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国際機関で働く意味 #おすすめの本⑤
こんにちは!ARUN Seed でインターン生として去年の8月から働いてます、関壮一朗です。現在は大学院で国際協力を専攻しており、着々と迫ってくる修士論文の締め切り日に焦りを感じています。高校生の頃から新興国の支援に興味があり、United Nations (UN) などの国際機関も憧れの職業でした。そこで、私が今回おすすめの本として選んだのは、UNHCRの高等弁務官を務めた緒方貞子さんの人生が綴られている「難民に希望の光を、真の国際人、緒方貞子の生き方」です。
難民の定義を変えた女性の人生
概要
本書は緒方さんの秘書を務め、長年に渡ってUNHCRで共に働いた中村恵さんが執筆されています。この本が発行された2020年の難民の数は8,000万人。私がこのノートを書いている2022年9月現在ではその数が更に増え、1億人を超えていると推定されています。国連には難民の支援に特化した機関、UNHCR (国連難民高等弁務官) が存在し、故郷を追われた人々の援助を行なっています。緒方さんはこの機関の最高弁務官として1991~2000の間就任し、数多くの国で難民に寄り添いながら難民問題の解決策を探りました。緒方さんが残した大きな実績としてあげられるのは、難民の定義を変えたことです。それまでの難民の定義は、国から迫害され他国に逃れた人たちのことを指していました。すなわち、国内難民は援助の対象に入らなかったのです。緒方さん自らの足で現場をまわり、最も援助が必要な人たちが国内に取り残されていることを主張しました。その結果、国内難民も援助の対象に含まれたのです。
現場に行くことが国連で働く意義
国連には二種類あると緒方さんは考えていました。一つはニューヨークの本部で政策などを考える動かない国連。もう一つは現場で変化を実現しようとしている動く国連です。緒方さんは後者の重要性を認識しており、難民が発生した地域に絶え間なく足を運んでいました。
現場で人々と関わる意義は二つあります。まず、現状を理解することで真の問題を突き止め、解決につなげることができます。実際緒方さんも現場で国内難民の存在を認識し、彼らを援助の対象に含めることで多くの命を救っています。二つ目は、難民に希望を与えることです。現地の人に寄り添うことで国際社会が彼らのことを見捨ててないというメッセージを伝え、心の支えになることこそが国連の重要な役割なのです。UNHCRはこれを "Protection by Presence"(存在することによる保護)と呼んでいるらしいです。私は後者の方を考えたことがなかったので、大事な点に気づかされました。
感想
緒方さんは2019年に死去されましたが、人生をかけて取り組んだ難民問題は悪化するばかりです。これだけを考えると、国連で働いても根本的な問題は解決できず、真の解決策につながらないと考える人もいるかと思います。私自身も問題の根源を解決できない国連の存在意義を疑うようになり、志望度が薄れていました。しかし、本書で新たに見えたのは、現場に出向いて人々に希望を与える職員の姿です。このことから、どこで働こうと現場主義であることの重要性を教訓として得ました。私は4月から社会人になりますが、現場の実態を把握するべく緒方さんのように現地を積極的に訪問したいと思いました。
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