2020年上半期ボカロ5選

今回は試しにnoteで書いてみましょう。
今半期はあまりたくさんの曲を聴けていないので(半分くらいは某あかりんごがランキングを占拠していたせいですw)、2016年同様、標準の半分の5曲に留めます。
選考対象、選考基準はいつものように、今年公開されたVOCALOID、UTAU、CeVIO歌唱楽曲 のうち「印象に残った曲、私自身が好きな曲」です。
それでは、いざ。

1. ただいまP / "STAY FOREVER" (1/23投稿)

90年代の香り漂うシンセポップ。
90年代後半〜00年前後くらいまでのJ-POPに親しみのある世代なら、何も言わずとも聴けば分かると思います。
キーンと鳴るシンセ、お涙頂戴と言わんばかりのコード進行、最初に1番美味しいサビメロを持ってくる作りと、あの頃感が全開なので。
ちなみにこの手の曲でボーカルが鏡音リンなので、"Time & Space"(シグナルP)あたりを思い出しますが、あちらよりはキュートで爽やかな曲調ですね。
個人的な推しポイントとしては、ラストサビ9小節目から、それまでのサビと同じメロなのにコード進行を変えてくるところです。
特に10〜14小節目にかけては、下降系のクリシェ→上昇系のクリシェと怒涛のような畳み掛けがあり、良い意味で期待を裏切られます。
そしてこの感動を引き摺ったままアウトロに入っていくので、聴き終わりの感動が非常に大きいです。
総じて、大きな目新しさよりは堅実な作曲が光る秀作だと思います。
これはもう感動した私の負けですね、本作こそ2020年上半期の私的最高金賞だ!

2. かしこ。 / "プラリネ" (2/14投稿)

都会的な雰囲気が当世風な4つ打ちポップ。
かしこ。さんは本作で知ったのですが、後から調べたところ、結構前から活動されていて殿堂入りも持っている方のようですね。どうして知らなかったんだろう……。
さて本作は、一聴すると「こういうの流行ってるよね」と言いたくなる曲調ですが、メロディのキャッチーさがずば抜けているので決して凡庸な印象に止まりません。
特にアウフタクトやシンコペーションを多用したリズミカルなところは強い魅力になっていると思います。
また、歌詞もキュートさとビターさが両立していて好みです。
「あらかじめ用意されてる未来に 希望がなくても 今、君が好き」とかたまらない……。
というか、叶わぬ恋に落ちた女の子の歌なので、どんぴしゃで私の好みなだけでしょうか?

3. 40㍍P / "BEEP GIRL" (2/27投稿)

比較的シンセの目立つバンドサウンドポップ。
40㍍Pを10選(今回は5選だけど)に選出するのは2017年上半期の"大正ロマンチック"以来3年ぶりで3回目ですかね。
長年に渡って感性をアップデートしながらコンスタントに新曲を出し続けている方なので、数年に1度はとても好きな曲に巡り合います。

さて本作は、"SHAKER"くらいから顕著に見られる、今時の流行を取り入れた40㍍Pの一つの到達点だと思います。
まず、無駄な音を省いたシンプルな作曲とカラッとしたサウンドのおかげで、見晴らしの良さが抜群です。
そして、当世風(これは"プラリネ"の項で指した観念と同じもの)の曲調といつもの40㍍Pらしさとの融合は完成されており、付け焼き刃な印象は少しもありません。
音の面では、まさに王道を行く王の如しです。

そして爽やかな印象のせいで聴き流してしまいそうになるのですが、この曲は何と『歌いたいと願う初音ミクの歌』なのです。
2007〜08年頃は多く見られたこの手の歌詞も、最近はめっきり少なくなりました。
初音ミクの歴史も13年目に入り、ともすれば重くなってしまいそうなこのテーマをさらっと聴かせてしまうあたりが、2008年から現役でい続けているこの方の強さを感じさせますね。

4. きさら / "クグツアソビ" (4/24投稿)

本作は、パーカッションアンサンブルを骨格とした編成による、いわゆる『幻想狂気曲』と呼ばれるような曲調の作品です。
きさらさんと言えば、昨年の私的最高金賞作品"レゾナル"の作者さん。
その"レゾナル"がキュートなテクノサウンドだったのに対して、本作はミステリアスでシンフォニックなサウンドが特徴的です。
両作のサウンドは全く異なる引き出しから出てきたと言うよりも、同じ作風の光と影のような関係で、クロマチックパーカッションが印象的な点やファンシーな雰囲気が共通しています。

本作ならではの要素としては、やはり要所要所を迫力満点に支えるティンパニーや、1番後の間奏のド派手なタムタムのソロを推したいところですね。
全体としては、狭い空間に音が詰め込まれている印象もあるのですが、こういう曲調では少し見通しが悪いくらいの方が雰囲気が出るのかなとも思います。
もちろん、耳を澄ませれば各楽器が雰囲気たっぷりに鳴っていることがわかりますので、聴けば聴くほどハマっていくスルメ曲です。

5. はれのむらくもP / "応答セヨ恋心" (4/28投稿)

シンセサウンドの4つ打ちポップ。
『はれのむらくもP』は、2018年の10選で取り上げた"他人事の音がする"の、あめのむらくもPの別名義です。
「ボーカロイド第2世代」と称賛されたあめのむらくもPも、もうデビューから2年半が経つと思うと、そろそろベテランの風格を感じますね。
さて本作は、いかにもあめのむらくもPらしく、クラシックの素養を感じる楽曲です。
個人的にはマーチをシンセサウンドで再構築したように感じます。特に、力強く奏でられるイントロはマーチの最初に出てくるファンファーレの雰囲気です。
全て打ち込みのボーカル曲でここまでクラシカルな雰囲気を出せるというのは驚嘆すべきことだと思います。
また本作は、どこか影のある作風だったこれまでと比べると、底抜けに明るくてかわいらしい曲に仕上がっています。このあたりが『晴れ』名義の所以なのかなと思います。
この感じだと、また2、3年以内にはこの方を10選に選ぶことになりそうですねw

以上、2020年上半期ボカロ5選でした。

マイリストはこちら→https://www.nicovideo.jp/mylist/68543071

最近はKiite、特にKiite Cafeのおかげでチェックする曲数が増えているので、年間10選はまた違ったものになるかもしれませんね。楽しみなのだわー。

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