塞いだ耳に嗤う楽園⑦ 愛してるよ

修学旅行の夜。
再度、部屋の電話が鳴った。

「俺が出る」
先ほど俺だったらぶち切れると言った男子…峯(みね)が起き上がった。
「一言言ってやる」峯が電話に出た。
「あーもしもし?」
「あ、なんだお前か」
少し様子が変わった。
「なに?これは罰ゲームじゃないの?」
「なんだよ…」
…?なんだこれは。
峯の声の調子も、なんだか変だ。
「わかったよ、言うよ…」
なんだか弱い感じというか、甘い感じというか…。
「…愛してるよ」

…はぁ?
なんだこれは。
そして一瞬間があいて、クラスの誰かより
「ヒューヒュー!」
「ヒューヒュー!」
残念なことに、これは創作ではない。事実なのだ。
当時の感覚からしてもヒューヒューは既に古かった。
平たく言ってその感性から理解できないし、第一私の存在はどうなる。

私にも悪いところは多々あったように思う。
だがそれを差し引いても、このクラスの人々こ感性は理解できなかった。

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