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去年の司法試験のやらかし集(民事系科目編)

1、はじめに


こんにちは。
今回は民事系科目編です。
民事の3科目もきちんと全部やらかしています。
よろしくお願いします。

2、民法

この年は、設問2で契約の性質を問う問題がありました。
作問者としては、これは準委任か請負かという問題だったようです(↓)。

設問2においては,契約①の性質を準委任と捉えるか請負と捉えるか(更にそれ以外のものと捉えるか),また,Eが処理する事務・仕事の内容を各月ごとのものと捉えるか,5か月 分併せて一体のものと捉えるかなど,与えられた事実関係の法的な捉え方がいくつか考えられ,いずれの立場を採るかによって,その後の法律関係の処理の内容や根拠条文が異なってくる。いずれの立場を採るかを明確にした上で,その立場から一貫した論述をすることができるかどうかによって評価が分かれることとなった。

令和3年採点実感より

しかし、私は請負か雇用かという問題だと考え、雇用契約であると性質決定してしまいました。
ここで、請負契約としていればまだマシだったのですが….。

また,雇用と性質決定するものも散見された。雇用は使用者との間に指揮命令関係があることを特徴とするが,この検定の受験指導におけるEの専門性からするとAE間に指揮命令関係があるとみるのは困難であり,このような答案は低い評価にとどまった。

同採点実感より

上記のように雇用契約とする答案もあったようですが、低い評価にとどまっているようで、民法の理解不足が露呈してしまいました。
加えて、この設問は契約の性質を決定したうえで、これを踏まえて未払いの報酬と損害賠償請求の可否を検討することが求められており、適切な性質決定ができなければ、その後の上記請求の出来不出来にも直接関わる(適切な根拠を示さなければならないので)ため、このミスは致命的なものとなりました。

また、設問2までに多くの時間を費やしてしまったため、設問3は実質的途中答案(以上、とまでは書いているが内容としては薄い)になってしまいました。
加えて、焦って問題文をきちんと把握することができなかったため「丙の売買代金100万円につき支払を拒むことができるか」のうち「分」がないと読み間違えてしまい、「丙の売買代金100万円につき支払を拒むことができるか」と勘違いしてしまいました笑
そのせいで、Fは丙の売主でも代理人のような立場でもないのに、なぜこのようなことを問題にするのか、意味が分からないまま一応そのように一言論述したのを記憶しています。

また、最後の小問は、他の保証人と主たる債務者に対する求償額を問うものでしたが、焦りに焦りどちらも同じ求償額になってしまいました(死)。

あと、この年は(模試も含め)、途中答案を恐れて、解けそうな問題から設問の順番を無視して論述した科目が多くありました。
民法も設問3は小問2を先にとき、小問1を最後に解いていました。

なお、問題の順番を入れ替えて論述しても特定答案扱いにはならず、きちんと採点はされるようですが、設問の順番に意味がある問題もあるので、このようなことをするのはできるだけ避けた方がよいと思います。

民法の評価はCでした。これだけミスしていれば当然の結果と言えますね。

3、商法


強烈に覚えているのは設問1の論点落としです。
間接取引の問題は気付けたのですが、「多額の借財」(会社法362条4項2号)該当性の問題には全く気付けませんでした。

甲社としては,①Aが甲社の代表取締役として締結した本件連帯保証契約は,利益相反取引である間接取引(会社法第356条第1項第3号)に該当し,取締役会設置会社である甲社においてはその取締役会の承認が必要であった(同法第365 条第1項)のに,取締役会の承認を得ていないので無効(甲社に効果不帰属)である,② 本件連帯保証契約は,多額の借財(同法第362条第4項第2号)又は重要な業務執行(同 項柱書)に該当し,取締役会設置会社である甲社においてはその取締役会によって決定されなければならなかったのに,取締役会によって決定されていないので無効(甲社に効果 不帰属)であるなどと主張して,本件連帯保証契約に基づく債務の履行を拒絶することが考えられる。
 しかし,上記①の主張と上記②の主張のいずれについても言及している答案は多くはなく,上記①の主張については言及するものの上記②の主張については言及していない答案が多数見られた。上記②の主張に気が付かなかったことが主な原因であると考えられるが, 甲社の立場において考えられる主張が複数あるのであれば,その全てについて検討をすることが求められる。

同採点実感より

また、設問2は全く解いたことのない類のもので現場問題というやつでした。とにかくヒントになりそうな条文を探して、事実をたくさん使って論述したのを覚えています。

株式引受契約の当事者を,株式の申込みや引受けに際して名義に現れた者とするのがいわゆる形式説,名義が誰であるかにかかわらず,実質的に引受けの意思を有していた者とするのがいわゆる実質説と呼ばれる考え方であるところ,どのような考え方に立脚するのかをまず検討することが求められる。この点について,全く言及することなく本問の事実関係を拾って結論を導き出す答案や,特に理由を示すことなく実質で判断すべきであるなどとする答案が多く見られた。

同採点実感より

実質説・形式説の話は有名な論点なんですかね?
ちなみに私は全く知りませんでした。

会社法は評価Bでした。自分の成績の中だけで見れば、悪い評価ではなかったです。

4、民事訴訟法

まずは形式面で言うと、先の民法と同様に民訴は論述する順番を入れ替えました。
特に民訴は激しく入れ替えており、設問3→設問2→設問1の順番で論述しました笑

中身で言うと、基本的にどの設問もよく分からないまま解いていました。

設問1は、立退料が借地借家法28条の「正当な事由」を補完する一事情であるということを全く知らないまま、原告の申し立てた額より少ない金額を認定したら当然処分権主義違反だろと考えて論述していました。

設問2は訴訟承継における承継人(民訴法50条1項)該当性が問題になっていましたが、既判力の場合と同様に依存関係説で論じようとしたところ、依存関係説の中身をど忘れするというアクシデントが起こってしまいました。
なので、その規範部分の記述だけでなく、あてはめ部分もかなり曖昧に書いてしまったなというのをよく覚えています。

また、設問3は現場思考の問題だと当時感じました。
なので、時機に後れた攻撃防御方法の趣旨と訴訟承継の趣旨をとりあえず書いて、問題文の事情を拾いつつ、それっぽい文章をでっちあげました。

Yが本件新主張をしたとしたら,法第157条第1項により却下されることを前提として,Zの立場から,そうであるとしても,Zによる本件新主張は,却下されないという立論をすることが求められる。このような立論としては,Zは訴訟状態を承認する義務を負うものの,承継の前後で,Xによる更新拒絶の可否を判断する上での本件新主張の重要性が変容している場合や,Yによる訴訟追行がなれ合いと評価され得る(あるいは,客観的には攻撃防御のけ怠と評価され得る)場合には,一定の例外が認められると論じた上で,本件では,そのような例外が認められるとする考え方と,承継人はおよそ訴訟状態を承認する義務を負わないとする考え方とが想定される。

同採点実感より

特に民事訴訟法は理解が甘かったことを実感させられました。
理論面もそうですが、実体法的な観点からの考慮も大事になってくるので、民法の正確な理解も必要だと思います。

民訴は評価Aでした。直前のTKC模試でも民訴はAだったので、一応相関関係があるということですが、はっきり言って手ごたえは全くなかったし、上記のように理解が曖昧でもAは取れてしまうときは取れてしまうようです。

5、最後に


民事系科目は3科目あるので、3000字以上の超大作になってしまいました。
もちろん科目が多いというのもありますが、このようにやらかしもその分大量にあったので長くなってしまいました。
ここまで冗長な文を読んでくださった方がいるかは分かりませんが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

それでは。