「The VOCALOID Collection - 2020 winter -」感想記

2020年12月11〜13日開催「The VOCALOID Collection - 2020 winter -」(以下「ボカコレ」、公式サイト:https://vocaloid-collection.jp/)、参加された投稿者各位、各イベントや対談、放送に出演された方々、コメントクリエイター(この言い方良いですよね)とリスナーの皆さん、並びに企画してくれた運営の皆さん、お疲れさまでした。
『ボカロ版ネット超会議』『ボカロの祭典』を冠するに相応しい盛況で、大興奮の3日間でした。
そこでせっかくなので、その興奮冷めやまぬうちに今の気持ちを記録しておこうというのが本記事の趣旨です。

ボカコレって何です?という人がこの記事を読むことがあるかはわかりませんが、念のために公式サイトの説明を引用しておきますね。

『The VOCALOID Collection(ボカコレ)』はボカロ文化をきっかけに生まれたインターネット等で活動するクリエイターやユーザー、企業などボカロに関わる全ての方が参加できる祭典です。
そのため、『VOCALOID』をはじめとしたさまざまな音声合成ソフトウェアやそれを彩るキャラクターたちの作品全てにおいてボカコレへの参加が可能です。
ネット超会議のボカロ版としてスピンアウトする「The VOCALOID Collection」
クリエイターもユーザーも最高に楽しめる3日間として「ボカロ文化」を盛り上げます!

この理念の元、6つの特設ランキング(TOP30、Remix、ルーキー、歌ってみた、踊ってみた、演奏してみた)、スペシャルライブ(リアル開催@豊洲PIT)、ボカロPの対談記事、有名クリエイターセレクトのプレイリスト公開、ユーザー厳選プレイリスト募集、BOOTH内Web即売会……等々、全貌を把握するのが難しいくらいの大規模な祭が執り行われました。
ニコニコ動画に投稿された動画だけでも3日間で1000作品近く出ているので、正直私も全然追いきれませんでした。
盛り上がりすぎて全部見られないなんて贅沢すぎて罰が当たりそうですね。

ちなみに開催期間に私が行ったことは主に以下の3つです。
 1. 「ボカコレ2020冬ルーキー」タグの巡回(400再生以上は全動画視聴しました)
 2. スペシャルライブ第2部リアル会場参加
 3. 便乗動画投稿(これはおまけみたいなものですw)

この他、非ルーキーの新曲チェックもそれなりにしましたし、生放送もちょこちょこ見ていました。
ですので、下記の感想もそういう視点からのものであることを考慮して読んでいただくと良いかと思います。

ルーキーランキングについて

『ボカロPデビューしてから2年以内の方限定』というルールで設けられたルーキーランキングの最大の効果は、この祭が必ずしも技術的に優れているわけではない、有り体に言えば「ヘタクソな初心者の作品」を、積極的に募集しているということを示した点です。
普段のランキングではどうしても技術的に優れた動画が上位を占めて目立つため、一部の初心者はそれらと自分の作品を比較して自信を喪失してしまい、結果として作品を公表しづらい傾向があります。
しかし今回わざわざルーキー限定のランキングが用意されたことで、企画者が「ヘタクソな初心者の作品」を積極的に募集しているということが明示されました。
このことは、多くの初心者にとって公の場に自作を発表する勇気を与えたと思います。
また、Remix用Stemデータの配布によって、「ゼロから楽曲を作ることは自分には難しい」と考えていた初心者に「やってみよう」と思わせることができたのも、初心者の投稿を促す方向に働いた要素だと考えられます。
(実際に私の知人の中にも、DTM初心者ながらStemデータを利用したRemix楽曲を作成して、初めてニコニコ動画に作品を投稿した方が複数人います)

企画者としては、もちろん新しい才能を発掘してあわよくばゆくゆくはニコニコ動画に貢献してもらおうという意図もあったのでしょうが、それ以上に初心者に機会を与えてクリエイターとしての楽しさを感じてもらいたいという純粋な意思を持っているように感じました。
こういうところが今のニコニコ運営の魅力なのですよね……!

そして、ここまで初心者初心者と散々言ってきたのですが、実際聴いてみるとハイクオリティな曲が多いことに驚きました。
400再生以上はほぼ全てが一定以上のクオリティを有していましたし、新着順で上から聴いていっても出来が良いと感じる作品が大半でした。
もちろん、中にはいかにも「作曲もDTMも初めて挑戦しました」という雰囲気の作品もあって、それはそれでボカコレがきちんと初心者の入口として機能している証拠なので好ましいことです。近い将来この中から新時代を担う有名Pが現れるのだろうと思うと、胸が高鳴りますよね。

スペシャルライブ

上記の通り、スペシャルライブについては第2部のみ現地で参加したのですが、これもボカコレの目指すところが大いに伝わってくる素晴らしい内容でした。
昨今流行の曲とかつての大ヒット曲、ボカロと人間、DJと歌と演奏とダンス……ととにかく多様性を前面に押し出した作りで、ボーカロイドとは多様性の文化なのだというメッセージを感じました。
また、踊り手さんたちが(振り付けこそ揃っているものの)わりと各々自由な動きで踊っていて、「プロのダンサーが盛り上げてくれる」ではなく「俺たちの中のダンスが上手い奴が活躍する」という雰囲気でした。この「俺たち」感がいかにもニコニコらしく、またボカロらしい
個人的には、johnさん/TOOBOEのステージがとても良かったのが印象的でした。johnさんの曲についてはこれまであまりしっかりと聴いたことがなかったのですが、johnさんの歌によって説得力が増していてカッコよさがすっと入ってきました。
ヒガンや春嵐は元々ボカロの曲ですが、人間の声で聞かされるとまた新鮮でしたね。思わず帰宅後に原曲を聴き直してしまいました。

おわりに

改めて振り返ると、ボカコレというお祭というのは冒頭の説明通り「ボカロ文化をきっかけに生まれたインターネット等で活動するクリエイターやユーザー、企業などボカロに関わる全ての方が参加できる祭典」でした。
DTMer、歌い手、踊り手、演奏者、DJ、コメントクリエイター等々多岐にわたる分野で、プロと遜色ないレベルの方から初心者に至るまで、本気で全ての人が参加できるようにしようという企画者の意思がひしひしと感じられました。

またたくさんの人がこの祭に集中して活動を行ったことで、瞬間的にシーンの濃度がぐんと増していたのも興味深い点です。
あの種の「ここにボカロ好きのみんながいる感覚」というのは、あたかも2007年頃を思い出すような楽しさでした。

次回ボカコレ第2回は来春開催とのことですが、2回目なのでおそらく次は今回と少し毛色の違う、言ってみれば2008年的な雰囲気になるのではないかと予想しています(参加者の方が慣れますからね)。
第1回ならではの楽しみは今回だけでしょうが、2回目には2回目のまた新しい楽しみがあるので、次回も気合い入れて参加していきましょうね!

おまけ

『ボカロの祭典』がニコニコ動画で開催されると聞いて、私もいてもたってもいられなかったので、動画を1本上げています。
内容は端的に言うと、美少女アバターでボカロDJをした動画になります。
どのランキングにも該当しないゲリラ参加みたいな感じでアレなのですが、もし興味がある方がいらっしゃったら観てやってくださいませ。


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