東京大学大学院 農学生命科学研究科 応用生命化学・工学専攻 院試合格 体験記
はじめに
このnoteは、私が東大の大学院 (農学生命科学研究科)に合格した時の体験記です。
このブログを書いた目的は、受験生(特に外部生)の皆さんが院試の情報を収集する際の助けになりたいと思ったからです。
私が東大院の受験を決めた時、ネットやSNSで試験についてありとあらゆる検索をしましたが、農学系の情報が全くといっていいほど無くてとても不安になりました。多分これを読んでる方の中にも同じ事を感じてる人が少なからずいるんじゃないかと思います。ですので、これから東大農学部の院試を受ける人に少しでも情報が行き届いたら良いなと思ってnoteを書きました、良かったら参考にしてください。
またこのブログを読んでさらに聞きたいことがあればTwitterで質問等受け付けていますので、是非気軽に送って下さい!
私の経歴
いわゆるFラン大学生。生物学専攻。
受験を決めた経緯
→学部での研究に将来性が感じられなかったから。
これが一番の理由です。学部の研究室配属は成績順だったのですが、私は普通に成績が悪かったので希望が通らず第2志望の研究室に配属されました。(笑)そこで与えられたテーマは、超ニッチで基礎研究中の基礎みたいな、これなんの役に立つの?って感じの内容でした。実験自体は凄く楽しかったんですが、もっとヒトに応用できるような研究がしたいと思い、「応用」生命化学・工学分野に興味を持つようになりました。
そして、せっかく受験するなら東大(安易!)受けてみようって感じで東大を第1志望に決めました。
しかし私はこの後、自分の学力も院試の難しさも、どちらもナメていた事を思い知らされます…。
院試の難易度と倍率
私が受験した応用生命化学・工学専攻では、
・英語 (TOEFL itp)…250点
・一般(化学と生、物、数から1科目選択の計2科目) …250点
・専門 (9科目から3科目選択)…500点
計1000点満点
の試験が課されます。
試験は内部外部関係なく全く同じ条件で平等に課されます。ただ、平等とはいえ相手は東大生なので当然合格率は内部生の方が高いです。例年、ボーダーは5~6割程度(?)で倍率は内部生が1.1~1.2~倍、外部生は1.6〜2倍程度になっています。
ちなみに、受験を決意した大学3年夏当時の私の状況はこちら↓
・英語
TOEFL itp 420点 (合格には最低500点が必要と言われている)
・化学
高校の化学基礎で習ったのが最後。
・専門
9科目のうち、一応履修したことのある2科目があったので試しに過去問を解いてみるも、さっぱり分からない。
はっきり言って終わってます…。たぶん、私が今回受験した外部生の中で1番勉強できなかったんじゃないでしょうか?東大院を外部で受ける人なんて、学部入試でギリギリ東大に落ちてるような、旧帝早慶の上位層の人達ですからね。一見院試の倍率って低そうに見えますけど、相手はみんな優秀なので実は大変なんですよね。
こんな状態で、受験自体を諦めるか少し目標を下げようかとも思ったんですが、この時3年の8月。残り1年もあったのでしっかり勉強すれば受かるだろうと思い受験を決めました。
決意〜試験本番までのスケジュール
3年8月 受験を決意し情報収集と研究室訪問を行う 、勉強開始
年内は苦手な英語、化学を中心に基礎固め
3年1月〜 専門の勉強
4年4月〜英語と化学を復習
5月〜 過去問演習とtofle模試、暗記系をメインに勉強
8月上旬 試験本番
勉強時間
3年8月〜翌年2月の春休みまで
授業の合間に平均1日2時間
3年春休み
平均1日5時間
4年4月〜
授業は無く、自大の研究室に週3くらいで行ってそれ以外の日は1日約8時間
具体的な勉強法
勉強量は配点と同じく 専門>英語>一般 って感じでした。
英語
正直いって中学生レベルの英語から理解しておらず、be動詞ってなんだっけ?副詞?関係詞?みたいな酷い状態でした。という訳でまず、中学高校の範囲が復習できるテキストを1冊買って1ヶ月くらいで終わらせました。一応断っておきますが、偏差値50以上の大学受験をパスした皆さんは絶対こんなことしなくていいです。(笑)
次に、TOEFLの勉強を始めました。TOEFLitpはリスニング、文法、リーディングの3セクション構成です。この中では文法が1番の得点源で、内部生は完璧に取りに来るパートなのでまず文法をやりました。
使ったテキストはこれ↓
多分内部生も使ってる人多いんじゃないでしょうか。文法問題を27個のパターンに分かりやすく分類・解説してくれていて、英文の意味は読まずに形だけ見て解くテクニックが身につきます。この本の内容は完璧にします。
次に、リーディングです。リーディングで必要なのは読むスピードと単語力です。私は、スピードはレシピーという英文ニュースが読めるアプリで、単語は以下の単語帳のレベル3までを完璧にしました。最低限2まで、時間がある人は3までやると差をつけられると思います。4はやらなくていいです(断言)。
最後にリスニングですが、これは内部生も帰国子女とかでない限り苦手だと思うので、そこまで力を入れなくていいと思います。私は電車の移動時間にTEDというアプリで動画を見たり、YouTubeでTOEFLのサンプル音声を聞き流すくらいしかやりませんでした。
以上3パートの勉強が終わったら、ひたすら模試をしました。私はメルカリで模試問題集を買い漁って試験までに計8回ほど行いました。その結果、最初は420点でしたが最終的には520点くらいを取れるようになりました。
英語は550点でかなり良い、520〜530点で合格者平均、最低500点が目安だと思います。
一般
化学は毎年、高校+大学の無機と、大学範囲の有機が半分ずつくらい出題されます。しかし、私は高校の化学基礎の淡い記憶しかなかったので、正直捨てました。化学をやるくらいなら専門をやった方がコスパがいいと感じたからです。一応、今までに出題された高校の無機化学の範囲(周期表や電池、気体、codなど)と、有機化学の簡単な命名法や反応だけ覚えて、過去問を解いて終了です。
さらに、もう一科目は生物を取りました。なぜなら高校で物理と数学を選択していないからです。消去法です。生物は範囲があまりにも広すぎてこちらもコスパが悪いので、高校範囲の復習と過去問だけで終了しました。
こんな感じで、専門で点を取って一般は4割取れればいいなーくらいの気持ちでした(笑)
専門
当初、私は大学で履修経験のある生化学と分子生物学を選ぶつもりだったのですが、過去問を解いてみたところ、この2つはあまりにも範囲が広くて履修経験があっても難しすぎると感じました。ですので私は、習ったことがないものの範囲が狭く、例年似たような問題が出題される食品・植物・土壌を選択しました。研究室訪問で聞いた話だと、内部生もこの3つをセットで選択する人が多く、オススメされました。皆さん、「自分の志望分野とは関係ないしこの先使わないと思うけど、試験のためだと割り切ってやった方がいい」と仰ってました。このように、必ずしも履修経験のある科目を選ぶのが正解という訳ではないので、専門科目で何を選ぶか迷っている人は是非この3つを検討してみてください。
この3科目の勉強は、
・研究科のホームページ↓に記載されている教科書を購入し、自分なりのまとめを作成
・10年分の過去問を購入(研究室訪問で貰えるなら貰った方がいい)して、自分で解きながら模範解答を作成する
といった感じでやりました。
ちなみに、過去問の解答が貰えるかは研究室によると思います、私が訪問した研究室では貰えなかった(泣)ので自分なりに解答を作りました。確かに過去問の解答は喉から手が出る程欲しかったですが、今思うと自分で作成することでより理解が深まるメリットがあったなと感じます。
こうして専門の目標点は7割、あわよくば8割を目指してかなり時間をかけて勉強しました。
試験の様子、手応え
①日目 9時集合(自分は15分前位に会場に着いたんですが、既に殆どの人が座っていて一瞬遅刻したかと焦りました。皆さんはもう少し早めに着くようにしましょう。)
・午前…TOEFL
自分でやった模試どおりの手応え、500~520点くらいかな?
・午後…専門
7割くらい
②日目
・午前…一般
生物 6割くらい
化学 ここで事件が!
今まで出たことの無い熱力学と金属錯体の問題が出て4問中2問白紙、あとの2問も半分解けないという大事故が発生…。
問題見た瞬間にザーッと血の気が引いて、あーこれは落ちたなと思いました(汗)
総合的な所感は、化学の爆死のせいで合格点下回ったかもしれない…って感じで、試験後本気で絶望しました。
結果
ちょうど3週間後に出ました。果たして1年間の努力が報われるのか報われないのか、「化学ダメだったから落ちたかな。でも内部生も化学できなかったと仮定して、専門が良ければワンチャン…」とかぐるぐる考え、プレッシャーで若干過呼吸になりながら見ました。
…………んーー??ある!?
5度見くらいしてやっぱり自分の番号がある!!!
受かってる!!
なんと第1志望の研究室に合格してました。もう嬉しいよりほっとした感情のほうが遥かに勝ってましたね。受験を決めた当初は自分でもかなり無謀かな、と思っていましたが、Fラン大学生でも1年あればギリギリ合格できました。努力が報われてよかった。
振り返り
まず反省すべきは化学です。私は高校範囲の復習しかしておらず、今までに出題されたことの無い単元でしかも大学の範囲が出るとは夢にも思わず、手も足も出せませんでした…。勉強にかける時間は専門>英語>一般で間違いないとは思いますが、時間がある人は大学範囲の無機化学と有機化学の教科書を一読して問題演習する事を強くおすすめします。
後は専門の食品科学でしょうか。ここ数年は出題傾向が変わり、単語の暗記と言うより有機反応の構造を書かせる問題が多くなっています。私は単語の暗記>構造でやっていたので思ったように点が取れませんでした。食品を選択する人は構造式をメインに覚えていった方が良いと思いました。
おわりに
この1年間は確実に、自分の人生で1番勉強した期間でした。Fラン出身の私でも1年間あれば合格出来たので、しっかり勉強すれば誰でも合格することは可能だと思います。皆さんも、自分の実力と試験の内容を把握して、どれだけ勉強すれば合格できるのかを逆算して勉強を始めてみてくださいね。
ここまで読んでくださりありがとございました!皆さんの院試勉強が上手くいくことを心から願っています!