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息子と二人で暮らす部屋を探す

あの日、夫が息子に手をあげ、それに私が抗議した。
抗議することで、火に油を注ぐことはわかっていた。夫がそれは悪かったね、ごめんね、ということはありえない。案の定、出て行け、目障りだと大声で何度も罵られ、その日は息子とホテルに泊まった。

ホテルの部屋で、息子が寝た後、不動産屋に予約を入れた。いままで罵られるたびに部屋検索をしたことは何度もあったけど、実際に不動産屋に予約をしたのは初めてだった。

私の職場も保育園も別居前の家から近いところにあった。
職場も保育園も変えることは現実的でなく、また、私は車を持っていないので、結局新しい部屋は職場にも保育園にも自転車で通いやすいところ、つまり別居前の家からも遠くないところにせざるを得なかった。
夫に住居を特定される恐怖はあったが、仕方ない。
そんなわけで私の部屋探しの必須条件はこんなかんじ。
①保育園から徒歩圏内(雨の日に徒歩で行けるように)
②駅かバス停まで徒歩圏内(実家に帰りやすいように)
③家賃(私の給料で払えなければならぬ)
④エアコン付き(エアコンは必須だけど買いたくない)
⑤独立洗面台(子供が手洗いしやすいように)

ほかにもIHじゃなくてガスがいいとか、宅配ロッカーほしいとか、日当たりがいいとか、2階以上がいいとか希望はあれど、家賃が高くなる。
もうわたしの条件に合う部屋は一軒しかなった。
部屋を見に行き、日当たりの悪さやガスコンロではなくIHであることが気になったが、不動産屋がその場で家賃を下げてくれ、紹介手数料を半額にしてくれたのが決め手となり、一晩考えてから契約しますと答えた。
もう、あとにはひけないと思った。

それにしても、フルタイムで働いて夫と子どもに内緒で部屋探しをすることこ難しさよ!
たまたま通院で有給をとることがあり、その日に部屋探しをしたり、仕事が終わったら速攻職場を出て契約に行き、保育園には少し遅れますと連絡したり。
息子が話してしまう可能性大だし、口止めとかしたくなかったので、息子を連れて部屋を見に行くことは絶対にしたくなかった。
部屋をいくつか回って納得いくところを探す、ということは難しかった。
ただ、フルタイム正社員であったことで、保険証一枚で就労証明ができたことはありがたかった。



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