憧れのローズ様
大学生になった私は、アルバイトで稼いだお金で、古本屋でSM雑誌を買い集めるようになりました。当時、SM雑誌は新品で一冊2000円したので、学生の身には非常に高価な買い物だったのです。
また、大学から自宅までの沿線の駅にSM雑誌の品揃えが良く、ビニール包装されずに立ち読み出来る本屋を見つけました。自分には縁のない町だったので、間違って知人と出くわすリスクもなかったので最適だったのです。通学の定期を使って、私はその書店に通い詰めました。
ただ、その町には女子高があり、ネットもまだ普及していなかった時代には本屋は高校生たちの格好の暇つぶしスポットでした。しかも、その本屋のエロコーナーの前には当時女子高生たちの間でブームだった最新のプリクラ機が置かれており、私は、女子高生たちの白い目に耐えながら、「ミストレス」や「家畜人」といった雑誌を貪るように読みふけりました。他にもいくつか女王様メインのSM雑誌はあったのですが、その二誌は特に長身で体躯の良い女王様をグラビアに採用していて、体験談や小説、連載の漫画も大きな
女性を崇拝するような内容が多く特にお気に入りだったのです。
当時の私の憧れのミストレスは、北川プロのビデオによく出演していたローズ様でした。
米国人とのハーフかクオーターであったローズ様は身長180cm,太腿周り59cm。確かに太ってはいらっしゃるものの、どっしりした骨格と、脂肪の下には筋肉がパンパンに張っていることが明らかにわかる見事なプロポーションをされていました。
当時では生粋のアジア人女性では見たことがない、男子ですらそれなりにスポーツに打ち込んでいる人でしか見たことがないような見事な体格をされていました。
この世にはC様より神々しい女神様がいらっしゃるのだ。こんな素敵な方にお仕えして、潰され、ぶちのめされたい。
そう思うと、この快楽に身を委ねることが出来るのなら、異常でも変態でも構わないとそれまで思い悩んでいた自身の性癖にようやく向きあえるようになったのです。
それだけでなく、自分がずっとコンプレックスに思っていた小さく非力な体も、女神様巨女様をより大きく、美しく感じられる特権のように思え(実際そうなのです)、こんな情けない虫けらとして生まれることが出来てよかったと思うようにすらなったのです。
よし、大学を卒業して給料が出たら東京に行こう。ローズ様にお会いしたい。そう思うとあんなに苦痛だった就職活動にも前向きになれました。
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