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紅蓮の剣姫は同好会の日常を描いた作品です

この記事の意義は、記事タイトルに書いた事を知らしめるためにあります。
結構色んな所で「作中の『紅蓮の剣姫』を描いた異能力バトル物じゃないの?」とか「レジェンドオブニジガクみたいなやつでしょ」みたいなのを見かけたので、違うよ!というのを知って欲しいと思ってます。
この作品はアニメ虹ヶ咲第二期と時空を同じとしていて、13人の日常が描かれています。

なので上記のように思っていた人も、そうでない人も今すぐ書店に行きましょう。電子もあります。とりあえず以下のリンクにあらすじも書いてあります。

ちなみにゲーマーズで買うと8P分の短編も付いてきます。もし興味があればそちらへ(どんな内容か気になる方は後程のネタバレあり感想の二行目で軽く触れます)。

以下、せっかくなのでネタバレなしとネタバレありの感想をそれぞれ書きます。
急ぎ書いているため粗には目をつぶって頂き……。


感想(ネタバレなし)

最高でした。五回は泣いた。

まず文章から著者の五十嵐先生の虹ヶ咲に対する理解度、解像度が尋常ではない事が分かります。これはアニメ虹ヶ咲だけでなく、他の媒体も履修されている……!
よって、本文中にそんな他媒体の知っていると気が付けるネタがちょこちょこと出てきます。アニガサキを見ている時と同じですね。
つまりアニガサキの雰囲気をそのままに感じながら読むことが出来ます。

スポットライトはせつ菜があたる割合が大きいものの、主人公!という程にそれが割かれている訳ではないです。
ちょうどアニガサキ個人回ぐらいの感覚でしょうか。
13人それぞれに視点と心理描写が用意されています。小説だからこそ描けたであろう矢印を沢山見てとる事ができます。良いです。

挿絵も素晴らしいです。本文中でそれぞれが過ごした、まさに日常のゆったりとした雰囲気と本当に合っています。
第一話の挿絵が特に好きです。そして第六話の挿絵で天を仰ぎました。
相模さん、いつもTwitterでイラストをお見掛けしております。いつもとそして今回も、ありがとうございます。

時間軸とか本文中のメンバーの出番の割り振りなんかも一応ネタバレ要素かな?と思うのでここでは触れないでおきます。

総じて、アニメ虹ヶ咲の時空が好きな人は読むことを強くオススメします。


【注意!】感想(ネタバレあり)

ということでここから先はネタバレありです。

上でもちらりと書いたので触れると、ゲーマーズの特典にまずQ4がメインでしたね。かすみんがとってもかすみん。


と言う事で改めて。

いやまじで恐れ入りました……。
途中から「こういうのでいいんだよ」、から「こんな良いものを読ませていただいてありがとうございます」になりました。

私自身せつ菜推しと言う事もあり、にじたび愛知公演の現地で発表があった時から楽しみにしていましたが、期待のハードルを高々と飛び越えられました。

時期的には、アニメ二期11話と12話の間の出来事ですかね。ファーストライブの準備もある、という描写もありましたし。

本文における、そしてせつ菜が今作で抱えるテーマは「限られた時間の中で輝くスクールアイドル」というラブライブシリーズが共通で持つテーマに真摯に向き合っていて素晴らしかったと思います。
「優木せつ菜」がスクールアイドルとしての姿、であるという所が凄く活かされている。
後にも触れますが、果林でも違う側面から同じテーマに迫っていましたね。こちらもいや本当に……。

本編中盤はユニットごとの構成になっていましたが、R3BIRTHパートが特に良かった。
誇張なく、ランジュ、栞子、ミアの「約束」の独白で一回ずつ泣きました。
そして「生まれ変われたんだ」の文章でまた最後に泣きました。もうこれR3BIRTH回じゃん……映像化してくれ。タコパと枕投げを見せろ。
ホラーを怖がるミアちゃんかわいいね。

DiverDivaパートは完全に私事なんですけど……酉の市が舞台になっていましたが、あれ私の以前の勤務地の程近くで行われており、実際に行ってみた事もあります。
なので風景や雰囲気が本当に分かり、余計に感動してしまいました。
果林パイセンほんと……愛の事を慮ってしまうそういうところ……。
演技への意欲を見せる場面は、二期の最終回でしずくに話を持ち掛ける所と繋がりますね。いやちゃんと拾ってくるなーと素直に関心してしまいました。
あとは『祭花』がちゃんと拾われていたりとか、人々との距離が特に近いライブはやはり愛ならではだなとか。

A・ZU・NAパートは……歩夢→せつ菜の矢印で心のガッツポーズが出ました。
歩夢からのせつ菜評。コツコツ系スクールアイドルが、せつ菜の事を人一倍の努力をしているという。
そして大好きを語るせつ菜が大好きという……。本当にありがとうございました。
元々歩夢は一期1話にてせつ菜の事を「自分をあんなに表現できるなんて」と言っていたのもあって。いやー……。
しずくは推しカプたるぽむせつにゃんにゃんを至近距離で摂取してよく平静を保っていられるな。お二人とも素晴らしいです……!みたいな事は言っていたけど。
彼女についても、一期8話、二期5話で描かれた心情から、A・ZU・NAに対する思い入れが綴られています。
そして最後、あゆみゃんが暴露された後の侑の運命やいかに。

QU4RTZパートはショートライブの描写が良かったですね。
ミチノサキのアコースティックバージョン、どこかで披露されないかな、
QU4RTZは特に旧同好会時代のメンバーが多く、それぞれがせつ菜に対してどのような思いを持っているのか、これが描かれていて良かったですね。
かすみのタイプが全然違うのにこんなに好きにさせるなんてズルい、ってまたとんでもないせつかすを……。そしてだからこそ今の同好会の形があり、その部長がかすみなんですよね。
個人的にとても嬉しかったのは、エマが旧同好会の五人の時代も楽しい思い出だと振り返っていた所。
スイスから飛び出してきたエマは相応に真剣な思いでスクールアイドルに向き合っていたはずで、せつ菜の方針は行き過ぎな部分はあったけれども、付いていきたいという思いが確かにあったのではないでしょうか。

そして……ゆうせつ。
第六話の挿絵でまず覚悟を決めました。これはにじよん12話放送日に公式が場面写を上げた時と同じ感覚。
やっぱり、侑が語るせつ菜へのときめきは本当に説得力があって、忘れる訳がない、はそりゃあそうだよなとなるんですよね。
侑はあの出会いで人生を、具体的な事柄で言えば進路を変えている訳ですから。
そこからみんなが集まる流れ、虹ヶ咲だあああああとなりました。でもLoveUまで歌い出した時はにじよん12話の再放送か!となっちゃいましたけど。
でも生徒会長引継ぎがアニメでさらりと済んでいた所、節目を描いてくれたのは嬉しかったですね!

最後の最後の屋上のシーンはもうボーナスステージです。何も言う事はありません。嘘ですあります。本当にありがとうございました。

この項目の最初にも書きましたが、「スクールアイドルとしての名前である優木せつ菜」。
それを作中作の『紅蓮の剣姫』のクライマックスである「皆の記憶から消える」を掛け合わせ、上手く「限られた時間の中でこそのスクールアイドル」、という要素を描き切って頂いたと思いました。

そして、拾われているアニメにじよんの要素からして執筆時期を考えると、我々の世界の「優木せつ菜」へのメッセージも込められていると私は感じました。
「灯」と「熾火」のワードは、選んで使っているものでしょう。
私は虹ヶ咲というコンテンツへの応援を贈って頂いたものと受け取っています。
結果として、小説版としてアニメ時空の枠を超えた強いリンクを持つ作品になっています。


という訳でネタバレありの感想でした。
いやーでも本当に良かったです。あっという間だったし、良いものを読ませて頂きました。
後でまた気づいた事とかあったら書き足すかもしれないけど、今はこの辺りで。

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