東京テレポーテーション① 青春の屍

20世紀末。お台場。私はそこにいた。
ふと空を見上げる。銀色に光る球体。奇妙な形をした建築物。
私は近藤雄浩に誘われて、アルバイトをしていた。
近未来的に思えた、海上に浮かぶ光り輝く空間。私はそこで過去に縛られながら、空虚に朱く光る棒を宙に振っていた。

少し遡る。
高校を卒業した私は、青春の屍のように部屋でただ呼吸をしていただけだった。
虚しい。全てが虚しい。

心は拒絶しているにも関わらず若い生理現象には抗うことができない私は、俯せのまま布団の下をまさぐる。
私はここに高校の卒業アルバムを放り込んでいた。

いいなと思ったら応援しよう!