芝居もそんなシーンないかなー」ってもう思っていた笑

それと諸々の動きだが、濃いめのサングラスをしていたので目を開けていても良かったのかも知れないがほぼ目を瞑っていた。練習の時に大苦戦したのだが、見えてるとつい目に頼って顔があがっちゃうのだ。これを能登くんにみっちり見てもらって練習した。本番用のサングラスで練習を始めたあたりから少し慣れてなんとかなった様に思う。

本人が言ってたが、能登くんもまたプレッシャーに耐えていたのだと言う。小林エレキが演じた役をやるってそういうことだよな。でもそんな素ぶり一切見せないんだよこの人。めっちゃメンタル強者。「言ってもしゃーないじゃん」って。すご。俺は無理だ。そんな中で周りに気を遣ったり演技指導してくれてこの人がいなかったらこんな芝居にならなかったよ絶対。

「トライアル」も楽しかったけど今回もいい座組だったな。みんなで一丸となって作ったお芝居。はー、大阪公演も楽しみだ。最後は写真を並べて置きます。

民谷伊右衛門/能登英輔
佐藤与茂七/佐藤亮太
祝/曽我夕子
彩吹紬/小西麻里菜
喜依/青木玖璃子
槙/小島彩歌
宅悦/小原アルト
梅/岡田怜奈
看護師/長澤ニコ
従業員/宮下諒平
看護師/てん
担当医/向山康貴
直助/増田駿亮
冒頭
ラスト
かっけー
あーもう
しびれる
絵になるなぁ

最後まで読んでくれてありがと!またね。次は大阪で。

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小原アルト
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