300作品超えはニコニコってレベルじゃねーぞ!? ~ ネタ曲投稿祭私的傑作選
「ネタ曲投稿祭」は、2021/2/20に行われた子牛さん(Twitter ID: @COWshi504)主催の一斉動画投稿イベントであり、その名の通り、ボカロ等の合成音声を使ったネタ曲をみんなで同日投稿して盛り上がろうぜという主旨のユーザーメイドイベントです。
ユーザーメイドでありながら有志による賞金も用意され、また結果として300作品を超える多くの作品が投稿されたビッグイベントとなりました。
昨年12月の「The VOCALOID Collection - 2020 winter -」も記憶に新しい中で、このようなユーザーメイドのお祭が企画され、多くのクリエイターがそれに参加されたというのは、非常に素晴らしいことだと思います。
そしてこのような素敵なイベントを前にした私は、『されば我々聴き専としても気合いを入れて聴かねば男が廃るというもの……』という謎の感情が芽生えてしまい、全参加作品を視聴するに至りました(丸2日くらいかかりました。全曲チェッカーの人たちって毎日こんなことやってるんですか……w)。
というわけで、せっかく全部見たので印象的だった傑作をまとめておきたいと思います。
もし気になってたけど全然チェックできなかったよという方がいれば、ぜひこれらの作品だけでもチェックしてください。
1. ほそまつちよ / "ウンコ"
これがネタ曲投稿祭の私的最高金賞! 卒業ソングど真ん中のピアノバラードです。
ネタバレになりそうなので説明しづらいのですが、冒頭のフック、焦らしのABメロ、そして美しさすら感じる壮大でコーラスのサビでまさかのド直球の熱唱。
純粋に楽曲としてもかなり好きなのに、ネタとしてもサビで声を上げて笑ってしまったくらい大好きです。
2. 榊みむ / "マスターがウナちゃんを欲しがっている"
ミクさんがめちゃくちゃかわいいChiptuneです。
タイトル通り、ウナちゃんを欲しがっているマスターに対してミクさんがツンデレっぽく心情を訴える歌で、2007~08年頃のボカロシーンを覚えている人だと「ネタ曲?」と首をひねってしまうようなボーカロイドイメージソングです。
曲の出来もいいんですが、あまり肩肘を張らずに言葉遣いとイラストのかわいさに浸ってほしい曲ですね。
3. セリフ / "出オチじゃないよ!"
クスっと笑ってしまうネタが矢継ぎ早に繰り出される、ちょっとシュールなネタ曲、というかこれはもう楽曲ではないかもしれませんが傑作動画です。
出オチかと思いきや、タイトルに恥じず最後までゲラゲラ笑って見られます。
イラストもかわいらしく、トークロイドとしても聞き取りやすい調教で、楽曲パートの出来も良いので、そういった点でギャグの面白さがスポイルされないところも素敵です。
4. キャプテン・ソプラノ / "大放屁マーチ"
最汚枠。これがたぶん今回一番汚いですね……w
明るく楽しいマーチ……と思いきや、ミク以外全て放屁音(有料音源らしいw)を加工してできているという、最悪の発想と膨大な努力から生まれた楽曲。
ぶっちゃけ言われなければわからないくらい綺麗に加工されているのですが、それならなおさら普通に楽器を使えよという話なわけで。
加工前のバージョンや加工方法の解説も公開されているので、興味のある方はそちらも見てみるといいかもしれません。
5. cameraman / "イケメンのヒモになる"
楽曲が普通に良かった枠。リンちゃんがかわいいロック!
サウンドといいメロディといい、リラックスして聴ける雰囲気かつそれなりに本格的なクオリティなところが素敵です。
こういうのはなかなか良さを説明しづらいのですが、シンプルに私の好みなんですよねえ。
ちなみにネタ要素としては「イケメンのヒモになって毎日ピザを食べたい」という至ってバカバカしいストレス解消歌詞なところです(ロック畑の人はこういう歌をお好きなイメージがありますね)。
6. ミクとお茶を / "誰でも女性とハグできる方法教えます"
3秒でわかる女性とハグできる方法。
今回の参加作最速で「納得だわ」と思った動画です。
それはそうなんよ……ってご本人は失敗してるんかい!
7. 鍵人 / "万物の終焉を望む神々の結末"
激しい演歌、もといメタルです。
私もメタルに詳しいわけではないのでアレなのですが、ボカロではかなりちゃんとメタルしている方だと思います。
大きめに揺らしたビブラートは普通の感覚ならやりすぎなのでしょうが、ジャンルがメタルなのでこのくらいやってくれる方がインパクトがあって一層好みです。
ネタ要素は「メタルって大仰すぎてちょっとネタっぽいよね」ということなのでしょうかね。
これをネタ曲って言ってしまうとメタル好きの人に怒られそう、と思わなくもありませんが……(?)
8. Reta / "ニコニコ動画が大好き"
今回一番共感した曲です。
皆さんニコニコ動画は好きですか? ニコニコ動画見てますか? YouTubeには無い良いところがたくさんあるので見てくださいねw
ちなみに私は(ここ数年特に)ニコニコを好きですし、それ故にニコニコを見るときは、「良い曲探すぞ!」とか「今日は笑うぞ!」とか思いながらちょっと気合も入れて開くことが多いんですよねー。
……という心境でこの曲を聴いていたら、最後の一言に「あるあるw」と頷かざるを得ませんでした。
いやほんと、そういう気持ちになる瞬間はかなり多いんですよねえ。困った困った。
9. TreatHunters / "コンプリートサイレンス"
動画のほとんどが「コンプリートサイレンス♪」というコール&レスポンスからなる作品です。
ずっと2小節1フレーズが繰り返されている構成なのですが、一定のリズムに乗ってゆかりさんが喋っているのがだんだん癖になってきます。
また、飽きない程度に変化球が飛んでくるあたりも上手い作りです。
10. kenpi / "マクドナルドシティポップ"
ハイセンスなシティポップ。
タイトルはファストフードのマクドナルドを指していて、有名なサウンドロゴも上手く引用されています。
ネタ曲というには余りにもオシャレなのでこれは普通にガチ曲枠でおすすめしたいです。
……というかそんなことよりも、ニコニコ動画でネタ曲と銘打って出てくる作品で、マクドナルドをテーマにしているにも関わらず、「らんらんるー☆」しないなんてことがあるんですか!?
ドナルド動画って2000万再生動画を出してるジャンルなのに伝統的なネタに全く触れられていないのは、あえてのことなのですかねえ?
11. また切ない世界を生きる / "はい!これアウトです!!"
スタイルはSLAVE.V-V-Rさんのパロディであり、また内容そのものもここ数年のヒット曲を凄まじい知識でパロディ化した問題作。
元ネタの数とそれを持ってくる作者さんの知識がとにかく物凄いです。並のボカロファンではこれほどのヒット作をこの精度で引用してくることすらままならないと思います。
そしてこれらを歌だけでなく動画までパロディ化する労力たるや計り知れません。脱帽です。
12. 子牛 / "月面探査機!かぐや姫"
最後に紹介するのは、この祭の主催者子牛さんの作品です。わりと真面目なハイテンションポップですね(他が想定以上にカオスだったのかもしれませんねw)。
曲も動画もクオリティが高く「さすが有名Pは違うなあ」と感心してしまいました。
「かぐや姫」をおもしろおかしくギャグ改変したストーリーで、様々なボカロが出てきてかわいらしいです。
そして何と言っても言葉遊びが印象的で、「ムーン」と「無運」と「ムンムン」等で韻を踏んでいるのがかなり楽しいです。
以上、抱腹絶倒のギャグ作品からわりと真面目な良曲まで含めた12作品を紹介いたしました。
第2回も開催する計画があるようなことを子牛さんがほのめかしていたので、次回ますますこのお祭が大きくなって帰ってくることを期待して待ちましょう!