地元に帰る友人、バンを持つ父
引っ越しをすると決めたときに思い出したのは、近々仕事を辞めて部屋を引き払い、地元の方に帰ると言っていた友人のことだった。
友人に連絡すると、なんと来月退去予定というではないか。私は実は夫のDVで家を出る予定であること、ついては不要な家具家電があれば譲ってもらえないかとお願いした。
この友人は非常にさっぱりした人で、私が家を出ると話した時はさすがにおどろいていたが、DVってどういうこといつからされてたの家を出るってそのあとどうするの離婚するの等々はあまり聞かず、引き取ってもらえるなら助かると快く家具家電を譲渡してくれることになった。
何かと物入りな引っ越し時に、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、掃除機を譲ってもらえたことは大変助かった。
友人が一人暮らしを始めてからずっと使っていたとかで10年以上使われていたものだが(なにせ今はもう買えないNationalブランドである)、どれもきれいな状態で、問題なく今も動いている。友人がていねいに使っていたということもあるだろうが、物持ちの良さに感動した。次、私が自分で家電を買うときはNational、じゃなかったPanasonicにします!と思う。
友人宅からの家具家電の移送は、ヤマト単身パックを利用した。
宅急便同様、荷物受け取りはその日のうちにはできないが、荷物の受け取り日は発送から1週間以内であれば無料で指定できる。友人の退去日と私の引っ越しの日が1週間以内になるようにして、家具家電を送ってもらった。
もうひとつ、引っ越しの際に大変助かったのは父の存在だ。
両親との話はまた別の機会に書きたいと思うが、父は今回の別居に驚いていたが、とにかく引っ越しを手伝ってくれた。
父は若い頃からアウトドアがすきで、子供の頃は毎年キャンプ、釣り、スキーなどに連れて行ってくれた。車中泊ということばがあまり一般的でないころから、われわれ家族は車で寝袋ならべて寝て、早朝から釣りしたりしてた。今の父の夢は車中泊で日本を巡ることである。
そんな趣味をもっているので、父の車はむかしタウンエース、いまはハイエースである。
私が大学進学のために家を出た時も、卒業して実家に戻ってきた時も、父のタウンエースに荷物と私をのせての引っ越しだった。
今回は私と息子の荷物をハイエースにえいやっとのせて運んでもらっての引っ越しになった。
ハイエースの積載量には目をみはるものがある。
引っ越し業者をつかわないで引っ越しできたこと、父に手伝ってもらえたことは金銭的にはもちろん精神的にも非常にありがたかった。
あの日、夫が出勤したあとに、まずしたことは不動産屋へ行っての鍵の受け取りだった。
帰宅してすぐに引っ越し準備を始める。
スーツケースや隠しておいた段ボールに荷物を次々に詰めていく。
子供のおもちゃだけは全部持っていきたかったので、全て箱に詰める。
仕事道具である日本語教育教材は分別してる暇がなかったのでそれも全部持っていく。
食器はほんとうにお気に入りのものを少しだけ。
洋服はもともと多くないし、季節外のものは実家にもっていってあったので、いま使ってるものをまとめてスーツケースに詰めた。
鉢植えのモンステラももっていく。ここに置いて行ったら枯れてしまう。
約束した時間に父が来てくれて、二人で荷物を車に運んだ。
5年間暮らしたこの家は、私にとっては安心できる本当の「うち」ではなかった。
父に手伝ってもらって、新しい部屋に荷物を入れた。
このあと、息子を保育園に迎えに行かねばならない。息子は朝ふつうに元気にでかけ、そしてきょう帰るのはこの、足の踏み場もない部屋なのだ。
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